水銀イオン捕捉材及びその製造方法、並びに処理対象の水から水銀イオンを除去する方法

2022.10.17 By 神奈川大学

環境

技術概要

高い選択制を有する水銀捕捉材により土壌汚染処理水中の水銀成分を除去する。

用途・応用

土壌汚染処理

背景

 水銀は非常に毒性の強い金属の一つである。溶液中の水銀化合物は、食物連鎖を経て体内に蓄積し、蓄積濃度が20~30ppm以上になると、知覚障害や運動障害といった中毒症状がみられるようになる。そのため、水銀による環境汚染を防止し、人の健康の保護及び生活環境の保全を図るため、環境関連法制度に基づく様々な対策がある。例えば、排水中における水銀化合物の量は厳しく規制されている。その一方で、水銀は、人類の活動によらずとも自然界にも一定量が存在し、その多くが火山活動から生まれてくるとされている。地中のマグマに含まれる水銀が火山活動によって地上に噴出し、硫黄と反応して硫化水銀を形成する。また、地殻活動によって気化した水銀蒸気は石炭層にもしみ込み、石炭にも水銀が含まれる。したがって、石炭を燃焼させるとそこに含まれる水銀が気化し、排煙と一緒に大気中に排出される。このように水銀による環境汚染は続いているので、水銀イオン(Hg(II)イオン)を検出したり除去したりする技術の開発は、環境のモニターや保全に役立つといえる。

 昨今、水銀イオンを結合することのできる種々の高分子化合物が開発され、市販されている。このような高分子化合物の一例として、キレート樹脂であるダイヤイオン(登録商標)CRやイオン交換樹脂であるDOWEX(登録商標)等がある。これらの金属イオン結合性高分子は、水銀イオンと強く結合するが、同時に他の金属イオンとも結合し、水銀イオンに対する選択性が低い。

 このような状況の中、近年、本発明者らによってDNAの二本鎖中のチミン-チミン(T-T)塩基対に水銀イオンが選択的に結合し、二個のチミン塩基が水銀により架橋された構造(T-Hg-T)となることが見出されている。また、チミンはウラシルの5位がメチル基で置換された5-メチルウラシルであるが、この5位のメチル基を水素、ハロゲン、シアノ基等で置換したウラシル類もまた水銀イオンを結合し得ることも本発明者らによって報告されている。さらに、こうした選択性を利用し、ピレンのようなエキシマー形成可能な蛍光性基を鎖中に含んだ特定配列の一本鎖DNAによる水銀イオンの蛍光センサーが提案されている。この蛍光センサーに含まれるチミンが水銀により分子間架橋(T-Hg-T)されると、架橋された蛍光センサー分子に含まれる蛍光性基同士が互いに接近してエキシマー発光を示すので、そのエキシマー発光の強度により水銀イオンを選択的に検出することができるとされる。

課題

 このように、チミンやウラシルのような核酸塩基が水銀イオンに対して高い選択性をもって結合することを利用し、水銀イオンに対して高い選択性を備えたセンサーが提案されてはいるが、例えば、水処理においてイオン交換樹脂のように簡便に利用することができ、かつ水銀イオンに対して高い選択性を備えた水銀イオンの捕捉材は未だ提案されていない 。

 本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、水処理において簡便に使用することができ、かつ水銀イオンに対して高い選択性を備えた水銀イオン捕捉材、及びそれを用いた水処理の方法を提供することを目的とする。

手段

 本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、二本に分岐した鎖
構造の末端にチミンやウラシル又はその類縁体を持つ部分構造を側鎖の末端に備え、かつ
水に対して十分な親和性を備えたポリマーを用いることにより上記の課題が解決されるこ
とを見出した。本発明は、以上の知見により完成されたものであり、以下(式は詳細資料に記載)のようなものを提供する。

効果

 本発明によれば、水処理において簡便に使用することができ、かつ水銀イオンに対して高い選択性を備えた水銀イオン捕捉材、及びそれを用いた水処理の方法が提供される。

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特許情報

特開2017-6832

JPA 2017006832-000000