教材を学習者に適合可能な学習支援装置

2022.09.16 By 東京都立大学

情報

技術概要

教材に学習者の個人差を反映可能とし、教材を学習者に適合可能にして学習の支援をする。

用途・応用

学習支援

背景

 近 年 、 パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ ( P C : Personal Computer) や 電 子 ブ ッ ク リ ー ダ や スマ ー ト フ ォ ン 等 の 情 報 端 末 の 普 及 や イ ン タ ー ネ ッ ト ( internet) 等 の 通 信 ネ ッ ト ワ ー ク の発展に伴って、紙媒体の書籍や文書等を電子化した電子ドキュメント(電子書籍、電子文書、コンテンツ)の利用が拡大している。特に、教材、学習材、教科書等を電子化した電子 ド キ ュ メ ン ト に つ い て は 、 情 報 技 術 に よ る 学 習 支 援 、 い わ ゆ る 、 e ラ ー ニ ン グ ( e‑learning、 electronic learning、 ネ ッ ト ラ ー ニ ン グ 、 ハ イ ブ リ ッ ド ラ ー ニ ン グ 等 ) に 利 用 され、教育機関の授業・講義や企業等の研修等に広く利用されている。前記eラーニングに関する技術として、例えば、下記の特許文献1~3、非特許文献1に記載の技術が知られている。

 特許文献1としての特開2005-293239号公報には、ユーザ(クライアント、管理者)の識別情報や所属するグループ情報や成績情報等を管理するユーザ管理サーバ(1)と、電子情報としての教材(電子化された教材)を管理する教材管理サーバ(2)と、前記教材に関するテキストの付箋データや画像・動画・音声データ等のマルチメディア情報が付けられる形式に変換して前記教材を配信する文書変換サーバ(3)と、前記付箋データを管理する付箋管理サーバ(5)と、前記マルチメディア情報を管理するメディア管理サーバ(6)と、クライアントどうしの間で電子メールを送受信するためのメールサーバ(7)とを備え、生徒用端末(4)や教師用端末(9)等のクライアント間で前記教材を共用できるイーラーニングシステムについての技術が記載されている。

 特許文献1に記載の技術では、生徒が、前記教材の文字・単語・段落・頁内の座標に対して、前記付箋データや画像データ等の「メモ」の注釈情報を追加する(付す、書き込む)ことが可能になっている。また、特許文献1には、生徒が付した「質問」の注釈(付箋データ等)に対して、教師が「回答」の注釈(付箋データ、画像・音声データ等)を追加したり、ある生徒が付した「討論」の注釈(付箋データ等)に対して、他の生徒が注釈(付箋データ等)を追加可能にすることで討論可能にする技術が記載されている。
 特許文献2としての特開2005-182022号公報には、電子テキスト内の予め設定されたアクティブ領域が言語学習者(生徒)によって選択された場合に、正しい言語選択肢と正しくない言語選択肢とがプルダウンメニュー(ドロップダウンメニュー)に表示され、言語学習者によって正しくない言語選択肢が選択された場合には、正答や解説等が記載されたメッセージを表示する技術が記載されている。

 特許文献3としての特開2007-114769号公報には、学内LAN(2)やインターネット(9)によって、教材となる看護技術コンテンツ等が記憶されたサーバ(1)と、サーバ(1)にアクセス可能な各学習者パソコン(3~7,10)と、各端末(1,3~7,10)にアクセス可能且つサーバ(1)にコンテンツを登録可能な指導教師用パソコン(8)とが接続された学内教習eラーニングシステム(看護技術デジタル学習システム)についての技術が記載されている。特許文献3には、各端末(3~7,8,10)が、サーバ(1)等から取得した看護技術コンテンツを掲載(表示・閲覧)する技術が記載されている。また、特許文献3には、コンテンツが表示された画面の一部に指導者側からの質問事項(問題)を表示する質問表示欄と学習者からの回答や学習経過のレポート等が入力される学習者入力欄とを有する画面を有しており、学習者によって前記学習者入力欄に質問への回答等が入力可能な技術が記載されている。

非 特 許 文 献 1 に は 、 P D F ( Portable Document Format) フ ァ イ ル 形 式 の 電 子 ド キ ュ メントに対して、ユーザの入力によって、単語・文章等のテキストをハイライト表示にしたり、ハイライト表示にされたテキストを遮蔽したりする技術が記載されている。また、非特許文献1には、ハイライト表示にされたテキストがユーザ(学習者)の入力によって選択された場合に、選択されたテキストに応じて予め記憶された視覚的情報、例えば、2次元画像や3Dモデルを前記電子ドキュメント上に重畳表示する技術が記載されている。ここで、非特許文献1には、前記3Dモデルとして、仮想3次元空間上に形成された立体的形状の画像に対して、ユーザがマウス等の入力装置を介して操作をすると、立体的形状が回転する構成が記載されている。
 すなわち、非特許文献1には、電子ドキュメントに対して、ユーザが選択したテキストに関連する視覚的情報を表示することにより、ユーザのテキストに対する記憶を補助(暗記を支援)する技術が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2005-293239号公報(「0001」~「0006」、「0024」、「0037」~「0040」、「0046」~「0052」、図1~図33)
【特許文献2】特開2005-182022号公報(要約書、「0030」~「0033」、図1、図8)
【特許文献3】特開2007-114769号公報(要約書、「0021」~「0031」、図1)
【非特許文献】
【非特許文献1】鴨泰弘、池井寧、"電子ドキュメントによる学習支援に関する基礎的研究"、日本バーチャルリアリティ学会、第14回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集、2009年9月 

課題

(従来技術の問題点)
 学習者(生徒等)の習熟度、学習法、得意分野、暗記し易さ等には個人差があり、提供された共通の教材だけでは学習者に適さないこともある。したがって、教材が紙媒体であった従来の学習環境では、例えば、学習者が教材に対して、直接アンダーラインを引いたり、蛍光ペンでハイライト表示をしたり、赤色ハイライト表示の単語を緑色透明の下敷き等で遮蔽して穴あき問題にしたり、必要な情報を直接書き込んだり、付箋を貼ったり、音読・黙読したり、設問や章末問題等を解いたりして、学習(記憶・暗記等)を行っていた。

 ここで、近年のコンピュータ技術の発展に伴って、教材についても紙媒体から電子媒体に変化しつつあるが、特許文献2、3や非特許文献1の技術は、教材の提供者(教師、指導者等)が予め作成した共通の問題等に対してユーザ(生徒、学習者)に回答させたり、テキストに関連する視覚的情報(補足情報)を表示したりするだけであり、提供者が作成した電子ドキュメント自体の情報・知識を一方的に学習者に提供するものであった。したがって、特許文献2、3や非特許文献1の技術では、学習者が受動的、受身的な学習しか行うことができないという問題があった。

 また、特許文献1や非特許文献1の技術は、ユーザの入力によって、付箋を電子ドキュメントに付けたり、ハイライト等を表示したりする等ができるが、紙媒体と同様の学習法の一部が電子媒体でも実現できるだけであった。
 この結果、特許文献1~3や非特許文献1等の技術では、各学習者の習熟度等の差異に応じた教材(電子ドキュメントや学習法等)とならず、学習者の学習を十分に支援できないという問題があった。すなわち、学習者の個人差に適した教材として、学習者にとって十分に学習し易い教材に変化させてゆくことができないという問題があった。

 本発明は、教材に学習者の個人差を反映可能とし、教材を学習者に適合可能にして学習の支援をすることを技術的課題とする。

手段

 前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の学習支援装置は、予め設定された学習内容を説明する説明文を含む教材が電子化された電子教材を記憶する教材記憶手段と、前記電子教材の説明文を表示する教材表示手段と、前記説明文に含まれる単語を選択する入力がされたか否かを判別する選択判別手段と、前記単語が選択されたと判別された場合に、選択された前記単語を選択情報として記憶する選択情報記憶手段と、前 記 選 択 情 報 を マ ー カ ー 表 示 す る 入 力 が さ れ た か 否 か を 判 別 す る マ ー カ ー 判 別 手 段 と 、前 記 マ ー カ ー 表 示 す る 入 力 が さ れ た 場 合 に 、 前 記 選 択 情 報 を 予 め 設 定 さ れ た マ ー カ ー 表示 す る マ ー カ ー 表 示 手 段 と 、前 記 マ ー カ ー 表 示 が さ れ た 選 択 情 報 を 、 さ ら に 選 択 す る 入 力 が さ れ た か 否 か を 判 別 す る注 釈 判 別 手 段 と 、前 記 マ ー カ ー 表 示 さ れ た 選 択 情 報 が 選 択 さ れ た 場 合 に 、 前 記 選 択 情 報 に 応 じ た 文 字 、 画像 、 3 Dモ デ ル 、 動 画 お よ び 音 声 の 少 な く と も い ず れ か に よ り 構 成 さ れ た 注 釈 情 報 を 、 前記 選 択 情 報 の 表 示 位 置 の 近 傍 に 表 示 す る 注 釈 表 示 手 段 と 、前記選択情報に関する問題を作成する入力がされたか否かを判別する作成判別手段と、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を予め設定された回答用画像に置換した前記説明文と、正解の選択肢としての前記選択情報と、不正解の選択肢としての前記選択情報以外の情報と、を含む問題を作成する問題作成手段と、作成された前記問題を表示する問題表示手段と、を備えたことを特徴とする。

 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の学習支援装置において予め設定された複数の単語が登録された辞書情報を記憶する辞書記憶手段と、前記選択情報の単語と一部分が一致する単語である部分一致情報を前記辞書情報から抽出する部分一致抽出手段と、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を予め設定された回答用画像に置換した前記説明文と、正解の選択肢としての前記選択情報と、不正解の選択肢として抽出された前記部分一致情報と、を含む問題を作成する前記問題作成手段と、を備えたことを特徴とする。

 請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の学習支援装置において、
予め設定された複数の単語と、前記各単語の類義語である類義情報とが関連付けられて登録された辞書情報を記憶する辞書記憶手段と、前記選択情報の単語に関連付けられた前記類義情報を前記辞書情報から抽出する類義抽出手段と、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を予め設定された回答用画像に置換した前記説明文と、正解の選択肢としての前記選択情報と、不正解の選択肢として抽出された前記類義情報と、を含む問題を作成する前記問題作成手段と、を備えたことを特徴とする。

 請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の学習支援装置において、予め設定された複数の単語と、前記各単語の誤記の単語である誤記情報とが関連付けられて登録された辞書情報を記憶する辞書記憶手段と、前記選択情報の単語に関連付けられた前記誤記情報を前記辞書情報から抽出する誤記抽出手段と、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を予め設定された回答用画像に置換した前記説明文と、正解の選択肢としての前記選択情報と、不正解の選択肢として抽出された前記誤記情報と、を含む問題を作成する前記問題作成手段と、を備えたことを特徴とする。

 請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の学習支援装置において、複数の選択情報が記憶され且つ前記問題を作成すると判別された場合に、前記各選択情報の表示位置を回答用画像に置換した前記説明文と、前記複数の選択情報の全てを選択肢として含む選択群情報と、を含む前記問題を作成する前記問題作成手段、を備えたことを特徴とする。

 請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の学習支援装置において、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を文字情報が入力可能な前記回答用画像である文字入力画像に置換した前記説明文を含む問題を作成する前記問題作成手段、を備えたことを特徴とする。

前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明の学習支援システムは、予め設定された学習内容を説明する説明文を含む教材が電子化された電子教材を記憶する教材記憶手段と、前記電子教材の説明文を表示する教材表示手段と、前記説明文に含まれる単語を選択する入力がされたか否かを判別する選択判別手段と、前記単語が選択されたと判別された場合に、選択された前記単語を選択情報として記憶する選択情報記憶手段と、前 記 選 択 情 報 を マ ー カ ー 表 示 す る 入 力 が さ れ た か 否 か を 判 別 す る マ ー カ ー 判 別 手 段 と 、前 記 マ ー カ ー 表 示 す る 入 力 が さ れ た 場 合 に 、 前 記 選 択 情 報 を 予 め 設 定 さ れ た マ ー カ ー 表示 す る マ ー カ ー 表 示 手 段 と 、前 記 マ ー カ ー 表 示 が さ れ た 選 択 情 報 を 、 さ ら に 選 択 す る 入 力 が さ れ た か 否 か を 判 別 す る注 釈 判 別 手 段 と 、前 記 マ ー カ ー 表 示 さ れ た 選 択 情 報 が 選 択 さ れ た 場 合 に 、 前 記 選 択 情 報 に 応 じ た 文 字 、 画像 、 3 Dモ デ ル 、 動 画 お よ び 音 声 の 少 な く と も い ず れ か に よ り 構 成 さ れ た 注 釈 情 報 を 、 前記 選 択 情 報 の 表 示 位 置 の 近 傍 に 表 示 す る 注 釈 表 示 手 段 と 、前記選択情報に関する問題を作成する入力がされたか否かを判別する作成判別手段と、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を予め設定された回答用画像に置換した前記説明文と、正解の選択肢としての前記選択情報と、不正解の選択肢としての前記選択情報以外の情報と、を含む問題を作成する問題作成手段と、作成された前記問題を表示する問題表示手段と、を備えたことを特徴とする。

 前記技術的課題を解決するために、請求項8に記載の発明の学習支援プログラムは、コンピュータを、予め設定された学習内容を説明する説明文を含む教材が電子化された電子教材を記憶する教材記憶手段、前記電子教材の説明文を表示する教材表示手段、前記説明文に含まれる単語を選択する入力がされたか否かを判別する選択判別手段、前記単語が選択されたと判別された場合に、選択された前記単語を選択情報として記憶する選択情報記憶手段、前 記 選 択 情 報 を マ ー カ ー 表 示 す る 入 力 が さ れ た か 否 か を 判 別 す る マ ー カ ー 判 別 手 段 、前 記 マ ー カ ー 表 示 す る 入 力 が さ れ た 場 合 に 、 前 記 選 択 情 報 を 予 め 設 定 さ れ た マ ー カ ー 表示 す る マ ー カ ー 表 示 手 段 、前 記 マ ー カ ー 表 示 が さ れ た 選 択 情 報 を 、 さ ら に 選 択 す る 入 力 が さ れ た か 否 か を 判 別 す る注 釈 判 別 手 段 、前 記 マ ー カ ー 表 示 さ れ た 選 択 情 報 が 選 択 さ れ た 場 合 に 、 前 記 選 択 情 報 に 応 じ た 文 字 、 画像 、 3 Dモ デ ル 、 動 画 お よ び 音 声 の 少 な く と も い ず れ か に よ り 構 成 さ れ た 注 釈 情 報 を 、 前記 選 択 情 報 の 表 示 位 置 の 近 傍 に 表 示 す る 注 釈 表 示 手 段 と 、前記選択情報に関する問題を作成する入力がされたか否かを判別する作成判別手段、前記問題を作成すると判別された場合に、前記選択情報の表示位置を予め設定された回答用画像に置換した前記説明文と、正解の選択肢としての前記選択情報と、不正解の選択肢としての前記選択情報以外の情報と、を含む問題を作成する問題作成手段、作成された前記問題を表示する問題表示手段、として機能させることを特徴とする。

 

効果

 請求項1、7、8に記載の発明によれば、学習者の習熟度等の個人差に応じて電子教材の説明文中から選択された単語を対象とする 注 釈 を 表 示 し た り 、 問題を自動作成 し た り することができ、学習者の個人差に応じて問題を変化させることにより、学習者が電子教材を学習し易いものに変化させることができるため、電子教材に学習者の個人差を反映可能とし、電子教材を学習者に適合可能にして学習の支援をすることができる。
 請求項2に記載の発明によれば、選択情報を正解の選択肢とし且つ部分一致情報を不正解の選択肢とする問題を作成することができる。

 請求項3に記載の発明によれば、選択情報を正解の選択肢とし且つ類義情報を不正解の選択肢とする問題を作成することができる。
 請求項4に記載の発明によれば、選択情報を正解の選択肢とし且つ誤記情報を不正解の選択肢とする問題を作成することができる。
 請求項5に記載の発明によれば、選択群情報が有する全ての選択情報の表示位置を回答する問題を作成することができる。
 請求項6に記載の発明によれば、説明文中に選択情報の文字情報を入力する問題を作成することができる。

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特許5515150

JPB 005515150-000000