振動発電器

2022.08.09 By 千葉大学

環境

技術概要

電荷を打ち込む工程が不要で、表面電荷密度を向上できるエレクトレットを用いて出力電力を大きくできました。

用途・応用

発電器

背景

 より安心・安全な社会を実現するために、トリリオンセンサーユニバースの構築が提唱されている。そこで、種々のセンサーを駆動するために、光や熱、振動といった身の周りにある微小なエネルギーから電気エネルギーを得る環境発電技術が注目を集めている。現在、様々なエネルギー変換デバイスが提案されているが、特に運動エネルギーから電気エネルギーを得ることができる静電誘導型の振動発電器が有望視されている。振動発電器には、エレクトレット(半永久的に電気分極を保持する物質)が導入されている。エレクトレットは振動発電器の出力を決定する重要な材料であり、その表面電荷密度の向上と作製プロセスの簡略化が望まれている。

 エレクトレットは誘電体に電荷を打ち込んだものであり、半永久的に静電場を発生させることができる材料のことである。このエレクトレットを作成するための代表的な方法として、コロナ放電法がある(例えば、特許文献1参照)。

 コロナ放電法での、エレクトレットの作製について説明する。図1に示す直流コロナ放電装置400において、構造体10が形成された基板1を電極板41上に載置するとともに、電極針42を構造体10の電極板41と反対側の面の直上に配置し、電源40により高電圧を電極針42と電極板41との間に印加する。具体的には、室温において、10kVの電圧を電極針42と電極板41との間に30分間印加した。これにより、電極針42と構造体10との間の空気の絶縁破壊によるコロナ放電が生じ、構造体10を形成するエレクトレット膜の分子が分極し、電荷が集中して蓄積される。以上の工程を経てエレクトレットを作製していた。

 エレクトレットに電荷を打ち込む方式として、コロナ放電法以外にも、電子線照射法、熱ポーリング法、接触充電法などの様々な荷電処理プロセスが採用されてきた。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2017-99208号公報

課題

 背景技術で説明した電荷を打ち込んでエレクトレットを作製する場合、高電圧電源、電極板、電極針等の設備が必要となり、又、高電圧を扱うので安全管理上の対策も必要で、荷電処理プロセスが煩雑で、生産性を下げるとともに、エレクトレットのコストが高くなるという問題点を有していた。また、高電圧(10kV)を長時間(30分)印加する必要があり、エレクトレットの作製に長時間を必要とし、この点でも、生産性を下げるという問題点を有していた。

 エレクトレットとしての表面電荷密度σが小さくなると、振動発電器の出力電力Pは小さくなる。背景技術で説明した電荷を打ち込んでエレクトレットを作製した場合、エレクトレットとしての表面電荷密度σが小さいため、出力電力Pも小さく、振動発電器として使用用途が限定されてしまう。出力電力Pを大きくするためには、表面電荷密度σを大きくする必要があるが、そのためには、さらに多くの電荷を打ち込む必要があり、この点でも、生産性を下げるという問題点を有していた。

 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エレクトレットを作製する際、誘電体に電荷を打ち込む工程が不要であるとともに、作製したエレクトレットの表面電荷密度を向上させ、出力電力が大きい振動発電器を提供することを目的とする。

手段

 本発明の一つの観点によれば、上記課題を解決するために、エレクトレット電極に対向する対向電極を有する構成で誘導電荷を発生させ、エレクトレット電極又は対向電極を振動させることで、誘導電荷を移動させて発電する振動発電器であって、エレクトレット電極が、少なくとも第1の電極及び第1の極性分子を有し、第1の電極上に第1の極性分子が積層されたものである。

効果

 本発明によれば、誘電体に電荷を打ち込む工程が不要で、表面電荷密度を向上できるエレクトレット及びそのエレクトレットを用いて出力電力を大きくできる振動発電器を提供できる利点がある。

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特許情報

特開2020-036423

JPA 2020036423-000000