金属酸化物含有複合体およびその製造方法、ならびにそれを用いた二酸化炭素還元法

2022.09.16 By 鳥取大学 工学研究科

環境

技術概要

複数の遷移金属を含む結晶性複合酸化物触媒を数ナノmにし、光触媒活性を大きく向上します。

用途・応用

二酸化炭素の光還元活性向上

背景

 従来、有用な有機化合物を得るための炭素資源は、石油、石炭などの化石資源に依存している。化石資源は、使用時に排出される二酸化炭素(CO 2 )が地球温暖化の原因となり、CO 2 の削減が地球規模での課題となっている。また、化石資源は、有限の資源と考えられ、資源の枯渇の問題も含んでいる。一方、いわゆる人工光合成によってCO 2 を 炭素資源化することが考えられている。CO 2 を炭素資源化することができれば、上記の問題を解決することが可能となり、非常に有用な技術となる。CO 2 の炭素資源化では、太陽光などの光によってCO 2 を一酸化炭素(CO)に還元する反応(光還元反応)が、重要なステップの1つとなり得る。生成したCOは、合成ガス(CO+H 2 )の原料として使用することができ、合成ガスは、メタノール(CH 3 OH)などの有機化合物を製造するための原料となり得る。そのため、CO 2 の光還元反応に寄与する有用な触媒の開発が求められる。

 CO 2 の還元反応の触媒として、Co 3 O 4 を用いた触媒が開示されている(非特許文献1参照)。この文献では、スピネル型Co 3 O 4 を数nmの薄膜にすることによって、C O 2 の還元活性を向上することが報告されている。しかしながら、この文献の方法は、電気化学による還元を利用するものである。また、光還元触媒として、バナジウム酸化物が担持されたチタン酸化物が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この文献の方法は、チタン酸化物の光触媒作用をベースとしたものである。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2016-073963号公報
【非特許文献】
【非特許文献1】S. Gao, et al., "Ultrathin Co3O4Layers Realizing Optimized CO2 Electroreduction to Formate", Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 698

課題

 本発明は、触媒として機能することができ、二酸化炭素を効果的に光還元することが可能な新規な複合体材料を提供することを目的とする。また、本発明は、二酸化炭素を効果的に光還元する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、二酸化炭素を効果的に光還元することが可能な複合体材料を製造する方法を提供することを目的とする。

手段

 本発明は、下記に挙げられる実施態様を含むが、これらに限定されるものではない。

[1] 周期表で第6族~第12族に分類される金属を2種以上含む金属酸化物の粒子と、前記金属酸化物の粒子を担持する担体とを含み、前記金属酸化物は、スピネル型、またはペロブスカイト型の結晶構造を形成し、前記金属酸化物の粒子の平均粒子径が5nm以下である、金属酸化物含有複合体。
[2] 前記金属酸化物は、スピネル型の結晶構造を形成している、[1]に記載の金属酸化物含有複合体。
[3] 前記金属酸化物は、Cu、Co、Mn、Fe、Ni、およびZnからなる群から選択される2種以上の金属を含む、[1]または[2]に記載の金属酸化物含有複合体。
[4] 前記金属酸化物は、CuCo 2 O 4 、MnCo 2 O 4 、またはFeCo 2 O 4 である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の金属酸化物含有複合体。
[5] 前記担体は、TiO 2 、SnO 2 、Al 2 O 3 、PbO 2 、またはZnOの粒子である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の金属酸化物含有複合体。
[6] 金属酸化物含有複合体の総重量100重量%に対し、前記金属酸化物の総含有率が、0.001~30重量%である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の金属酸化物含有複合体。
[7] [1]~[6]のいずれか1つに記載の金属酸化物含有複合体を製造する方法であって、
 工程1:金属イオン、界面活性剤、水、および疎水性有機溶媒を含み、油中水型のミセルを含むエマルジョンである第1液と、水酸化物イオン、界面活性剤、水、および疎水性有機溶媒を含み、油中水型のミセルを含むエマルジョンである第2液とを、混合する工程、
 工程2:前記工程1で得られた混合液に、担体を加える工程、
 工程3:前記工程2で得られた混合液に、水溶性有機溶媒を加える工程、
 工程4:前記工程3で得られた混合液から、担体を含む不溶物を取り出す工程、および、
 工程5:前記工程4で得られた不溶物を焼成する工程、を含む、金属酸化物含有複合体の製造方法。
[8] 前記工程2において、前記担体および疎水性有機溶媒を含む担体分散液を、前記工程1で得られた混合液に加え、前記工程3において、水溶性有機溶媒を加えることにより、油中水型のミセルを開裂させる、[7]に記載の金属酸化物含有複合体の製造方法。
[9] 二酸化炭素を還元するための、[1]~[6]のいずれか1つに記載の金属酸化物含有複合体からなる触媒。
[10] [1]~[6]のいずれか1つに記載の金属酸化物含有複合体、光吸収体、および犠牲剤の存在下、二酸化炭素を光還元する、二酸化炭素還元方法。
[11] 光吸収体がルテニウムビピリジンであり、犠牲剤がトリエタノールアミンである、[10]に記載の二酸化炭素還元方法。
[12] 液相中で二酸化炭素を光還元する、[10]または[11]に記載の二酸化炭素還元方法。
[13] 前記金属酸化物含有複合体の総重量が、溶媒1Lに対して、0.001~100gの比率である、[12]に記載の二酸化炭素還元方法。

効果

 本発明によれば、二酸化炭素を効果的に光還元する触媒としての機能を有する、新規な複合体材料を提供することができる。また、本発明によれば、二酸化炭素を効果的に光還元する方法を提供することができる。

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特許情報

特開2021-023840

JPA 2021023840-000000