トバモライト含有建材の製造方法、トバモライト及びトバモライト含有建材

2022.07.20 By 日本大学

土木・建築

技術概要

軽量気泡コンクリート(ALC)やケイ酸カルシウム板(ケイカル板)などの建築材料の原料として広く利用されているトバモライトは炭酸化による変質が起こりやすく、変質によって、建材としての見栄えが損なわれるとともに、強度が低下する。
製造方法を改良することで炭酸化が起こりにくいトバモライトを得ることが可能になった。

用途・応用

内壁・外壁建材、軽量気泡コンクリート、ケイカル板

背景

 トバモライト(Ca 5 S i 6 O 1 6 (OH) 2 ・4H 2 O)は、ケイ酸カルシウム水和物の一種であり、軽量気泡コンクリート(ALC)やケイ酸カルシウム板(ケイカル板)などの建築材料の原料として広く利用されている。ALCは軽量で断熱性が高いことから、建築物の外壁材として利用され、ケイカル板は、耐火性が高いことから、建築物の内壁材や外壁材として利用されている。

 トバモライトは、一般に、カルシウム化合物と二酸化ケイ素と水とを含む含水組成物を水熱合成反応させることによって製造されている。含水組成物には、水熱合成反応を促進させるために硫酸カルシウムなどの硫酸塩を添加することが行なわれている。例えば、特許文献1には、硫酸化合物原料をSO 3 量換算で固体原料の総重量に対して0.15~15重量%含む含水組成物が記載されている。また、特許文献2には、乾燥成分が硫酸ナトリウムを2.62%含む含水組成物が記載されている。

 また、トバモライトに対して抗菌性能及び防カビ性能を付与するために、銀、銅、亜鉛などの金属元素を含む金属塩をトバモライトに担持させることが検討されている。特許文献3には、金属塩を担持させる方法として、金属塩を純水に溶解させた後、トバモライトに添加して80℃で真空乾燥させる方法、金属塩を純水に溶解後にチオ硫酸ナトリウムを溶解させて金属錯体とした後、基材に添加して80℃で真空乾燥させる方法が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2001-122674号公報
【特許文献2】特開2014-210709号公報
【特許文献3】特開2008-100862号公報

課題

 内壁材や外壁材は、人目につきやすいところであるから、長期間にわたって変質しにくいことが望ましい。しかしながらトバモライトは炭酸化による変質が起こりやすい傾向がある。炭酸化とは、トバモライト結晶内のCaO層とSiO層との層間に配置された層間カルシウムが、外部に溶出して炭酸化する現象である。この炭酸化によってトバモライトが変質すると、建材としての見栄えが悪くだけでなく、強度が低下する。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、炭酸化が起こりにくいトバモライトを含むトバモライト含有建材の製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、炭酸化が起こりにくいトバモライト及びトバモライト含有建材を提供することも、その目的とする。

手段

 本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、カルシウム化合物と二酸化ケイ素と水とを含む含水組成物に、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛及び硫酸アンモニウムなどの硫酸塩を所定の量で添加し、その含水組成物を160℃以上180℃以下の温度で水熱合成反応させることによって、炭酸化が起こりにくいトバモライトを得ることが可能となることを見出して、本発明を完成させた。
 従って、本発明は以下の態様を含む。

[1]水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのうちの少なくとも一方を含有するカルシウム化合物と、二酸化ケイ素と、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛及び硫酸アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の硫酸塩と、水と、を含み、前記カルシウム化合物と前記二酸化ケイ素の合計モル数を0.18molとしたときの前記硫酸塩のモル数が、前記硫酸塩が前記硫酸リチウムの場合は、0.57mmol以上1.43mmol以下の範囲内にあり、前記硫酸塩が前記硫酸ナトリウムの場合は、0.57mmol以上1.15mmol以下の範囲内にあり、前記硫酸塩が前記硫酸マグネシウムの場合は、0.57mmol以上2.30mmol以下の範囲内にあり、前記硫酸塩が前記硫酸亜鉛の場合は、0.57mmol以上1.43mmol以下の範囲内にあり、前記硫酸塩が前記硫酸アンモニウムの場合は、0.57mmol以上2.30mmol以下の範囲内にある含水組成物を調製する工程と、前記含水組成物を、160℃以上180℃以下の温度で水熱合成反応させる工程と、を有するトバモライト含有建材の製造方法 。

[2]前記含水組成物に含まれる前記二酸化ケイ素に対する前記カルシウム化合物のモル比が0.5以上2.0以下の範囲内にある前記[1]に記載のトバモライト含有建材の製造方法。

[3]前記含水組成物に含まれる固形分に対する水分の質量比が1以上50以下の範囲内にある前記[1]又は[2]に記載のトバモライト含有建材の製造方法。

[4]リチウム、ナトリウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、カルシウムと、ケイ素とを含み、前記カルシウムと前記ケイ素の合計モル数を0.18molとしたときの前記金属元素のモル数が、前記金属元素が前記リチウムの場合は、1.14mmol以上2.86mmol以下の範囲内にあり、前記金属元素が前記ナトリウムの場合は、1.14mmol以上2.30mmol以下の範囲内にあり、前記金属元素が前記マグネシウムの場合は、0.57mmol以上2.30mmol以下の範囲内にあり、前記金属元素が前記亜鉛の場合は、0.57mmol以上1.43mmol以下の範囲内にあるトバモライト。

[5]前記[4]に記載のトバモライトを含有するトバモライト含有建材。

 

効果

 本発明によれば、炭酸化が起こりにくいトバモライトを含むトバモライト含有建材の製造方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、炭酸化が起こりにくいトバモライト及びトバモライト含有建材を提供することが可能となる。

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特許情報

特開2021-075439

JPA 2021075439-000000