イオンビーム微細加工による秘匿的情報記録技術の開発と新奇情報記録媒体の探索

2022.10.13 By 群馬大学

化学

技術概要

放射線のうち特にエネルギー付与密度が高い集束イオンビーム微細加工技術を利用した情報記録技術を開発した。イオンビームの種類・エネルギーを調整することで、難加工性のダイヤモンドや鉱物、その他の任意の有機物・無機物の絶縁材料内部に、秘匿的かつ長期的な記録寿命が期待できる3次元的な情報記録を実現できた。

用途・応用

・希少資源、スモールスケールマイニングなど特定鉱物資源のマテリアルトレーサビリティ
・高温等で剥離しない製品への品質保証情報付帯技術
・超寿命記録媒体

背景

 情報を記録するという行為は、単に情報を伝達するという目的のみならず、物品を同定・証明するための手段(以下、マーキングと記す)としても利用される。マーキングを物品自体に直接施すことにより、マーキングによって形成される刻印(以下、マーカーとも記す)と物品を一体不可分とすることができる。これにより、物品に関する種々の情報、例えば物品の産出地、製造地、生産者、製造者、所有権の移転などにかかわる履歴、成分や純度などの特徴や性質などを物品自体に付与することができ、物品の追跡や真贋判定を容易に行うことができる。典型的なマーキング方法としては、物品に対する物理的な刻印が挙げられる。これは、物品の一部に対してレーザ照射や切削加工などを施して物理的に加工することで行われる。この方法では、物品自体に物理的構造変化が生じるため、物品の美観を損なう可能性があるものの、可視化されたマーカーを形成することができる。

 非可視的なマーキング方法として、走査型トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡を用いて物品の表面に原子を任意に配置する方法が知られている。他の方法としては、活性な窒素空孔中心(以下、NVセンター)を有するナノ粒子を物品上に塗布する方法が特許文献1に開示されている。NVセンターは可視光領域に吸収を持たないため肉眼では観測することはできないが、紫外光によって励起されてフォトルミネッセンスを示す。したがってこの方法は、物品自体に直接マーキングを施す手法ではないものの、物品の美観を大きく損なうことなくマーキングが可能であるという特徴を有している。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0062144号明細書

課題

 本発明の実施形態の目的の一つは、非可視的であり、かつ物品の内部に二次元的に分布したマーカーを物品に直接形成するための方法と装置、およびこのマーカーが形成された物品を提供することである。

手段

 本発明の実施形態の一つは、物品のマーキング方法である。このマーキング方法は、物品の表面から法線方向における深さが一定の面内に分布した発光中心層を、上記物品に直接形成することを含む。

 本発明の実施形態の一つは、絶縁体と、絶縁体の表面から法線方向における深さが一定の面内に分布した発光中心層を含む、マーキングされた物品である。

 本発明の実施形態の一つは、マーキング装置である。このマーキング装置は、荷電粒子を放射するように構成される放射線源と、互いに垂直な二つの方向に移動するように構成されるステージを有する。

効果

 本発明の実施形態の一つによって非可視的なマーカーを物品に直接形成することが可能となり、物品の美観や機能を損なうことなく、物品を同定、証明するための情報を物品に記録することができる。これにより、物品に係る様々な情報を容易に抽出、モニターすることができ、物品の同定が簡便になるとともにトレーサビリティを向上させることができる。さらに、マーカーに内包される情報、およびマーカーの存在自体に高い秘匿性を付与することができる。

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特許情報

2017-036566

JPB 006975441-000000