座屈拘束ブレースの作動制御装置及びこれを用いた構造物

2022.10.17 By 神奈川大学

土木・建築

技術概要

建物の地震応答変位を低減しつつ、座屈拘束ブレースを過度の応力負担から解放することが可能な座屈拘束ブレースの作動制御装置

用途・応用

建造物の耐震構造

背景

 建物における外装材の一般的な耐震安全性は、大地震に対しては、たとえば、外装材の脱落による避難路の阻害など外装材の破損による直接的な被害を生じさせないことが要求され、また、発生頻度の高い中小規模の地震に対しては、外装材に破損、過大変形を生じさせず、外装材の損傷により建物の居住性、経済性が損なわれないことが要求される。

 このような耐震安全性の要求を満たすため、建物の応答変位を低減すると共に地震時のエネルギーを吸収する座屈拘束ブレースが建物の柱と梁の間に取り付けられており、その一例として、構造物の柱および梁の各々に固定する一対のガゼットと、内面にコンクリート層を有する一対の鋼材間にブレース板を挟持させた座屈拘束ブレースとを有し、前記ガゼットは前記柱および梁に固定する平面部と前記平面部から直立する舌部とを備え、前記舌部に前記ブレース板を受ける切込部を形成し、前記切込部に前記ブレース板の先端を挿入して前記舌部と前記ブレース板とを十字型に直交させて溶接する柱と梁の接合構造が知れられている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006-52612号公報

課題

 しかしながら、特許文献1に記載の接合構造は、大地震時に座屈拘束ブレースがエネルギー吸収を十分に発揮し建物の応答変位を低減したとしても、座屈拘束ブレースが損傷することによって、この座屈拘束ブレースを支持材として取り付けられる外装材が損傷する直接的な原因となるおそれがある。

 また、中小規模の地震時においては、座屈拘束ブレースが層間変形角1/1000程度からエネルギー吸収部材として機能するため、外装材は座屈拘束ブレースの損傷による過大変形などの影響を受けるおそれがある。
 ここで、層間変形角とは、地震時に対する建物の水平変位を階高で割った値である。

 したがって、大地震時および中小規模地震時のどちらにおいても座屈拘束ブレースに過度の応力負担がかかるため、外装材は、座屈拘束ブレースの損傷による上記の影響を受けることになる。

 本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、建物の地震応答変位を低減すると共に、座屈拘束ブレースにかかる応力負担を低減する座屈拘束ブレースの作動制御装置及びこれを用いた構造物を提供することを目的とする。 

手段

 本発明の座屈拘束ブレースの作動制御装置は、柱と梁からなる主架構を持つ構造物に、座屈拘束ブレースの一端を接続し、前記座屈拘束ブレースの他端を、2つの部材が所定の相対的距離の範囲内では力の伝達を無くす構成を持つ制御機構の一方の部材に連結し、他方の部材を前記構造物に連結したことを特徴としている(請求項1)。

 このため、前記制御機構により、中小地震時には、2つの部材が相対的距離の範囲内となり、構造物が一定の層間変形角至らず、座屈拘束ブレースへの力の伝達は無い。すなわち、座屈拘束ブレースに引張り又は圧縮作用である応力負担を無くすことになる。それを超える大地震時には、座屈拘束ブレースへの力の伝達が始まり、座屈拘束ブレースが作動する。すなわち、座屈拘束ブレースは、層せん断力を負担する。この制御機構は、主架構の所定の層間変形角まで、座屈拘束ブレースの作動を行わせない働きを担っている。これによって、構造物の応答変位を低減すると共に、座屈拘束ブレースの過度な応力負担から解放している。

効果

 以上のように請求項1の発明によれば、座屈拘束ブレースの作動制御装置が座屈拘束ブレースの作動を制御する制御機構を備えることにより、中小地震時には、制御機構を構成する2つの部材が相対的距離の範囲内となり、座屈拘束ブレースに引張り又は圧縮作用である応力負担を無くすことが可能となる。それを超える大地震時には、座屈拘束ブレースへの力の伝達が始まり、層せん断力を座屈拘束ブレースに負担させる。この制御機構は、主架構の所定の層間変形角まで、座屈拘束ブレースの作動を行わせない働きを担っている。これによって、座屈拘束ブレースの過度な応力負担から解放することができる。
 また、請求項4の発明によれば、座屈拘束ブレースに固着の一方の部材が移動してストッパに当たるため、このストッパの構造物への取り付け位置を所定の層間変形角を所望の範囲内で調節することが可能となる。また、制御孔の長さの調節を不要とすることで、汎用性を向上させることができる。
 さらに、請求項5の発明によれば、中小規模の地震時には構造物に取り付けられた座屈拘束ブレースの応力負担を無くすとともに損傷を防止するため、ガラス製などの外装材への応力負担を防止することができる。また、大地震時には、座屈拘束ブレースを作動させることで構造物の損傷を防ぐことが可能となる。

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特許情報

特開2011-106217

JPA 2011106217-000000