電波暗箱

2022.07.20 By 日本大学

情報

技術概要

電波暗箱は従来より知られていたが,計測対象電波により大型化することが難点であった。本発明において電波吸収体ピラミッドの配置を工夫することで同じ計測波長でも暗箱を小型化できた。

用途・応用

小型電波暗室

背景

 移動無線通信、取分けセルラー通信においては、音声中心の時代からデータ通信の時代へと変遷していく中、ほぼ5年ごとの周期で新しい通信方式の採用により、通信速度の高速化が進められている。
 現在、中心となる通信方式LTE(Long Term Evolution)(「LTE」は登録商標)は、ピークで150Mbpsの通信速度である。また、LTEの発展系であるLTE-Advancedは、ピークで600Mbpsの通信速度である。また、2020年に商用サービスを開始する5Gシステムは、IoT(Internet of Things)、ICT(Information and Communication Technology)、M2M(Machine to Machine)を意識したシステムで、最終的にピークデータレート10Gbps以上を目指している。

 通信速度の高速化により、近年、普及が目覚ましい高機能を有する無線携帯端末であるスマートフォン、タブレットに向けた高精細動画ストリーミングやビデオ通話などの情報量の多いサ—ビスが広がり、国内移動通信のトラヒック量が、平成27年3月現在のデータから約1.4倍のペースで増加し、ひっ迫した状態となっている。このため、更なる通信速度の高速化は必須である。

 通信速度の改善には、多値変調の採用、通信帯域の拡大などが考えられる。4GシステムであるLTE-Advancedでは、既存の周波数帯で纏まった帯域を確保することが困難である。このため、LTE-Advancedでは、複数のキャリアを束ねることで広帯域化を行い、通信速度の高速化を実現するCA(Carricr Aggregation)技術が採用されている。LTE-Advancedでは、2つのキャリアを束ねまとめた2DL(Down Link)CAにより受信信号の高速化が実用されている。更なる高速化を目的に、3GPPにおいて、受信側で、3DL、4DL、また、送信側で、2UL(Up Link)の仕様化が、それぞれされている。

 5Gシステムでは、マクロセルの基地局とスモールセルの基地局に、異なる別の周波数で、それぞれ制御信号、データ信号を割当て、同時に通信を行う方式の概念が検討されている。
 このように高速移動通信を実現する手段として、バンドが違う複数の周波数を同時に受信する評価環境の必要性が高まりつつある。ケーブルを使用した無線携帯端末の送受信評価方法では、実運用時と同等の評価結果を得ることが難しい。実際には、アンテナ特性も含めた受信特性評価が必要である。通常、アンテナ特性も含めた評価は、伝搬特性が理想的なフィールドに近いと考えられている電波暗室で行われるが、利便性が高く、低コストの点から簡易的な環境として電波暗箱で行われる場合がある。

 アンテナ特性も含めた評価を行う技術に関して、対向する2平面とその他の面とから形成され、送受信アンテナを有する無線端末機を格納する導電性の格納手段と、格納手段の2平面部の内面に貼付された電波吸収手段と、格納手段内に取り付けられ無線端末機を載置する載置手段と、単一の指向性を有し指向性軸が送受信アンテナならびに2平面と交差する測定用アンテナと、格納手段の一端面に取り付けられ測定用アンテナと接続された高周波端子とを具備するシールドボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平9-318689号公報

課題

無線携帯端末は、内壁(内部)に電波吸収体が形成された電波暗箱の内部に載置される。そして、電波暗箱の内部に電波が放射され、無線携帯端末の受信特性が評価される。電波吸収体の高さによって吸収できる電波の周波数が異なるため、放射する電波の周波数に応じて、電波吸収体の高さを変える必要がある。具体的には、高周波数帯から低周波数帯になるにしたがって、電波吸収体の高さを高くする必要がある。したがって、電波暗箱の内側の空間の寸法を維持して、低周波数帯の受信特性を評価する場合には、電波暗箱のサイズを大きくする必要がある。

 特に、次世代の無線携帯端末の評価を行う場合には、単一の周波数での評価ではなく、多周波数帯の受信特性を評価するニーズが高まることが予想される。つまり、電波暗箱には、多周波数帯で、且つ同時に評価ができる広帯域化に対応することが要求される。現状、使用する最低周波数帯で、電波暗箱のサイズが決まる。このため、受信特性を評価する電波の周波数帯が低周波数帯となるにしたがって、電波暗箱が非常に大きくなることが想定される。電波暗箱のサイズが大きくなることによって、その利便性が損なわれる。

 本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サイズを維持しつつ、評価できる電波の周波数帯を広帯域化できる電波暗箱を提供することを目的とする。 

手段

本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様に係る電波暗箱は、シールド箱と、前記シールド箱の内壁に取り付けられる電波吸収体とを備え、前記シールド箱の一面は、アンテナが放射する電波が入射する開口部を有し、前記開口部から入射する電波のうち、前記シールド箱の内部に置かれた通信装置へ直接到達する直接波以外の電波が到達する第1の領域及び前記直接波以外の電波のうち前記第1の領域で反射した電波が到達する第2の領域のいずれか一方又は両方に、前記第1の領域と前記第2の領域以外の領域より電波の吸収率を高くした電波吸収体が取り付けられる。

(2)上記態様にかかる電波暗箱において、前記電波吸収体は、錐体であり、前記第1の領域の少なくとも一部の領域に取り付けられる前記電波吸収体は、前記開口部を有する前記シールド箱の一面に垂直な方向をX軸とし、前記一面から該一面に対向する面へ下した垂線方向をプラス側とした場合に、該電波吸収体の頂点が、X軸のマイナス方向へ移動した斜方錐の形状であってもよい。

(3)上記態様にかかる電波暗箱において、前記第1の領域の少なくとも一部の領域に取り付けられる前記電波吸収体の底面と、前記電波吸収体の頂点と前記底面の重心とを結ぶ直線とのなす角度が50度以上であってもよい。

(4)上記態様にかかる電波暗箱において、前記電波吸収体は、錐体であり、前記第2の領域に取り付けられる前記電波吸収体は、該電波吸収体の高さが、前記第2の領域以外の領域に取り付けられる前記電波吸収体の高さよりも高くてもよい。

(5)上記態様にかかる電波暗箱において、前記アンテナは、ホーンアンテナであってもよい。

効果

上記態様にかかる電波暗箱によれば、サイズを維持しつつ、評価できる電波の周波数帯を広帯域化できる。

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特許情報

特許6786106

JPA 2018107270-000000