LINE公式アカウントから最新記事の情報を受け取ろう!
水素吸蔵金属として知られるパラジウム(Pd)と、熱伝導性の高い炭素繊維とを組み合わせて、室温で動作可能であり温度変化のみに基づいて水素ガス漏れを検知できる水素ガスセンサ
燃料電池、水素センサー、FCV
水素は、化石燃料の代替エネルギー源として注目されており、例えば自動車用燃料電池に使用されている。水素は無色透明で無臭の爆発性ガスである。したがって、水素エネルギーを社会に普及させるためには、水素ガス漏れを検知するためのガスセンサが不可欠になると考えられる。
水素ガス漏れ検知方法としては、水素と白金との反応による発熱を熱電変換により検知する接触燃焼式、および、SnO 2 、ZnO等の金属酸化物表面の電気伝導度を測定して、水素との反応による電気伝導度変化を検知する半導体式などが知られている(非特許文献1)。これら従来の方式は、検出素子の温度変化を電圧に変換するしくみや、検出素子を高温に加熱することを必要とする。異なる構造・方式の水素センサはそれぞれ長所と短所を有しており、異なる特性を有する多様な水素センサの開発が模索されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 水 素 エ ネ ル ギ ー シ ス テ ム Vol. 30, No. 2 (2005), p. 35-40
本開示は、水素センサとして使用することができる新規の組成物を提供する。
発明者らは、水素吸蔵金属として知られるパラジウム(Pd)と、熱伝導性の高い炭素繊維とを組み合わせて、室温で動作可能であり温度変化のみに基づいて水素ガス漏れを検知できる水素ガスセンサを提供する可能性について研究した。その結果、特定の条件において優れた水素ガスセンサが得られることを発見し、本発明を完成させるに至った。
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
炭素繊維と、前記炭素繊維上に堆積されたパラジウム層とを含み、前記パラジウム層は、酸化パラジウムと金属パラジウムとの混合物を含む、組成物。
[2]
X線光電子分光法により検出されるスペクトルのピーク量に基づいて決定される前記酸化パラジウムと前記金属パラジウムとの量比が、100:1〜1:10の範囲内である、[1]に記載の組成物。
[3]
X線光電子分光法により検出されるスペクトルのピーク量に基づいて、前記酸化パラジウムが前記金属パラジウムよりも多く存在している、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
前記炭素繊維はカーボンペーパーの形態である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物を含む水素センサ装置。
[6]
パラジウム金属をターゲットとし炭素繊維を基材として、酸素の存在下においてスパッタリングを行って、酸化パラジウムおよび金属パラジウムを前記炭素繊維上に堆積させて前記パラジウム層を形成する工程を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
[7]
パラジウム金属をターゲットとし炭素繊維を基材としてスパッタリングを行って、金属パラジウムを前記炭素繊維上に堆積させる工程と前記金属パラジウムが堆積された炭素繊維を、酸素の存在下で加熱することにより、前記金属パラジウムの一部を酸化させ酸化パラジウムに転換して前記パラジウム層を形成する工程とを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。
本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。