堆積岩などの方向によって変形が異なる材料の性質を正確・合理的に取得する方法

2024.10.22 By 埼玉大学

土木・建築

技術概要

本技術は,3回の岩石の一軸圧縮試験を行うことで最も一般的な直交異方弾性の弾性パラメータと異方性主軸を特定する方法です。今までサンプリング方向を変えた無数の実験を行うことで岩石の変形異方性を特定してきましたが,コストや手間の観点から建設実務で用いることがありませんでした。このような課題を解決する方法です。

用途・応用

トンネルなど地下構造物の変形予測

背景

 トンネルをはじめとする岩盤構造物は自然災害に対して安定とされてきたが、大型地震や 集 中 豪 雨 な ど 、 近 年 の 激 甚 化 す る 災 害 に よ り 大 き な 変 状 を 伴 っ て 被 災 す る 事 例 が 少 なくない。

こ の よ う な 被 害 を 軽 減 し て い く に は 、 岩 盤 の 複 雑 な 力 学 的 性 質 の 理 解 を 深 め 、 正 確 に把握することが必須の課題である。

 岩盤の力学特性を複雑にする要因の一つは内在する堆積構造や節理などの割れ目であり、 こ れ ら の 方 向 に 応 じ て 岩 盤 は 異 方 的 な 力 学 挙 動 を 示 す 。

 昨今の災害に対応して重要な岩盤構造物の安定性を評価していくには、このような力学的 異 方 性 の 正 確 な 調 査 が 肝 要 で あ り 、 特 に 構 造 物 の 変 位 と 直 接 に 関 係 す る 変 形 異 方 性 (異方性の主軸と弾性パラメータ)の特定が極めて重要である。

 下記非特許文献にも示すように、岩盤の変形異方性は従来、方向を変えて採取した多数の供試体を用いて多数回の試験を行うことで特定してきた。
【 非 特 許 文 献 1 】 資 源 と 素 材 1995年 、 111 巻 、 5 号 、 p. 289-294 「 直 交 異 方 性 岩石の弾性主軸方向およびコンプライアンス係数の評価に関する一方法」 杉本 文男、川辺 金光、山下 秀、本郷 公 著

課題

 しかし、前記方法ではコストが高くや労力が非効率なだけでなく、試料の採取方向に異方性の主軸が含まれる保証が無いため、異方性の特定精度が低かった。特に、岩盤の変形挙動を把握するのに必要な最も適切な直交異方弾性は、パラメータ数が非常に多く、従来方法では膨大な数の試験の必要があり、特定が極めて困難だった。

 本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、従来方法に比べ格段に少ない試験数で直交異方弾性を特定できることに加え、従来方法では特定不可能だった直交異方弾性の3主軸を特定できる高い精度をもった岩石の直交異方弾性の特定方法を提供することにある。

手段

 前記目的を達成するため本発明は、同一の岩石ブロックから3つの円柱供試体をそれぞれ直交する方向(x,y,z)に採取し、続いて、それぞれの供試体の軸方向(xとyとz)から一軸圧縮(あるいは伸長)し、各ひずみテンソルを測定し、続く分析のため、計測間隔を十分に細かくして応力ひずみ曲線を得ることを要旨とするものである。

 請求項1記載の本発明によれば、岩盤力学分野において標準的な円柱供試体を用いた3回の一軸試験により直交異方弾性の3主軸方向と9つの弾性パラメータを特定することができる。

効果

 以上述べたように、本発明の岩石の直交異方弾性の特定方法は、従来方法に比べ格段に少ない試験数で直交異方弾性を特定できることに加え、従来方法では特定不可能だった直交異方弾性の3主軸を特定できる高い精度をもったものである。

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特許情報

特許第7340187号

JPB 007340187-000000

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