含ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法

2022.09.09 By 中央大学

環境

技術概要

含ハロゲン化合物と、アミンを含有する水溶液とを接触させる。

用途・応用

脱ハロゲン化

背景

 ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン化合物は化学的・機械的特性に優れているため、電線、下水管、水道管、壁紙等の内装材、建材、農業用ビニールハウス等多方面に使用されている。しかしながら、これら含ハロゲン化合物の廃棄処理には多くの困難を伴う。含ハロゲン化合物の廃棄処理方法として、不活性ガス雰囲気下での熱分解が知られているが、含塩素化合物を不活性ガス雰囲気下で熱分解や燃焼させた場合、塩素は塩化水素(HCl)の形で脱離し、この塩化水素により反応器が腐食したり、有害な塩素化合物が発生したりと、問題になる。

 一方、廃プラスチックを熱分解により油化して、燃料としてリサイクルしようとする場合、廃プラスチックにPVCのような含ハロゲン化合物が含まれていると、含ハロゲン化合物自体は熱分解では液化せず、ほとんどが炭化した状態になる。そのため、含ハロゲン化合物は廃プラスチックの液体燃料化への妨げになる。また、含ハロゲン化合物は生成熱分解油中のハロゲン混入の原因となり、生成油の品質の悪化をもたらす。

 このような状況において、プラスチック廃棄物から、PVC等の含ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法が種々提案されている。例えば、特許文献1では、ポリ塩化ビニル樹脂を200℃~450℃の温度範囲に昇温した、水と有機溶剤とからなる混合溶媒に接触させる脱ハロゲン化方法が提案されている。また、特許文献2では、180℃以上350℃未満に加熱したアンモニア含有水溶液を含ハロゲン化合物に接触させる脱ハロゲン化方法が提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平7-11026号公報
【特許文献2】特開2006-45469号公報

課題

 今日、下水管や電線に比べて多くはないが、PVCは注射器等の医療廃棄物に多く含まれており、その処理も問題となっている。医療廃棄物は感染症等の予防のため、熱処理による滅菌処理が必要であり、現状では焼却処理や水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液による高温高圧下での処理方法が検討されている。

 しかしながら、特許文献1や2に記載されている脱ハロゲン化方法や、水酸化ナトリウム水溶液を用いた高温高圧下での処理は、通常、200℃以上の高温条件が必要であり、特許文献1、2で提案されている脱ハロゲン化方法や、水酸化ナトリウム水溶液を用いた高温高圧下での処理は、エネルギー的に好ましくない。また、含ハロゲン化合物の処理の迅速化も望まれている。

 そこで、本発明の目的は、従来よりも緩やかな条件で、かつ、迅速に脱ハロゲン化が可能な含ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法を提供することにある。

手段

 本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。すなわち、特許文献2で提案されているアンモニアを用いた脱ハロゲン化方法は、アンモニアの含ハロゲン化合物中への優れた浸透性、または反応性を利用して脱ハロゲン化を行っているが、含ハロゲン化合物に対する浸透性または反応性については、アンモニアよりもアミンの方が優れている。かかる知見に基づき、本発明者らはさらに鋭意検討した結果、アミンを含ハロゲン化合物に接触させることで、従来よりも緩やかな条件で、かつ、迅速に脱ハロゲン化が可能な含ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法ことを見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明の含ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法は、 ポ リ 塩 化 ビ ニ ル 、 ポ リ 塩化 ビ ニ リ デ ン ま た は ポ リ ク ロ ロ プ レ ン で あ る 含ハロゲン化合物と、ジメチルアミンを含有する温度140~160℃の水溶液と、を接触させることを特徴とするものである。

 本発明の脱ハロゲン化方法においては、前記水溶液は前記アミンよりも強塩基性物質を含有することが好ましい。また、本発明においては、前記強塩基性物質は水酸化ナトリウムであることが好ましい。さらに、本発明においては、前記水溶液中の前記強塩基性物質の濃度は、0.5~1.5mol/Lであることが好ましい。またさらに、本発明においては、前記水溶液中の前記ジメチルアミンの濃度は、0.8~1.5mol/Lであることが好ましい 。 

効果

 本発明によれば、従来よりも緩やかな条件で、かつ、迅速に脱ハロゲン化が可能な含ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法を提供することができる。また、本発明の脱ハロゲン化方法は、閉鎖系で行うことができるため、生成物の回収が容易である。さらに、アミンは弱塩基性であるため、NaOHやアンモニアを用いた従来の脱ハロゲン化方法よりも処理装置が腐食しにくい。さらにまた、アミンは樹脂透過性に優れるため、含ハロゲン化合物試料の粉砕、微粒子化といった前処理が不要であり、さまざまな形状の試料についても効率的に脱ハロゲン化することができるといった利点を有している。

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特許情報

特許第6470899号

JPB 006470899-000000