高起動性と高効率を両立するバタフライ風車 

2022.09.16 By 鳥取大学 工学研究科

環境

技術概要

起動性向上と効率向上を両立する新しい風力発電装置(風車ロータ)を発明!

用途・応用

高起動性と高効率を両立する風力発電

背景

 垂直軸風車の出力は風向依存性がないため、風向変化が激しい場所では水平軸風車に対して優位になる可能性がある。また、ヨー制御(方向制御)が必要でないことから構造がシンプルになり、風車の製造コストが低減できる可能性がある。しかし、一般に、効率が水平軸風車並みに高くできる揚力型の垂直軸風車は起動性が悪いという欠点がある。

 これを改善する方法として、ダリウス型直線翼垂直軸風車において、主翼の内側に補助翼を取り付け、風車の起動性を向上させる構成が提案されている。しかし、翼端の数が増えるため、渦の発生箇所が増加することによって、揚力の減少や騒音の発生が危惧される。さらに、直線翼の場合、翼を回転軸に取り付けるアームが必要であり、アームによる抵抗損失が増加する。また、構造的に複雑になるので、製造コストが増加する問題もある。

 また、揚力型垂直軸風車の風車上部から下部に向けて、翼の弦長が単調に増加するテーパ ー 翼 を 複 数 個 配 置 し 、 風 車 重 心 位 置 を 鉛 直 下 方 に 大 幅 (上 端 か ら 風 車 高 さ の 約 75%位 置 )に下げた風車構造が提案されている。この構造により、風車重心と回転軸を支える軸受間距離を縮めることが可能となり、特に片持ち支持の場合に風車の振動抑制が期待されているほか、起動性と高速回転における効率向上の両立が期待できるとしている。また、低重心構造により、アームや風車内の中央支柱などの抵抗体の排除も期待できるとしている。

 しかし、この低重心化では、風車重心と軸受(あるいは発電機)間の距離は依然として風 車 高 さ の 1/4程 度 は 残 っ て い る 。 ま た 、 風 車 高 さ の 中 央 部 (赤 道 部 )で は 、 回 転 軸 か ら 翼までの距離が長いため大きなトルクを発生できるが、中央部から離れて上端あるいは下端近くになると回転軸から翼までの距離が短くなるため、トルクが減少するという欠点がある 。

課題

 本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、安価に製造できる簡単構造で、揚力型垂直軸風車の起動性を向上させるとともに、高速回転における効率も高い値に維持しつつ、風車の騒音や振動を抑制し得る垂直軸風車を提供することを目的とする。

手段

 本発明請求項1に係る発明は、 揚 力 型 垂直軸風車用の翼の形状に関するものであって、翼の垂直断面を成す曲線の形状が、垂直軸の近傍を出発点として、前記垂直軸から半径方向に離れるに従って前記軸方向に単調に増加した後、軸方向の最大 座 標 値 をとり、その後減少に転じて、前記軸からの半径方向 座 標 値 が最大となる点において曲線の傾きが負の無限大となり、その後、曲線の傾きの符号を正に転じ、前記軸からの半径方向 座 標 値 を単調に減少させながら前記軸方向における 座 標 値 が最小となる点に至り、そこで曲線の傾きの符号を負に転じて、前記軸からの半径方向 座 標 値 を単調に減少させながら当該曲線の出発点近傍あるいは出発点と同一点に至るような曲線で形成される形状であることを特徴とする 揚 力 型 垂直軸風車の翼を提供する。

 本発明請求項2に係る発明は、 揚 力 型 垂直軸風車用の翼の形状に関するものであって、翼の垂直断面を成す曲線の形状が、垂直軸の近傍を出発点として、前記垂直軸から半径方向に離れるに従って前記軸方向に単調に増加した後、軸方向の最大 座 標 値 をとり、その後減少に転じて、前記軸からの半径方向 座 標 値 が最大となる点において曲線の傾きが負の無限大となり、その後、曲線の傾きの符号を正に転じ、前記軸からの半径方向 座 標 値 を単調に減少させながら前記軸方向における 座 標 値 が最小となる点に至り、そこで曲線の傾きの符号を負に転じて、前記軸からの半径方向 座 標 値 を単調に減少させながら当該曲線の出発点近傍あるいは出発点と同一点に至るような曲線で形成される形状であり、かつ翼弦長の値が翼の最大半径 方 向 座 標 値 において最小であり半径方向 座 標 値 が小さくなるにつれ次第に大きくなり翼根元部分で最大となることを特徴とする 揚 力 型 垂直軸風車の翼を提供する。

 本発明請求項3に係る発明は、 揚 力 型 垂直軸風車用の翼の形状に関するものであって、翼の垂直断面を成す曲線の形状が、垂直軸の近傍を出発点として、前記垂直軸から半径方向に離れるに従って前記軸方向に単調に増加した後、軸方向の最大 座 標 値 をとり、その後減少に転じて、前記軸からの半径方向 座 標 値 が最大となる点において曲線の傾きが負の無限大となり、その後、曲線の傾きの符号を正に転じ、前記軸からの半径方向 座 標 値 を単調に減少させながら前記軸方向における 座 標 値 が最小となる点に至り、そこで曲線の傾きの符号を負に転じて、前記軸からの半径方向 座 標 値 を単調に減少させながら当該曲線の出発点近傍あるいは出発点と同一点に至るような曲線で形成される形状であり、かつ翼弦長の値が翼の最大半径 方 向 座 標 値 において最大であり半径方向 座 標 値 が小さくなるにつれ次第に小さくなり翼根元部分で最小となることを特徴とする 揚 力 型 垂直軸風車の翼を提供する。

 本発明請求項4に係る発明は、請求項1、2または3に記載の翼を、前記垂直軸の軸対称に複数個配置して構成されたことを特徴とする風車を提供する。

 本発明請求項5に係る発明は、請求項4に記載の風車の重心位置近傍に発電機を備えたことを特徴とする発電装置を提供する。 

効果

 本 発 明 は 、 上 述 の よ う な 構 成 か ら な る の で 、 以 下 の よ う な 効 果 を 奏 す る 。 即 ち 、 1個 の翼で二重翼の効果を有するため、風車の起動性、出力特性(特に、高速時)の両立が可能となる。また、翼 端 が な い た め 、 揚 力 損 失 (翼 端 損 失 )の 低 減 お よ び 騒 音 低 減 が 可 能 と な り 、アームが存在しないため、空力抵抗の減少効果があるとともに、部品点数が少なくなるため、風車製造コストの低減が可能である。更にまた、風車重心位置に発電機を設置できる構造であり、振動対策として有効である。

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特許情報

特許第6035545号

JPB 006035545-000000