超音速フリージェットPVD

2022.10.13 By 芝浦工業大学

化学

技術概要

ガス中蒸発により生成させたナノ粒子を,超音速ガス流により加速させナノ粒子に高い運動エネルギを付加し,基板にナノ粒子を堆積させることにより成膜させる新しい原理による成膜法

用途・応用

難成膜材料への緻密な厚膜コーティング、マスクレス・パターン成膜、結晶構造制御

背景

 低 温 で も 実 行 可 能 な 成 膜 装 置 と し て 、 例 え ば 超 音 速 フ リ ー ジ ェ ッ ト ( SupersonicFree Jet:S F J ) 物 理 蒸 着 ( Physical Vapor Deposition: P V D ) 装 置 が 知 ら れ て い る 。 S FJ-PVD装置とは、不活性ガス雰囲気において成膜原料素材をレーザ等で気化させ,形成させた微粒子を、超音速ノズルを用いて微粒子を含むガスを超音速に加速させ、成膜チャンバの内部に固定された基板に噴出する。噴出ガスに含まれる微粒子は、基板上に堆積し基板上に薄膜が成膜される。例えば、特許文献1には、SFD‐PVDで用いられる超音速ノズルであって、流入口部から流出口部にかけてその各部断面が円形でその内径が変化している事を特徴とし、さらに内径が最小となるスロート部の内径が0.1mm~0.3mmである超音速ノズルが開示されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特許第5620137号公報

課題

 しかしながら、特許文献1に記載の超音速ノズル(円形断面)を用いて成膜した場合、必ずしも成膜領域が広いというわけでは無く、また、成膜領域の表面粗さが均一でなく、その改善が望まれている。

 そこで本発明は、上記課題を鑑み発明されたものであって、より広い領域を成膜可能とするとともに成膜領域の表面粗さがより平坦に近い粗さを実現することが可能な超音速ノズル、超音速ノズルの製造方法、超音速ノズルの設計方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。

手段

 本発明は、流路を流体が流れる方向に直交する横断面での流路の断面積が流路の各部で変化している超音速フリージェット物理蒸着装置で用いる超音速ノズルであって、流体が流入する流入口部と、流体が流出する流出口部と、流路の各部の中で断面積が最小であるスロート部と、流入口部とスロート部とを接続する流入口側空洞部と、流出口部とスロート部とを接続する流出口側空洞部とを備え、流路に流体として比熱比(定圧比熱と定容比熱の比)γであるガスが流されたときに、流路の各部における流体の速度がマッハ数Mの速度となるように、流入口部、流入口側空洞部、流出口側空洞部及び流出口部の各部の断面積Aと、スロート部の断面積A * とが式(1)(以下式は詳細資料に記載)を満たす形状となっており、スロート部、流出口側空洞部及び流出口部での流路を流体が流れる方向に直交する横断面の形状が矩形である超音速フリージェット物理蒸着装置で用いる超音速ノズルである。

 この構成によれば、流入口部、流入口側空洞部、スロート部、流出口側空洞部及び流出口部を備え、流路10の断面積が流路の各部で変化し、スロート部から流出口部にかけて断面積が矩形である超音速ノズル1であって、流入口部、流入口側空洞部、スロート部、流出口側空洞部及び流出口部を備え、比熱比γであるガスが流されたときに、流路の各部における流体の速度がマッハ数Mの速度となるように、流入口部、流入口側空洞部、流出口側空洞部及び流出口部の各部の断面積A、スロート部の各部の断面積A * とが式(1)を満たす形状となっているため、流路の各部における流体の速度をマッハ数Mにすることができる。また、超音速ノズルを超音速フリージェットPVD装置に適用したときに、スロート部、流出口側空洞部及び流出口部での流路を流体が流れる方向に直交する横断面の形状が矩形であるため、同じ断面積の円形の横断面の超音速ノズルよりも、より広い領域を成膜可能とするとともに成膜領域の表面粗さがより平坦に近い粗さを実現することが可能となる。

 この場合、流出口側空洞部は、スロート部に連続する初期膨張部と、流出口部に連続する相殺部とを有し、横断面の矩形の長辺に直交する縦断面での流路の流出口側空洞部の内壁面は、初期膨張部で発生した膨張波が膨張波同士の衝突によって角度が変化しながら相殺部の内壁面に衝突する際に発生する圧縮波を相殺するような形状であることが好適である 。

 この構成によれば、流出口側空洞部は、スロート部に連続する初期膨張部と流出口部に連続する相殺部とを有し、横断面の矩形の長辺に直交する縦断面での流路の流出口側空洞部の内壁面の形状は、初期膨張部で発生した膨張波が膨張波同士の衝突によって角度が変化しながら相殺部の内壁面に衝突する際に発生する圧縮波を相殺するような形状であるため、流出口部からの流れを一様な平行流にすることができる。 

効果

 本発明の超音速フリージェット物理蒸着装置で用いる超音速ノズル、超音速フリージェット物理蒸着装置で用いる超音速ノズルの製造方法、超音速フリージェット物理蒸着装置で用いる超音速ノズルの設計方法及びコンピュータプログラムによれば、より広い領域を成膜可能とするとともに成膜領域の表面粗さがより平坦に近い粗さを実現することが可能となる。

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特許情報

特願2017-036799

JPB 006895162-000000