CO2吸収部材の製造方法

2022.09.09 By 中央大学

環境

技術概要

自己発熱線材の表面にCO2吸収材の微粉末を塗布し、通電によりCO2吸収材を脱炭酸温度よりも高温、かつ、分解温度よりも低温で加熱する。

用途・応用

CO2吸収部材

背景

 近年、二酸化炭素(CO 2 )排出量の増加が大きな環境問題の一つとして挙げられている。このCO 2 排出量の増加に対する対策として、直接的なCO 2 排出量の削減は重要である。しかしながら、CO 2 排出量増加の主な原因が発電所、製鉄所や自動車の稼働にあるという事実を考慮すると、その排出量を今すぐに劇的に減少させる事は難しいと考えられる。そのため、2つ目の対策として、CO 2 の発生には目をつぶり、発電所、製鉄所や自動車の排出混合ガスからCO 2 のみを分離・回収する技術が多く提案されてきた。

 CO 2 の分離・回収技術は、1)膜分離法、2)吸着法、3)化学吸収法の3つに大別される。1)の方法はCO 2 分離膜の両側のCO 2 の化学ポテンシャルの差を利用してCO 2 を分離する方法であり、膜材料としては高分子膜、無機膜、促進輸送膜等がある。2)の方法は、物質への気体の吸着力の違いを利用して、排ガスからCO 2 のみを分離する方法である。多孔質のゼオライトや活性炭のようにCO 2 を吸着しやすい固体吸着材にCO 2 含有ガスを接触させ、固体吸着材の微細な空隙にCO 2 を選択的に吸着させることによってCO 2 の分離を行うことができる。吸着されたCO 2 は減圧または加熱することにより放出・回収される。これらの特徴として比較的装置が簡単であり、乾式操作でメンテナンスが容易であることがあげられるが、吸着材の再生時の所要動力が大きく、吸着工程と脱着工程の切り替え時にバルブの切り替えを頻繁に行うため、装置の耐久性には問題がある。

 これに対して、3)の化学吸着法は、吸着(吸収)材質とCO 2 間の化学反応を利用した方法であるため、CO 2 選択性が非常に高く、CO 2 吸収後の安定性も高く、さらに繰り返し利用が容易であると考えられている。従来、化学吸着(吸収)法に使用されるCO2 吸収材としては、有機系ではモノエタノールアミン(HOC 2 H 4 N H 2 )を中心としたアミン系有機物質が有力視されている。これらアミン系CO 2 吸収材は、水に溶解させて使用されていて(10%~20%濃度)、最近稼働率が増大した火力発電所等では応用が最も近いと言われている。

 近年、リチウム複合酸化物は、高温な場所で使用可能であり、かつ、高性能でコンパクトな無機固体系のCO 2 吸収材として期待されている。リチウム複合酸化物のCO 2 吸 収材としての特徴は、600℃以上の高温領域でCO 2 と高速に反応すること、また、1gあたりのCO 2 を吸収能力が大きいこと、が挙げられる。特許文献1では、リチウム複合酸化物をCO 2 吸収材として用いて、大気中のCO 2 の吸収放出が可能であり、良好な炭酸ガス吸収性を有する炭酸ガス吸収材、CO 2 吸収性が高く、大気等の炭酸ガス含有雰囲気中での炭酸ガスの吸収放出が行なえる炭酸ガスの吸収放出方法および吸収放出装置が提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2009-291770号公報

課題

 しかしながら、CO 2 吸収材とCO 2 とを反応させた場合、CO 2 との反応が進行するに従い、CO 2 吸収材の粒子表面が反応生成物で覆われてしまうため、CO 2 吸収能力は急激に低下してしまうという問題を有している。そのため、CO 2 吸収部材を繰り返し利用するためには、一旦吸収させたCO 2 を放出させる過程が必要となる。吸収したCO 2を放出させるためには、CO 2 吸収部材を電気炉内に移動させて700℃以上に加熱するか、または、CO 2 吸収材と電気炉を合体させた大型の吸収部材にする必要がある。しかしながら、このような場合、CO 2 吸収部材が大型化してしまい、用途が制限されてしまうおそれがあり好ましくない。

 そこで、本発明の目的は、コンパクトで、かつ、吸収したCO 2 の放出を容易に行うことができるCO 2 吸収部材の製造方法を提供することにある。

手段

 本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、CO 2 吸収材の担体に所定の材質を用いることで、CO 2 吸収部材の温度を容易に制御することでき、これにより、上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明のCO 2 吸収部材の製造方法は、自己発熱線材と、該自己発熱線材を被覆するLi 4 SiO 4 、Li 2 CuO 2 およびLi 2 C O 3 からなる群から選択されるC O 2 吸収材を有する表層と、を有するCO 2 吸収部材の製造方法において、前記自己発熱線材の表面上に、前記CO 2 吸収材の微粉末を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後、前記自己発熱線材に通電することにより発熱させて、前記CO 2 吸 収材を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とするものである。

 本発明のCO 2 吸収部材の製造方法においては、前記自己発熱線材は銅線材、ケイ素線材またはニクロム線材であることが好ましい。また、本発明においては、前記加熱工程における加熱温度は700℃~950℃であることが好ましい。本発明においては、前記自己発熱線材が銅線材またはケイ素線材であり、かつ、前記CO 2 吸収材がLi 2 C O 3 の微粉末であることがより好ましく、この場合、前記加熱工程における加熱温度は685℃~950℃であることが好ましい。

 本発明の他のCO 2 吸収部材の製造方法は、自己発熱線材と、該自己発熱線材を被覆するLi 4 SiO 4 、Li 2 CuO 2 およびLi 2 C O 3 からなる群から選択されるCO 2吸収材を有する表層と、を有するCO 2 吸収部材の製造方法であって、前記自己発熱線材と前記表層との間に層厚18μm以下の酸化層を有するCO 2 吸収部材の製造方法において、前記自己発熱線材を通電することにより自己発熱線材の表面を酸化して酸化層を形成する酸化工程と、前記酸化工程後、前記酸化層の表面上に、前記CO 2 吸収材の微粉末を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後、前記自己発熱線材に通電することにより発熱させて、前記CO 2 吸 収材を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とするものである。

 本発明の他のCO 2 吸収部材の製造方法においては、前記酸化工程において、前記自己発熱線材を表面電力密度3.0~8.0W/cm 2 で通電することが好ましい。また、本発明においては、前記加熱工程において、前記自己発熱線材を表面電力密度9.0~15W/cm 2 で通電することが好ましい。本発明においては、ことが好ましい。

効果

 本発明によれば、コンパクトで、かつ、吸収したCO 2 の放出を容易に行うことができるCO 2 吸収部材の製造方法を提供することができる。

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特許情報

特許第6363407号

JPB 006363407-000000