海洋環境動態解析(理論・数学的背景・数値シミュレーション技法)

2022.09.05 By 横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 西 佳樹

環境

研究概要

海から資源やエネルギーを取り出すとき、海という自然環境へどんな「影響」があるのか?その「影響」を算定し、社会にその情報を提供する仕組みをつくりだすことを目指しています。自然現象からヒトへの影響という幅広い現象を扱うため複数の学術分野(海洋学、海洋工学、流体力学、材料力学、確率統計学、リスク学など)をまたぐことが特色です。「海洋環境リスク評価のための数値シミュレーションモデル構築」、「海洋の流れからエネルギーを取り出す新技術の創出」、「海鉱物資源技術の採集効率の評価」等のテーマに対し多角的な手法(理論/実験/数値計算)を用いて取り組んでいます。

アドバンテージ

私たちの研究室では分野細目の縄張りを意識せず複数の分野をつなげる理論をつくります。多くの場合、応用数学を土台としつつ各分野の基本法則を取り込みひとつの体系を築きます。例えば、海洋環境リスク評価を行うための数値モデル開発では、流体力学・海洋物理学・生態学・確率論・制御理論、薬理動態学、リスク学を統合させ、リスク評価ひいてはリスク管理のあり方に新境地を開くことを目指しています。

各分野の基礎理論を重視します。異分野統合型研究であるからこそ、各分野の基礎をなす理論を入念に検討し、それらが異分野の現象といかに結びつくかを思考しその結果を順次、新理論へ取り込んでいきます。

研究室で独自に数値計算用プログラムを設計・製作し、社会に提供することを前提とした実用性の高いソフトウェアを実装します。数値計算スキームの詳細な性質からアルゴリズムの全体設計にいたるまで、研究室構成員がそれらを把握した状態で作業を実行しています。

 

事例紹介

最近手掛けた基礎研究の成果をいくつか紹介します。

(1)沿岸域を対象とした潮流数値シミュレーション手法の実用性向上

 沿岸域の海洋汚染問題を解決していくための方法として潮流数値シミュレーションは学術研究においては不可欠となっているのとは対照的に、それが公共事業やビジネスにおいて使われる方法としては確立していません。それを受けて、計算技法の長所・短所を改めて検討するとともに新たな工夫を盛り込み、実用性を向上させることができました。

(2)海水中における流体構造連成力学を応用した海流速度の推定手法の開発

 海流の深さ方向分布を仮定し、海洋資源開発で使われている細長い柔軟な管状構造物の運動を解く、という研究は以前からありました。しかし、深度が数千メートルにおよぶ深海の海流速度を隈なく把握できることは一般的に困難ですから上記の仮定には疑問が残ります。そこで、管状構造物の運動を計測して、その情報をつかって海流の深さ方向分布を推定する手法を構築しました。

相談に応じられるテーマ

海洋環境動態解析(理論・数学的背景・数値シミュレーション技法)

海洋環境リスク評価

海洋環境分野に関する異分野融合のコーディネート

主な所属学会

日本船舶海洋工学会

日本応用数理学会

人工知能学会

主な論文

Nishi Y., Motoyoshi M., Ueda T., Growth and coexistence of structural and lift force modes in vortex-induced vibration of a flexible riser, Journal of Marine Science and Technology, 23 (4):899-914,2018

Nishi Y., Y. Ueno, T. Miyamoto, Energy harvesting using wake-induced vibration: experiment in circulating water channel. Journal of Ocean and Wind Energy (ISOPE), 2(4):231-238,2015

Nishi Y., S. Tabeta, Analysis of the contribution of ice algae to the ice-covered ecosystem in Lake Saroma by means of a coupled ice-ocean ecosystem model, Journal of Marine Systems, 55(3-4):249-270,2005

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