高粘度重質油などを水に分散混合したエマルジョン燃料 

2022.11.04 By 神奈川大学

環境

技術概要

軽油、重油、粘度調整を施した高粘度重質油などを水に分散混合した燃料の製造方法。Nox低減、省燃費効果が得られる。

用途・応用

燃料、省エネ、環境負荷低減

背景

 従来、軽油等を燃料とした熱機関(自動車、発電、船舶、航空機など)からの排気ガス中 に は 、 P M ( 炭 素 微 粒 子 ) や V O C ( α ‑Biphenyl な ど ) 以 外 に 燃 焼 に 伴 い 必 然 的 に 発生するCOやNOxの問題がある。このため、各自治体においては、独自に厳格な規制値を設定しており(例えば100~110ppm以下)、この問題の技術的解決策としては、燃料に水を50%添加したエマルション燃料によって可能になることが報告されている。
 また、高粘度の重質油とは、蒸留残渣油(タール、ピッチ、アスファルト等)、オイルサンド、天然ビチューメン、オリノコタール等の常温では扱えないような高粘性油であるが、これを流動化するために低粘度の石油留分等で調整すること、また、この調整重質油を界面活性剤によってエマルション化することも知られている。

課題

 しかしながら、軽油等の燃料は、多種の炭化水素油の混合物であるため、水を添加した燃料を従来の界面活性剤により乳化することは困難であり、界面活性剤による経時安定的なエマルション燃料は未だ開発されていない。
 また、低粘度の石油留分等で流動化された調整重質油は搬送ラインでの沈降、附着あるいは不完全燃焼による環境汚染などのため幅広く利用されるまでになっていない。しかも、調整重質油を界面活性剤によってエマルション化したエマルション燃料は、成分性状に著しい差異があるため、多量多種の界面活性剤を使っても満足できる安定性が得られていない。

 本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷への影響を低減することが可能な経時安定性に優れたエマルション燃料を提供することを主たる課題としている。 

手段

 従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを乳化・分散法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の乳化分散剤を必要とするものであった。これに対して、本発明者らは 、新 規 な 乳 化 技 術 を 開 発 す る た め に 鋭 意 研 究 を 重 ね た 結 果 、 油 /両 親 媒 性 化 合 物 /水 系 の中で独立相として存在する両親媒性化合物のナノ粒子をファンデルワールス力により燃料油に付着させることで乳化を行なう三相乳化法を見出し、本発明を完成するに至った。

 即ち、上記課題を達成するために、この発明に係るエマルション燃料は、 水 を 添 加 し た燃 料 に 、 自 発 的 に 閉 鎖 小 胞 体 を 形 成 す る 両 親 媒 性 物 質 に よ り 形 成 さ れ て 油 性 基 材 表 面 に 付着 す る 閉 鎖 小 胞 体 を 主 成 分 と し 、 前 記 閉 鎖 小 胞 体 の 平 均 粒 子 径 が エ マ ル シ ョ ン 形 成 時 に 8nm~ 5 0 0 nm、 分 散 剤 調 製 時 に 分 散 液 中 の 濃 度 範 囲 5 ~ 2 0 w t% に お い て 2 0 0 nm~ 8 00 nmで あ る 乳 化 分 散 剤 を 必 須 成 分 と し て 含 む ことを特徴としている(請求項1)。

 こ こ で 、 燃 料 は 、 軽油、重油(A-重油、C-重油)、灯油、ガソリン等、又は粘度調整を施した高粘度の重質油(蒸留残渣油、オイルサンド、天然ビチューメン、オリノコタール等)を想定しており、自己組織能を有する両親媒性物質としては、下記の一般式(化1)(以下、式は詳細資料に記載)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5~15である誘導体を用いるとよい( 請 求 項 2 , 3 ) 。

効果

 以上述べたように、この発明によれば、水を添加した軽油、又は、重油に 自 発 的 に 閉 鎖小 胞 体 を 形 成 す る 両 親 媒 性 物 質 に よ り 形 成 さ れ て 油 性 基 材 表 面 に 付 着 す る 閉 鎖 小 胞 体 を 主成 分 と す る 乳 化 分 散 剤 を必須成分として含むようにしたので、極めて経時安定性に優れた燃料エマルションを形成することができ、また、 N O x, C O , H C の発生濃度を低減することができる。また、本発明にかかるエマルション燃料を用いることで、燃焼機関の耐久年数の向上が望める。さらに、本発明にかかるエマルション燃料を用いることで、燃料成分の重量比から予測される以上のCO 2 を発生させ、また酸素濃度を増加させることができることから、完全燃焼を促進することが可能となり、不完全燃焼によって生じる炭素微 粒 子 (PM )を 低 減 す る こ と が 可 能 と な る 。

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特許情報

特開2006-241424

JPB 003858230-000000