銅ドープ酸化チタンの製造方法

2022.08.08 By 信州大学

化学

技術概要

銅元素源として銅アルコキシドを使用することと、チタンアルコキシドに銅アルコキシドを加えた溶液を還流処理することが特徴であるゾルーゲル法。従来のゾルーゲル法に比べて、光触媒作用の性能が優れている。

用途・応用

光触媒作用の優れた酸化チタンの製造

背景

 酸化チタンは、優れた光触媒作用を有することで知られており、有害物質の分解、脱臭、防汚等に幅広く利用されてきた。近年は、光触媒デバイスや半導体デバイス等へ応用についても検討されている。
 酸化チタンの光触媒作用は、紫外光領域の光吸収によって発現する。しかしながら、太陽光は紫外光領域の光が占める割合はわずかであることから、可視光領域での光を利用可能として効果的な光触媒作用が得られるようにすること、また、光誘起された電子と正孔との再結合速度が大きいことから、再結合速度を抑制して光触媒機能を向上させることが求められている。

 これらの問題を解決する方法として、酸化チタンに窒素や金属をドープし、酸化チタンのバンドギャップ中に不純物準位を組み込むことにより、可視光領域での光吸収を可能とし、また不純物準位に電子をトラップすることによって電子と正孔の再結合を抑制して光触媒作用を活性化する方法が研究されている(特許文献1~5等)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2004-160327号公報
【特許文献2】特開2004-181296号公報
【特許文献3】特開2009-78264号公報
【特許文献4】特開2009-274053号公報
【特許文献5】特開2010-149046号公報

課題

 酸化チタンに銅をドープした銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンの光吸収領域を可視光領域まで拡張し、電子-正孔の再結合を抑制して、光触媒作用の活性化を効果的に向上させるものとして知られている。
 ゾルゲル法を利用して銅ドープ酸化チタンを製造する方法としては、銅元素源として塩化銅または硝酸銅溶液を加えて銅を添加する方法がある。しかしながら、従来の硝酸銅等を銅元素源とする方法は、酸化チタン中に銅イオンが均一に分散せず、局所的に銅イオン濃度が高くなり、酸化銅粒子が酸化チタンの表面に析出する等により、結果として、逆に、再結合中心となったり、酸素の吸着を阻害し、活性酸素の発生を抑制して活性を低下させるという問題があった。

 本発明は、酸化チタンに確実に銅をドープすることができ、優れた光触媒作用を備える銅ドープ酸化チタンを製造する方法を提供することを目的とする。

手段

 本出願に係る銅ドープ酸化チタンの製造方法は、チタンアルコキシド と 銅アルコキシドと の 混 合 溶 液 を還流処理する工程と、還流処理後の溶液に酸触媒を加えて、銅ドープ酸化チタンの前駆体となるゾル溶液を形成する工程と、前記ゾル溶液を加熱し、アルコキシドの加水分解と重縮合反応を進行させ て 乾 燥 ゲ ル と し た 後 、 乾 燥 ゲ ル を 粉 砕 し て 粉 末 と す るゲル化工程と、前記 ゲ ル 化 工 程 で 得 ら れ た 乾 燥 ゲ ル の 粉 末 を 蒸留水に浸漬させて加熱し、有機物を除去する水熱処理工程と、前記水熱処理を施したゲルを焼成し結晶化させて銅ドープ酸化チタンを形成する焼成工程とを備える。本製造方法においては、銅元素源として銅アルコキシドを使用することと、チタンアルコキシドに銅アルコキシドを加えた溶液を還流処理することが特徴的である。とくに還流処理は銅ドープ酸化チタンの光触媒作用を向上させる上で有効である。

 前 記チタンアルコキシドとして、チタンテトライソプロポキシドを使用し、前記銅アルコ キ シ ド と し て 銅 (II)イ ソ プ ロ ポ キ シ ド を 使 用 す る こ と が 有 効 で あ る 。
 また、 チ タ ン に 対 す る 銅 の 添 加 量 を 0 . 0 5m o l% ~ 0 . 1 0m o l% と す る こ と に よ り 、 銅 ド ー プ酸 化 チ タ ン の 触 媒 活 性 を 活 性 化 す る こ と が で き る 。

効果

 本発明に係る銅ドープ酸化チタンの製造方法によれば、従来のゾルゲル法の製造方法によって得られる銅ドープ酸化チタンに比べて光触媒作用に優れた銅ドープ酸化チタンを得ることができる。

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特許情報

特許5835706

JPB 005835706-000000