環境振動測定方法、環境振動測定装置及び環境振動測定プログラム

2022.07.20 By 日本大学

土木・建築

技術概要

建築物内の環境振動を測定するには、カーペット等の被覆部分を剥がして、床材のコンクリート等に計測機器を設置する方法が採用されてきた。本発明は柔軟な素材を床と計測機器の間に設置することで、非破壊的に環境振動を解析する事を可能とする。

用途・応用

建築物の環境振動測定

背景

 マンションやオフィスビル等の建築構造体では、周辺道路における車両通行等の環境の影響によって振動が発生する。このような環境によって生じる振動(環境振動)は、建築構造体の居住者に不快感を与える恐れがある。一方で、環境振動に対する感じ方は個人によって感じ方が異なる。このため、センサが内蔵された振動ピックアップを備える環境振動測定装置によって環境振動を数値化する必要がある。このような環境振動測定装置は、振動ピックアップの測定結果に基づいて、振動周波数ごとの建築構造体の振動加速度レベルを数値化する。

課題

 しかしながら、一般的には、マンションやオフィスビル等は、コンクリートからなる基体がカーペット等の被覆材によって覆われている。このため、振動ピックアップを被覆材に当てた状態で環境振動を測定しようとすると、被覆材の振動周波数に対する共振特性に影響を受けて、基体の振動を正確に計測することができない。しかしながら、環境振動の測定のために居住者に被覆材の取り外しの許可を貰うことは一般的に困難である。被覆材の共振特性が既知である場合には、被覆材の共振特性による影響を低減する補正する信号処理を行うことが可能であるが、被覆材の種類は膨大であり、被覆材の種類ごとに共振特性を予め取得するは極めて困難である。

手段

 本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。

 第1の発明は、センサが内蔵された振動ピックアップを用いて建築構造体の振動を測定する環境振動測定方法であって、上記建築構造体が、基体と、上記基体の表面に被覆された被覆材と、を有し、上記被覆材上に上記被覆材よりもばね定数が小さい介挿部材を配置し、上記介挿部材を介して上記基体から伝達される振動を上記振動ピックアップで測定し、上記振動ピックアップの測定結果を上記介挿部材の共振特性に基づいて補正することで、上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを求めるという構成を採用する。

 第2の発明は、上記第1の発明において、上記共振特性が、振動周波数と、介挿部材の共振による基体振幅からの振幅変化量との関係を示す特性であるという構成を採用する。

 第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記介挿部材の共振周波数の2の平方根倍の振動周波数よりも高い振動周波数の測定時に上記介挿部材を介して上記基体から伝達される振動を上記振動ピックアップで測定して上記振動ピックアップの測定結果を上記介挿部材の共振特性に基づいて補正し、上記介挿部材の共振周波数の2の平方根倍の振動周波数よりも低い振動周波数の測定時に上記介挿部材を介することなく上記基体から伝達される振動を上記振動ピックアップで測定して上記振動ピックアップの測定結果を上記被覆材の共振特性に基づいて補正するという構成を採用する。

 第4の発明は、センサが内蔵された振動ピックアップを用いて建築構造体の振動を測定する環境振動測定装置であって、上記建築構造体が、基体と、上記基体の表面に被覆された被覆材と、を有し、上記被覆材上に配置されて上記被覆材よりもばね定数が小さい介挿部材に当接された振動ピックアップの測定結果を上記介挿部材の共振特性に基づいて補正することで、上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを求める演算処理部を備えるという構成を採用する。

 第5の発明は、上記第4の発明において、上記共振特性が、振動周波数と、介挿部材の共振による基体振幅からの振幅変化量との関係を示す特性であるという構成を採用する。

 第6の発明は、上記第4または第5の発明において、上記演算処理部が、上記介挿部材の共振周波数の2の平方根倍の振動周波数よりも高い振動周波数の測定時に上記介挿部材を介して上記基体から伝達される振動の測定結果を上記介挿部材の共振特性に基づいて補正して上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを求め、上記介挿部材の共振周波数の2の平方根倍の振動周波数よりも低い振動周波数の測定時に上記介挿部材を介することなく上記基体から伝達される振動の測定結果を上記被覆材の共振特性に基づいて補正して上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを求めるという構成を採用する。

 第7の発明は、センサが内蔵された振動ピックアップの測定結果に基づいて建築構造体の振動をコンピュータに求めさせる環境振動測定プログラムであって、上記建築構造体が、基体と、上記基体の表面に被覆された被覆材と、を有し、上記被覆材上に配置されて上記被覆材よりもばね定数が小さい介挿部材に当接された振動ピックアップの測定結果を上記介挿部材の共振特性に基づいて補正させることで、上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを上記コンピュータに求めさせるという構成を採用する。

 第8の発明は、上記第7の発明において、上記共振特性が、振動周波数と、介挿部材の共振による基体振幅からの振幅変化量との関係を示す特性であるという構成を採用する。

 第9の発明は、上記第7または第8の発明において、上記介挿部材の共振周波数の2の平方根倍の振動周波数よりも高い振動周波数の測定時には、上記コンピュータに、上記介挿部材を介して上記基体から伝達される振動の測定結果を上記介挿部材の共振特性に基づいて補正させて上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを求めさせ、上記介挿部材の共振周波数の2の平方根倍の振動周波数よりも低い振動周波数の測定時には、上記コンピュータに、上記介挿部材を介することなく上記基体から伝達される振動の測定結果を上記被覆材の共振特性に基づいて補正させて上記基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを求めさせるという構成を採用する。

効果

 本発明によれば、建築構造体の被覆材よりもばね定数が小さい介挿部材を介して振動ピックアップで計測を行う。被覆材よりばね定数が小さな介挿部材を介することによって、振動ピックアップの測定結果が被覆材の共振特性の影響を受けにくくなる。介挿部材の共振特性は予め取得可能であることから、介挿部材の共振特性を用いて振動ピックアップの計測結果を補正することによって、基体の振動加速度あるいは振動加速度レベルを正確に求めることができる。したがって、本発明によれば、建築構造体の被覆材を剥がすことなく、被覆材の共振特性に影響を受けずに基体の環境振動を簡易に測定することが可能となる 。

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特許情報

特開2020-046417

JPA 2020046417-000000