脱炭素社会のレジリエンス性を備えた地域エネルギーシステム

2022.07.20 By 横浜国立大学 都市科学部 建築学科 佐土原 聡

環境

研究概要

地球温暖化をはじめとした地球環境問題、ヒートアイランドなどの都市特有の地域環境問題が深刻化しています。また、日本列島は地震の活動期に入ったとも言われ、近年、地震が頻発しており、地球温暖化に伴う風水害の激化、都市化や高齢社会などの進展による災害への脆弱化も伴って、災害リスクが増大しています。一方でわが国はSociety 5.0に向けて、都市・地域のまちづくりのDX化、人間中心社会の実現をめざしています。 私の研究室では、これら様々な課題に対応しながら、持続可能な都市環境づくりを実践的に研究しており、「都市・地域防災」、「地域エネルギー計画」、「まちづくりのDX」などの研究テーマに取組んでいます。環境を統合的・俯瞰的にとらえる研究支援ツールとして、地理情報システム(GIS)を積極的に活用しており、分野横断・文理融合による持続可能な都市のデザインをめざしています。

アドバンテージ

佐土原は(一社)都市環境エネルギー協会の学術理事を務めており、同協会と連携して、国や自治体、産業界の最新動向をふまえて、都市づくりと一体となった地域エネルギーシステムに関する研究に取り組んでいることが強みです。また、様々な分野でDX化が求められる中で、GISを基盤とした高密度都市域のデジタルツインの構築と活用による、まちづくりのDX化研究に取組んでいることも強みです。このデジタルツインは、都市の課題解決に向けて、異なる分野の連携、文理融合研究を推進するプラットフォームの役割を果たします。

事例紹介

横浜みなとみらい21地区を対象として、GISを活用したまちづくりDXのためのデジタルツインのサイバー空間の情報基盤を構築する研究に取組んでいます。サイバー空間は【モノ】【ヒト】【コト】の3要素で構成され、【モノ】【ヒト】がその基盤になると考えています。【モノ】は歩行空間ネットワークを組込んだ3D都市空間モデルであり、GISによる空間解析機能を備えています。【ヒト】は「マクロ」「ミドル」「ミクロ」のスケールの視点で、人の動きをセンシング(測定)・分析・モデル化・予測する研究に取組み、その成果を組込んでシミュレーションに活用し、まちづくりのPDCA実現につなげます。【モノ】【ヒト】で構成される基盤は、防災、環境・エネルギー、モビリティ、賑わいづくり、経済的な活性化(これらを【コト】と捉えている)など、分野を超えた様々なまちづくりの課題解決に有用なプラットフォームの役割を果たすことになります。

https://future-cities.ynu.ac.jp/jst2019/

相談に応じられるテーマ

脱炭素社会のレジリエンス性を備えた地域エネルギーシステム

地理情報システム(GIS)を活用したまちづくりのDX

主な所属学会

日本建築学会

地域安全学会

日本都市計画学会

主な論文

Architecture Design of Area Management Platform for Super Smart City (part Ⅱ)』「Journal of Asian Urban Environment, 17th International Conference of Asia Institute of Urban Environment,4p., 2020.11

『地球環境未来都市研究 その58 屋内公共空間におけるミクロスケールの人流計測結果の解析』「日本建築学会大会学術講演梗概集・環境工学Ⅰ」pp.2243-22442020.08

d4PDFを用いた気候変動のCGSと蓄熱槽の効果への影響に関する検討 横浜みなとみらい21地区の地域冷暖房を対象として』「日本建築学会環境系論文集」pp.389-399, 2020.05

主な著書

「都市科学事典」(編集代表)春風社,2021.2

「スマートシティ時代のサステナブル都市・建築デザイン」(共著),日本建築学会,2015.1

「時空間情報プラットフォーム-環境情報の可視化と協働-」(編著),東京大学出版会,2010.7

主な研究機器・設備

地理情報システム(ArcGIS)、3D-Lidar(レーザー人流計測装置)

主な地域活動

横浜市専門委員(横浜市),横浜市環境創造審議会副会長(横浜市),川崎市環境審議会会長(川崎市)

問い合わせ

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