コンクリート内の鉄筋の動き易さを電波で測る加振レーダ技術

2022.10.06 By 群馬大学

土木・建築

技術概要

励磁コイルにより内部の鉄筋を加振し、その振動変位をレーダによって非破壊的に計測する手法であり、従来技術に同様の概念の手法はない。この計測では加振によるドップラ効果により、鉄筋の振動成分と非振動成分を計測でき、さらに、鉄筋からの反射振幅比から振鉄筋動変位を求めることができる。

用途・応用

・RC構造物の鉄筋腐食量の定量評価
・コンクリートの劣化で起こる弾性係数低下の評価
・コンクリートの内部ひび割れの検知、イメージング

背景

 我 が 国 の 高 度 成 長 期 に 建 設 さ れ た 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト ( R C : Reinforced‑Concrete) 構造物の多くは40年以上を経過し、膨大な維持管理コストの増加が懸念されている。RC構造物はコンクリートがアルカリ性に保たれることで鉄筋の酸化を防いでいるが、塩化物イオンの侵入により鉄筋が腐食、膨張すると、コンクリートに微細なひび割れが発生し、コンクリートの剥離や著しい強度低下の要因となる。このようなコンクリートは地震等の外的要因以外にも、自然に崩壊する危険性があるので、そのような危険性を事前に察知し、早急に対策を講じる必要がある。なお、危険性の事前察知には、鉄筋の腐食や膨張を検査・測定する必要がある。

 本発明の技術分野に近い先行技術文献を特許文献1及び特許文献2に示す。
 特許文献1には、磁歪体含有構造物の非破壊検査方法として、変動磁場により鉄筋を振動させる計測方法が開示されている。
 特許文献2には、パルス電磁力による音響診断・測定装置、及びそれらの診断・測定方法として、パルス電磁力により加振させたコンクリート内部の鉄筋の波形を測定することで、鉄筋の診断をする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2002-90350号公報
【特許文献2】特許3738424号公報

課題

 鉄筋コンクリートにおける既往の検査法では、まず目視によりひび割れや錆汁の確認を行った後、鉄筋のはつり出しを伴う自然電位法や分極抵抗法等が適用されてきた。しかし、自然電位法は腐食の有無の評価に用いられるのみで、腐食量の正確な評価が困難である。また、分極抵抗法は腐食速度の評価に用いられる。このように、コンクリート内の鉄筋の現時点での腐食量を非破壊的に評価する確固たる手法は、現時点では確立されていない。

 一方、既往の鉄筋腐食評価の研究としては、鉄筋に外部から交番磁界を与えて渦電流により鉄筋を発熱させ、コンクリート表面の温度を計測する手法がある。しかし、この方法は日射環境での適用が困難である。
 さらに、本発明に最も近い研究として電磁パルス法と呼ばれる手法がある。電磁パルス法はコンクリート外部から励磁コイルに数ms程度のパルス電流を印加し、鉄筋を瞬間的に加振し、鉄筋を音源とする衝撃による振動を表面の弾性波センサで計測する手法である。鉄筋が腐食し、コンクリートとの拘束が弱まった場合、健全な鉄筋に比べ得られる弾性波振幅が小さくなることから、鉄筋の評価への応用が期待されている。

手段

 上記課題を解決するために、本発明の加振レーダ装置は、コンクリートの内部に存在する鉄筋を加振するための低周波信号を発生する加振低周波信号源と、低周波信号に基づいて鉄筋を加振する励磁コイルと、レーダ波のための高周波信号を発生する高周波発生部とを具備する。更に、高周波信号の周波数を設定する周波数設定部と、高周波信号に基づくレーダ波を鉄筋へ送信する送信アンテナと、鉄筋から反射されたレーダ波を受信する受信アンテナと、受信アンテナから受信した信号と高周波信号を入力して直交検波を行う直交検波器と 、 加 振 低 周 波 信 号 源 と 励 磁 コ イ ル と の 間 に 設 け ら れ る ス イ ッ チ と を 具 備 す る 。 直交 検 波 器 は 、 ス イ ッ チ が オ フ の 時 の 無 変 調 成 分 信 号 と 、 ス イ ッ チ が オ ン の 時 の ド ッ プ ラ 変調 成 分 信 号 と を 出 力 す る 。

効果

 本発明によれば、コンクリートのひび割れ等の外的要因に左右されず、RC建造物の鉄筋の腐食箇所を、非破壊で、正確に特定することのできる、加振レーダ装置及びデータ解析装置を提供することができる。

 上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

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特許情報

特願2017-034707

JPB 006817628-000000