LPWANとスマートフォンを活用したIoTマシン支援基盤

2022.10.20 By 東京電機大学

情報

技術概要

環境センサや街頭カメラなど公共目的のマシンを主な対象とし、クラウドがマシン近辺の信頼性が高い一般ユーザのスマートフォンと当該マシンをWi-Fiで直接接続させてデータを回収し、LPWAN単独では不可能な大量データ転送や遠隔からの機能更新、周辺環境の確認などの遠隔保守を極めて低コストで実現可能な技術。

用途・応用

・公共施設の劣化監視センサ、河川の水位計、水質センサ等が収集したセンシングデーターの回収
・ネット非接触の街角カメラが検出した不審者情報等の回収等

背景

 IoT(Internet of Things)において、情報の発信源となる情報端末(以下マシンと呼ぶ。)が収集する膨大な量のデータを全てクラウドで処理すると、クラウドやネットワークの負担が大きい。このため、データの一次処理をマシン又はマシン近傍の情報処理装置(以下、エッジと呼ぶ。)で実施し、その結果をクラウドで処理するエッジコンピューティングが提案されている。

 エッジコンピューティングでは、エッジでデータの一次処理を実施することで、エッジとクラウド間の通信量を平均的には削減できるが、エッジでは処理が完了しない場合、エッジからクラウドに対して非同期で大量のデータ送信が必要になる。

 さらに、逆方向(クラウドからエッジ)についても、非同期で大量データの送信が必要である。エッジのソフトウェアのバグ対処や、機能追加、また、セキュリティホールが見つかった場合などでは、それらソフトウェアを任意のタイミングで更新できる必要がある。

 これら大量なデータの転送は、保守者による駆けつけ時間よりも短い時間で完了すれば十分、と思われるが、極めて低コストで実現できる必要がある。ところが、エッジは屋外に設置される可能性が高く、エッジの近傍には、必ずしもエッジが使用可能な無線LANが存在するとは限らない。また、エッジとネットワーク間の接続に高速なLTEなどのWAN(Wide Area Network)を使用することも考えられるが、エッジの通信コストや消費電力が問題になる。

 それら大量データの通信について、コストよりも即時性が重要であれば、固定回線を契約し無線LANを設置する、あるいは、WANを適用してもよいが、ソフトウェアの更新など、遅延よりもコストが重要視される場合は、それらの設置は適さない。一方、通信費用の低コスト化及び低消費電力化を目的としたSigfoxやLoRaなどのLow Power Wide area(LPWA)ネットワークが実用化されている。これらは通信データ量を狭帯域に抑え、通信がない場合は回路をスリープさせるなどの工夫により、人口の10~100倍の端末を経済的に収容可能としている。将来のIoTにおける無線アクセス手段として非常に有望ではあるが、大量データの通信への適用は困難である。万が一、LPWAによる遠隔通信では対応できず、保守者の出張によるデータの回収やファイル更新が必要になると、人件費の負担が問題となる。このため、LPWAを補完し、保守者の出張よりは短い時間で、エッジとクラウド間で経済的に大量データの通信が可能な手法を考案する必要がある 。 

課題

 前記課題を解決するために、本開示は、データの一次処理を行うエッジとサーバとの間でデータの転送を行うデータ転送システムにおいて、LPWAネットワークには適さないデータ量のデータの転送を、エッジの通信コストや消費電力をかけずに行うことを目的とする。

手段

 日本や東アジア、欧米などではスマートフォンの普及率が高い。このため、エッジの近傍に、無線LANインタフェースを備えたスマートフォンなどの移動端末を持ち運ぶ一般ユーザが通りかかる可能性は高い、と思われる。一方、移動端末間で近接無線方式によりデータをマルチホップ転送する、Disruption Tolerant Network(DTN)が提案されている。この通信技術を適用して、エッジから近傍の移動端末にデータを転送し、当該移動端末がインターネットに接続後にクラウドにデータを転送することで、専用の通信設備が不要となり、低コストで大量データの転送ができる可能性がある。また逆に、当該端末がインターネットに接続時にクラウドから当該端末にデータを転送し、当該端末が当該エッジにデータを転送できる可能性がある。そこで、本開示は、エッジの近傍を通りかかる移動端末を用いて、データの転送を行う。

 具体的には、本開示のデータ転送システムは、無線LANの基地局機能を有するエッジ装置がサーバ装置へデータのアップロードを行うデータ転送システムであって、エッジ装置は、移動端末がエッジ装置の無線LANの通信圏内に入ったときに、アップロードの対象となる転送データを移動端末に送信して当該移動端末に記憶させ、サーバ装置は、移動端末がエッジ装置の無線LANの通信圏外に位置する予め定められたデータ転送条件で通信可能な通信圏内に入ったときに、移動端末から前記転送データを受信する。

 具体的には、本開示のデータ転送システムは、無線LANの基地局機能を有するエッジ装置がサーバ装置からデータのダウンロードを行うデータ転送システムであって、サーバ装置は、移動端末がエッジ装置の無線LANの通信圏外に位置する予め定められたデータ転送条件で通信可能な通信圏内に入ったときに、ダウンロードの対象となる転送データを移動端末に送信して当該移動端末に記憶させ、エッジ装置は、移動端末がエッジ装置の無線LANの通信圏内に入ったときに、移動端末に記憶されている前記転送データを当該移動端末から取得する。 

効果

 本開示によれば、データの一次処理を行うエッジとサーバとの間でデータの転送を行うデータ転送システムにおいて、LPWAネットワークには適さないデータ量のデータの転送を、エッジの通信コストや消費電力をかけずに行うことができる。

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特許情報

特願2019-542067

JPB 007132632-000000