下水や産業排水処理向け低温硝化技術を開発

2022.09.27 By 東洋大学

環境

技術概要

冬場での下水処理では硝化が反応を律速し、対策として担体投入法が試みられている。しかし、13℃未満では処理性能が低下する傾向があります。本研究では、5~10℃で硝化処理できる菌群の集積培養に成功しました。

用途・応用

下水や産業排水処理

背景

 食品工場や化学工場などでは、低濃度から高濃度のアンモニアを含む廃液が排出される。これらの廃液は、水域の富栄養化や溶存酸素の低下などの原因となるため、工場等から排出する前に処理を行う必要がある。

 一般的に、中~高濃度のアンモニア処理では生物処理が多く行われている。廃水中のアンモニア性窒素を生物学的に処理する場合、通常、活性汚泥法を用いた処理方法が行われる。この方法は、硝化菌によってアンモニアを硝化して硝酸または亜硝酸とし、次いで脱窒菌によって更に窒素ガスへと変換することで、廃水に含まれていた窒素を除去する方法である。

 このような活性汚泥法に用いる硝化菌として、本発明者等はこれまで、濃度5000mg/L以上の高濃度な硫酸アンモニア溶液中で8週間培養して検出される硝化菌群(AH菌 群 、 ( Ammonia oxidizing bacteria detected by M PN method using H igh ammonium media) ) ( M PN method: most probable number method) 、 お よ び 濃 度 1 0 0 m g / L の低 濃 度 な 硫 酸 ア ン モ ニ ア 溶 液 中 で 8 週 間 培 養 し て 検 出 さ れ る 硝 化 菌 群 ( A L 菌 群 、 ( Ammonia oxidizing bacteria detected by M PN method using L ow ammonium media) ) を 研究し、開示してきた。その過程で、AH菌群は高濃度のアンモニア性窒素含有水(400mg/L~500mg/L程度)の処理に対して有効であり、AL菌群は低濃度のアンモニア性窒素含有水(約100mg/L以下)の処理に対して有効であるとの知見を得た。一般的な家庭排水のアンモニア性窒素濃度は20~40mg/L程度の低濃度であるため、そのような排水の処理には低濃度のアンモニア性窒素含有水の処理に適したAL菌群が主に用いられている。

課題

 通常、生活排水は地下の下水管を通って廃水処理場に運ばれることから、冬場でも外気に比べて温度が下がりにくい。しかも廃水処理タンクが覆蓋などの断熱加工されている場合が多いことから、廃水の温度は年間を通して大きく変化せず、冬場であっても15℃を下回ることはほとんどなく、10℃を下回るのは非常に稀である。しかし、寒冷地では冬場に廃水温度が15℃を下回り、10℃を下回ることもある。このような場合に、AL菌群を用いた廃水処理では処理能力が大幅に低下する場合があることが判明した。これはAL菌群のアンモニア硝化活性が15℃以下で低下し、10℃を下回るとその活性が著しく低下することに起因するものと考えられている。そして10℃以下では、菌を高濃度に保持しても硝化が進行し難く、硝化がほとんど進行しないことが分かった。したがって、水温が15℃以下でも安定的にアンモニア性窒素含有水の処理が行える方法および装置が求められている。

 本発明はこのような課題に対処するものであり、通常は高濃度のアンモニア性窒素含有水の処理に用いられるAH菌群を用いて低温で廃水の処理を行うものである。これは、本発明者らが鋭意研究の結果知得した、AH菌群が低温においてもその処理活性が大幅に低下せずに、安定してアンモニア性窒素含有水の処理を行うことができるとの知見に基づく。

 したがって、本発明の目的は、15℃以下の低温であっても安定してアンモニア性窒素含有水を処理することができる方法を提供することである。

 また、本発明の別の目的は、15℃以下の低温であっても安定してアンモニア性窒素含有水を処理することができる装置を提供することである。

 また、本発明のさらに別の目的は、15℃以下の低温であっても安定してアンモニア性窒素含有水を処理することができるAH菌群を保持した担体を提供することである。

手段

 本発明の一態様に係るアンモニア性窒素含有水を処理する方法は、アンモニア性窒素濃度が1~300mg/Lのアンモニア性窒素含有水と、濃度5000mg/L以上の高濃度な硫酸アンモニア溶液中で8週間培養して検出される硝化菌群が優先繁殖した担体とを、好気性雰囲気下、0℃以上15℃以下で接触させて前記アンモニア性窒素含有水中のアンモニアを硝化する硝化工程、を含む。

効果

 本発明によれば、15℃以下の低水温で安定したアンモニア処理ができ、常時安定した良好な処理水を得ることができるアンモニア性窒素含有水の処理方法及び装置を提供することができる。

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特許情報

特許第6161210号

JPB 006161210-000000