超小型飛翔体用姿勢制御装置 Control Moment Gyro (CMG)

2022.10.20 By 東京電機大学

電気・電子工学

技術概要

一般の人工衛星・大型の宇宙機には、Control Moment Gyro (CMG)が用いられることが多く、超小型衛星に対しては、その機構の複雑さに起因する擾乱が原因によりトルク分解能が劣り、姿勢制御精度が低いという課題があった。本技術は、CMGの課題であった特異点回避によって悪化する姿勢制御精度を補償する機能を発明した。

用途・応用

・無人飛翔体
・高速姿勢制御
・人工衛星

背景

 従来のこの種の技術として、特許文献1-4に記載された姿勢制御装置が知られている。特許文献1は、4台のコントロールモーメントジャイロ(CMG)を配置した人工衛星用姿勢制御に関し、ジンバル角速度から姿勢制御トルクを出力し、CMGから出力されるトルクの大きさが特異点に近づくに従って小さくなるように制御している。

 特許文献2の姿勢変更制御システムは、人工衛星上のシングルジンバルCMGを4台搭載し、CMGの欠点である特異点近傍で大きな出力トルクが得られない点を、異方性重み付け傾斜法で改善している。

 特許文献3の人工衛星の姿勢制御装置は、複数台のCMGにより構成され、ジンバル角速度を目標値としてフィードバックループを組むことにより、人工衛星の姿勢制御トルクを発生する。また、目標ジンバル角にフィードバック項を追加することにより、特異点近傍にCMGが停留してしまうことを回避している。

 特許文献4のアクチュエータ駆動装置は、複数台のCMGアクチュエータにより、姿勢制御トルクを発生する一方、特異状態に陥った場合には、発生トルクが不足する軸に対してリアクションホイールを併用して姿勢制御トルクを補っている。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【特許文献1】特開2009-298345号公報
【特許文献2】特開2008-189235号公報
【特許文献3】特開2006-240375号公報
【特許文献4】特開2013-184537号公報

課題

 しかしながら、特許文献1-3においては、特異点状態に陥った場合には、ジンバル角速度指令値が大きくなることがあり、急激な角速度変化や外乱が発生する。その結果、ジンバル追従性が悪化し、制御性能が低下するおそれがある。特許文献4では、特異点状態に陥った場合には、ジンバルにリアクションホイールを併用して姿勢制御トルクを制御していたため、制御が複雑化していた。

 本発明の課題は、計算負荷が小さい制御によって特異点状態においてもジンバル追従性を良好にすることができる姿勢制御装置を提供する。

手段

 上記課題を解決するために、本発明に係る姿勢制御装置は、複数台の制御モーメントジャイロ(CMG)を備えた姿勢制御装置において、各々のCMGは、ホイール回転軸を中心にホイールを回転させるホイール制御器と、前記ホイールを支持し且つ前記ホイール回転軸に対して直交するジンバル回転軸を中心にジンバル機構を回転させるジンバル制御器と 、 要 求 ジ ン バ ル 角 速 度 に 基 づ き リ ッ カ チ 方 程 式 ( Riccati Equation) 解 を 算 出 し 、 算 出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する線形近似部と、CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、前記線形近似部で設定された前記フィードバック関数により前記ジンバル制御器のゲインを算出するゲイン算出部と、前記ゲイン算出部で算出されたゲインに基づく前記ジンバル機構の回転トルクと、前記ホイールの回転トルクとに基づき前記姿勢制御トルクを生成する制御トルク生成部とを備えることを特徴とする。

効果

 本発明によれば、線形近似部が、要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式の解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する。CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、ゲイン算出部は、線形近似部で設定されたフィードバック関数によりジンバル制御器のゲインを算出する。制御トルク生成部は、ゲイン算出部で算出されたゲインに基づくジンバルモータの回転トルクと、ホイールモータの回転トルクとに基づき姿勢制御トルクを生成するので、特異点状態においてもジンバル追従性を良好にすることができる。かかる構成によって、計算負荷の小さい制御方式を搭載した姿勢制御装置を搭載することができる。

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特許情報

特願2019-157770

JPA 2021035794-000000