オーラルフレイル自動画像診断支援ソフトウェアの開発

2023.02.13 By 昭和大学 口腔診断科学講座 歯科放射線医学部門 講師  松田 幸子

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口腔診断科学講座 歯科放射線医学部門 講師
松田 幸子

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オーラルフレイル、スクリーニング、自動診断ソフトウェア、パノラマエックス線写真

シーズ内容や、それに関する特許などの情報について

 サルコペニアや、フレイルは、要介護状態に至る重要な要因として位置づけられている。フレイルの初期段階に、口腔機能の低下、オーラルフレイル期がある。オーラルフレイル期には食べこぼし、わずかのむせ、噛めない食品の増加などの変化があり、身体面のフレイル期の前段階として位置づけられている。オーラルフレイル期を早期に発見し対策することでフレイル期への移行を遅らせられると考える。
 オーラルフレイルを早期に検出するための簡便な評価方法を確立することを目的とした。パノラマエックス線写真での評価を検討した。パノラマエックス線写真は、歯科治療で比較的撮影されることの多い画像検査である。研究の全体の流れを図1に、これまでの研究成果を参考文献図 2 に示す。まず頭部エックス線規格写真を用いて舌骨の位置について検討した。嚥下障害のない人を対象とした分析では、舌骨の上下的な位置が男性の特に高齢者で低いことが明らかとなった。次に頭部エックス線規格写真と、パノラマエックス線写真上での舌骨の見え方の関連を評価し、関連性があることを確認したのち、嚥下障害の有無とパノラマエックス線画像上の舌の大きさ、舌骨の位置の違いについて検討した。嚥下障害の有無は嚥下造影検査による判定を用いた。嚥下障害があると舌骨が有意に低い位置に認められた。さらに本結果を踏まえて AI 分析で用いるために必要なカットオフ値についての検討を行った。カットオフ値は、下顎下縁線よりも舌骨が低い位置にある Grade0 となった。現在は、東京都市大学の田口らと舌骨の自動位置評価プログラムを、北見工業大学の早川らとスクリーニングとしての AI プログラムを開発中である。

参考文献:
1)Matsuda, Y.; Ito, E.; Kimura, Y.; Araki, K. Hyoidbone position related to gender and aging usinglateral cephalometric radiographs. Orthod. Waves2018, 77, 226–231.
2)Kuroda, M.; Matsuda, Y.; Ito, E.; Araki, K. Potentialof panoramic radiography as a screening methodfor oral hypofunction in the luation of hyoid boneposition. Showa Univ. J. Med. Sci. 2019, 31, 227–235.
3)Ito, E.; Matsuda, Y.; Kuroda, M.; Araki, K. A noveldysphagia screening method using panoramicradiography. Showa Univ. J. Med. Sci. 2021, 33,74–81.
4)Matsuda Y, Ito E, Kuroda M, Araki K. A Basic Studyfor Predicting Dysphagia in Panoramic X-ray ImagesUsing Artificial Intelligence (AI)-Part 1: DeterminingEvaluation Factors and Cutoff Levels. Int J EnvironRes Public Health. 2022 Apr 9;19(8):4529. doi:10.3390/ijerph19084

想定される産業への応用

〇東京都市大学の田口らとの開発で、パノラマエックス線画像を診療用のモニタ上に表示する際に、ボタン一つで舌骨の位置のグレードを表示できる製品を作成したい。舌骨が低位置であることをアラート表示できるようになれば、歯科医師や衛生士などに対し、歯科治療時における誤嚥リスクが高いことについての注意喚起につながると考える。さらに患者自身のエックス線画像を用いて視覚的に嚥下障害のリスクについて、説明できれば、患者のフレイルに関する認識も高まり、フレイルのトレーニングに対するモチベーションも上げることができると考える。また、過去に歯科医院や病院において撮影されたパノラマエックス線画像から、舌骨位置の分析評価が可能になれば、オーラルフレイルのスクリーニングができるようになると考える。将来的にビッグデータを用いた分析が可能になれ
ば、北見工業大学の早川らと開発中の AI プログラムを用いて解析することで疫学的な分析にも貢献できると考える。

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