スメクタイト被覆シリカ粒子の製造方法

2022.08.08 By 信州大学

化学

技術概要

シリカゲルにLiF,MgCl2,尿素を添加して反応させると,もとのシリカの形状を損ねることなく,シリカ表面で選択的にヘクトライト様層状ケイ酸塩が成長する。これは、次のような特徴を持つ。出発シリカの形状に依存しない。溶媒中においてもほとんど剥離しないので、溶液中からの回収が可能である。シリカ表面を薄く被覆しているので,流通系における分離等に役立つ。
カラム充填剤、フィルター、吸着剤などへの応用が想定される。

用途・応用

カラム充填剤、フィルター、吸着剤

背景

 スメクタイトはイオン交換性、膨潤性、熱的化学的安定性などの特徴を有することから、千の用途を持つ素材といわれるほど広く用いられているナノシート状ケイ酸塩である。主な利用分野は、土木、食品、化粧品、自動車業界である。スメクタイトは豊富な鉱物資源であるが、合成することも可能であり、付加価値の高い材料への応用について検討されている。その一つとして、金属陽イオンの吸着剤としての利用があげられる。これはスメク タ イ ト に 含 ま れ る Liあ る い は Naイ オ ン が 、 他 の 金 属 陽 イ オ ン と 交 換 可 能 な 性 質 を 利 用 したものである。金属イオンの吸着選択性の序列は、イオンの価数が大きくかつイオン半径が大きいものほど高いことが知られているので、スメクタイトは重金属イオン等の有害元素の濃縮に有用である。また、スメクタイトに含まれる交換性の陽イオンを、有機陽イオンと置き換えることも可能であり、これにより得られる化合物を非イオン性有機分子の吸着剤や薬剤徐放剤などとして応用することもできる。このように多様な応用可能性をもつスメクタイトであるが、合成で得られる粒子サイズは極めて小さく、ハンドリング性に乏しい。さらにスメクタイト自身の機能性を高めるため、粒子形状を均一に制御する技術が望まれている。

 スメクタイトを合成する方法については、従来から、種々提案されている(非特許文献1 ) 。 非 特 許 文 献 2 に は 工 業 的 に 量 産 す る 方 法 の 一 つ と し て 、 100℃ 、 常 圧 で 合 成 す る 方法が記載されている。また、特許文献1には、シリコンアルコキシドの水溶液からコロイダ ル シ リ カ を 生 成 し 、 コ ロ イ ダ ル シ リ カ に マ グ ネ シ ウ ム 塩 と p H調 整 の 尿 素 を 混 合 し て 、スメクタイトを合成する方法が記載されており、特許文献2には、マグネシウム分とケイ素分とを塩基性条件下で沈殿処理し、水熱条件、加圧下で処理することによりスメクタイト構造を形成して結晶化させる方法が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平3-153519号公報
【特許文献2】特表平7-505112号公報
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 Kloprogge, J. T., Komarneni, S., Amonette, J. E. Clays Clay M iner.1999, 47, 529
【 非 特 許 文 献 2 】 Ogawa, M ., M atsutomo T., Okada, T., J. Ceram .Soc. Jpn., 116, 1309(2008).

課題

 スメクタイトは種々の用途への利用が可能であり、たとえば金属イオンの吸着剤として利用することができる。このような使用方法では、吸着処理後に金属イオンを吸着したスメクタイトを分離回収する必要があるが、従来法によって得られるスメクタイトは微結晶であるため、水などの溶媒中で分散しやすく、ろ過によって分離しようとしてもスメクタイトが溶媒とともに漏出してしまい、分離回収することができない。このため、吸着処理後のスメクタイトを回収するには、化学的な方法を利用するといった処理操作が必要になるという問題があった。

 本発明は、これらの課題を解消すべくなされたものであり、金属の吸着作用等のスメクタイト自体の作用を十分に備えるとともに、分離回収操作といった取扱い性を向上させたスメクタイト被覆シリカ粒 子 の 製造方法を提供するものである。

手段

 本発明に係るスメクタイト被覆シリカ粒子は、シリカ粒子をスメクタイトを生成する原料の一部に使用し、不均一核生成によってシリカ粒子の表面にスメクタイトの微結晶を直接成長させて得られる。
 ス メ ク タ イ ト の 生 成 に 必 要 な 成 分 は , シ リ カ ゾ ル ( 水 に 溶 解 し た シ リ カ ) 、 Al3 +、 M g2 +、 Li+などの典型元素のイオン、水およびアルカリである。本発明では、シリカゾルに替えて可視光、紫外光、近赤外線の波長と同程度のシリカ粒子を原料に用いスメクタイトを生成する。
 本発明に係るスメクタイト被覆シリカの製造方法は、シリカ粒子の水懸濁液と、スメクタイトを構成する元素を供給する化合物と、シリカの一部を一旦溶解させ、スメクタイトとして再沈殿させるに必要なアルカリとの混合物を撹拌する工程と、撹拌後の混合物を密閉容器に収容し、加熱してシリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させる生成工程と、生成工程を経た混合物から固体生成物を分離回収し、分離回収した固体生成物を乾燥させて、シリカ粒子の表面にスメクタイトが生成されたコアシェル粒子を得る回収工程とを備えることを特徴とする。なお、シリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させる工程での加熱温度は、合成するスメクタイトの種類に応じて適宜温度(たとえばヘクトライトを合成する 際 に は 60℃ 以 上 ) に 加 熱 す る 。

 スメクタイトとは、スメクタイト族粘土鉱物の意であり、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライトを総称したものである。後述する実施例では、シリカ粒子の表面にヘクトライトを生成した例について説明する。本発明は、スメクタイト型粘土鉱物であれば、ヘクトライトに限らず、まったく同様に適用でき、生成しようとするスメクタイトの生成に必要な成分(構成元素)を供給することによって、表面にスメクタイトが被覆したシリカ粒子(コアシェル粒子)を得ることができる。

 上 記 生 成 工 程 に お い て は 、 撹 拌 工 程 に よ り 得 ら れ た 混 合 物 を 密 閉 容 器 に 収 容 し 、 100℃程 度 に 加 温 し た 状 態 で 一 定 時 間 ( 48時 間 等 ) 保 持 す る こ と に よ り 、 ス メ ク タ イ ト を 生 成 させる作用を促進させ、シリカ粒子の表面にスメクタイトを生成させることができる。
 後述する実施例ではシリカ粒子として球体状のシリカ粒子を使用した例を説明する。本発明は球体状のシリカ粒子に限らず、水に分散できるものであれば、繊維状等や薄膜状のシリカでも同様に使用することができる。シリカ粒子とは、これらの球体とは異形のシリカ材料を包含する概念である。
 球状のシリカ粒子としては、ろ過などによる分離回収が確実にできることと、十分な表面積を確保して効果的な吸着作用が得られるために、直径0.1μm~2μmの球状シリカ粒子を使用することが有効である。

効果

 本 発明に係るスメクタイト被覆シリカ粒子の製造方法によれば、表面にスメクタイトが被覆されたシリカ粒子(コアシェル粒子)を容易に製造することができる。

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特許情報

特許6029052

JPB 006029052-000000