印刷溶液との物理化学反応を用いた紙の自立構造形成

2022.10.20 By 芝浦工業大学

材料工学

技術概要

プリンタから印刷された紙が、溶液と物理化学反応を起こすことによって自律的に構造形成する。印刷した線に沿って折り曲がるため、3次元立体構造を直感的かつ迅速に作製できる。折り紙の手法を用いることで平面材料に様々な機能を持たせることを可能とする。

用途・応用

輸送、医療器具、ウエアラブルセンサ

背景

 折り紙技術、1の紙ることによって、多様な立体構造を形成できる利点を有しており、折り曲げのパターを工夫することによって、展開と 収納の機能の繰り返し利用が可能となったり、機械的強度が比較的い構造 体の形成が可能となることから、種々の分野での応用が期待されている。例 えば、3次元電子バイスの製造、軽量かつ安価な衝撃緩衝材の製造、シー トの折り畳みによる省スペース化等に、折り紙技術の適用が想定される。 

 このような中、紙対して、その外部から何らかの働きかけを行とにより、紙が自ら折れ曲がるようする、自律的な紙の折り曲げ技術が注目さ れており、このような技術は、“self-folding” (自己折り畳 み)という用語で語られることもあるこのような紙の自律的な折り曲げ技 術の開によって、上記のような折り紙の特性の利用が大きく進展すること期待される。 

 このような折り曲げ技術としては、紙に、その外部からの刺激に対して応答する材料を配置ておき、刺激を加えたときのこの材料の応答を利用する こと、紙を自律的に折り曲げる技術が、これまでに報告されいる。ここ で刺激としては、電流、熱等が挙げられる。 

しかし、このような折り曲げ技術では、流、熱等の、何らかのエネルギ の供給が必要であるた制限される可能性があるという問点があり、さらに、紙も特殊な材料で修飾する必要があるため、高コストであるという問題点があった。

  このような問題点を解決できる手法とて、インクジェットプリンターを用いて、2-プロパノールを含有する水溶液を紙に出し、乾燥させる手法が開示されている(非特許文献1参照)。こ手法では、電流、熱等のエネルギーの紙への供給も不要であり、紙を特殊な材料で修飾する必要もないた め、実用性が高という利点を有する。

行技術文献 

特許文献 

非特許文献1:Hiroki Shigemune, Shingo Maed a, Yusuke Hara, and Shuji Hashimoto. “Design of paper mechatronics: Towa rds a fully printed robot” Proceed ings of 2014 IEEE/RSJ Internationa I conference on Intelligent Robots and Systems (IROS 2014)

課題

 非特許文献1で開示されている手法は、までのその他の手法の問題点を解決できる点で有用あるが、実的な立体構造体の製造方法へと適用す るために、さらなる改良が望まれる。また、このような折り曲げ技術は、紙 だけでなく、紙と他の材料を併用した複合紙へも適用できれば、有用性がさらに高る 

 本発明は折り紙技術を利用した、実用性が高い、新規の立体構造体の製造方法を提供することを課題とする。

手段

 本発明は、紙からなるか、又は紙を主成とする紙含有シートが折り曲げられて構成され、紙含有立体構造体の製造方法であって、前記紙含有シー トに対して、その一方の面から水を浸透させることにり、前記紙含有シー トの厚さ方向に水の濃度勾配を有する部位を、前記紙含有シートに1又は2 以上作製する工程(A)と、前記水の濃度勾配を有する状態の前記紙含有シ ートを乾燥させることにより、前記紙含有シートを、その前記水の濃度勾配を有していた部位において、自律的に折り曲げる工程(B)と、を有する、紙含有立体構造体の製造方法を提供する。 

 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においては、前記工程(B)において、前記紙含有ートの両面のうち、前記水の濃度が高い側の面を内向きに て、前記紙含有シートを自律的に折り曲げることが好ましい。 

 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においては、前記工程(A)において、前記紙含有シートに浸透させる前記水の量を、1.0×10-12~10g /mm3とすることが好ましい。 

 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においては、前記工程(A)において、前記水の濃度勾配を有する部位を、前記紙含有ートに、実線状又は点線状に作製することが好ましい。 [0011] 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においは、前記工程(B)において、前記水の濃度勾配を有する状態の前記紙含有シートを、常圧下で、温度 -273.15~1.0×105°C、相対湿度 0~100%の条件下で乾燥さ せることが好まし。 

 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においては、前記工程(A)において、前記紙含有シトの表面方向において、前記水の浸透量が互いに異なる、前記水の濃度勾配を有する部位を、2以上作製することが好ましい。 

 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においては、前記工程(A)におい、互いに異なる2種以上の水溶液を、前記紙含有シートの互いに異なる領 域に対して、別々に付着させることによって、前記紙含有シートの表面方向 において、前記水の浸透量が互いに異なる、前記水の濃度勾配を有する部位 を、2以上作製してもよい。 

 本発明の紙含有立体構造体の製造方法においては、前記2種以上の水溶液 として、溶質の水和パラメーターがすべて互いに異なるものを用いてもよい。

効果

 本発明によれば、折り紙技術を利用した、実用性が高い、規の立体構造体の製造方法が提供される。 

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。