半導体表面上の原子層制御と精密光学計測

2022.09.05 By 横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 大野 真也

化学

研究概要

原子や分子を基本ブロックとしてこれまでにない新しいナノスケールの構造物を作り出すこと、それらの構造物の物性を詳細に評価すること、これらの知見に基づいて新規デバイスの提案を行うことを目標として研究を推進しています。研究手法としては、走査トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡、光電子分光法、低速電子回折、顕微ラマン分光などの様々な表面分析手法を、多くの場合に複合的に利用しています。この他に、表面反射分光、第二次高調波発生など表面敏感な光学計測手法の開発、応用にも力を入れています。

アドバンテージ

 固体表面上に配置された原子、分子を個別に観察したり制御したりすることを得意としています。これらの知見は学術的な要素が強いですが、近年ではデバイス応用との距離が急速に縮まってきていると感じます。私たちの研究室においても、市販の真空機器の開発に携われるようになりました。製品の性能や使い勝手を良くするという視点から、表面の原子レベル、分子レベルでの評価を行い、製品開発にフィードバックするという研究も進めています。プローブ顕微鏡からX線表面分析まで、様々な表面分析技術に通じています。

事例紹介

〇半導体表面上の原子層制御と精密光学計測

 シリコン表面上に形成される酸化層を原子層毎に制御して作製する技術およびその精密な観測手法を開発しました(2009年堀場雅夫賞)。この手法を活かして、酸素や様々なガス分子と半導体基板との相互作用、半導体基板上での有機分子膜の形成過程を原子レベルで精密計測し、その基礎物性を調べています。

〇新しいタイプの真空ポンプの開発研究

 高エネルギー加速器研究機構の共同研究者と共に非蒸発型ゲッターポンプと呼ばれる省エネルギーの真空ポンプを開発しています。当研究室が開発に関わった製品が既に市販されています。現在、さらに良い性能のポンプの実現を目指して基礎研究を推進しています。世界標準の真空機器として認められれば、省エネによるカーボンニュートラルの実現にも多大な貢献ができるものと期待しています。

〇触媒材料の新しい表面活性化法の開発

 チタン酸化物は光触媒などの触媒材料として活発に研究されています。私たちは、特殊な真空技術である超音速分子線を利用した新しい表面活性化法を開発しました。この研究の鍵は、表面より少し深いところにある欠陥の修復を可能としたことです。これに関連した、特許出願も行っています。触媒に限らず、様々な電極反応を高効率にするためには最表面構造の原子レベルでの制御が不可欠ですが、そのユニークな制御法をいくつか編み出しています。

相談に応じられるテーマ

表面分析

ナノ構造創成

真空装置開発

主な所属学会

日本物理学会

応用物理学会

日本表面真空学会

日本放射光学会

主な論文

  1. Ohno, H. Kobayashi, F. Mitobe, T. Suzuki, K. Shudo, M. Tanaka, “Monolayer oxidation on Si(001)-(2×1) studied by means of reflectance difference spectroscopy, Phys. Rev. B 77 (2008) 085319 (1-6).
  2. Kikuchi, Y. Miyauchi, R. Takaoka, T. Suzuki, M. Tanaka, S. Ohno “Multiple-peak resonance of optical second harmonic generation arising from band nesting in monolayer transition metal dichalcogenides TX2 on SiO2/Si(001) substrates (T=Mo, W;X=S, Se), Phys. Rev. B 100 (2019) 075301(1-7).
  3. Katsube, S. Ohno, S. Takayanagi, S. Ojima, M. Maeda, N. Origuchi, A. Ogawa, N. Ikeda, Y. Aoyagi, Y. Kabutoya, K. Kyungmin, H. Linfeng, L. Fengxuan, Y. Tsuda, H. Yoshida, S. Nishi, T. Sakamoto, E. Inami, A. Yoshigoe, M. Abe, “Oxidation of anatase TiO2(001) surface using seeded oxygen molecular beam”, Langmuir 37 (2021) 12313-12317.

主な特許

特願 2019-153049 「窒素元素ドープ酸化チタンの製造方法」阿部真之,勝部大樹,吉越章隆,大野真也

主な著書

  1. Ohno, K. Shudo, M. Tanaka, “Real-time analysis of initial oxidation process on Si(001) by means of surface differential reflectance spectroscopy and reflectance difference spectroscopy”, Chapter 2 in “Frontiers in Optical Methods, Nano-Characterization and Coherent Control” (Series: Optical Sciences, Vol. 180, Springer-Verlag, Berlin, Jan. 2014) 29-44.

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特許情報

特願 2019-153049 「窒素元素ドープ酸化チタンの製造方法」阿部真之,勝部大樹,吉越章隆,大野真也

JPA 2021030159-000000