階層構造粒子およびその製造方法

2022.08.08 By 信州大学

化学

技術概要

独自のナノコンポジット化ゲル微粒子の製造技術。固体成分の複合化によりゲル微粒子の弱点を克服し、多機能化を実現する。
ゲル微粒子内部の電荷分布制御を行い、電解質ゲル層を避けて硬質微粒子を形成。更にそれを進めて階層構造微粒子を構築する構造制御を行った。
エマルションの安定化剤、物質徐放ナノ材料などへの応用が期待される。

用途・応用

エマルション安定化剤、物質徐放材

背景

 中空微粒子は、低密度、高比表面積、熱膨張係数の低さ、屈折率の低さなどの特徴を有することから、触媒材料、反射防止コーティング剤、太陽電池、充電式バッテリー、ガス セ ン サ ー 、 DNA/薬 剤 担 持 担 体 な ど 、 多 様 な 分 野 へ の 応 用 が 期 待 さ れ て い る 。 こ れ ま で に、 中 空 粒 子 の 合 成 に 関 す る 研 究 が 盛 ん に 行 わ れ て お り 、 Layer‑by‑Layer法 、 化 学 析 出 法 、化学吸着法などの多くの方法が提案されてきた。これらの方法により作製される中空構造粒子は、その多くが単層構造であり、多くの機能化が試みられてはいるが、未だ課題は多い。そのような中、近年、マテリアルの機能の向上という観点から、階層構造粒子の合成に注目が集まっている。

 階層構造を構築することで、非表面積が劇的に増大し、分子吸着、反応性、熱安定性の向上が期待される。さらに、いくつかの報告では、シェルを有する多層構造複合金属微粒子の合成も達成しており、より顕著な機能の向上が期待される(非特許文献1-4)。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 Xu, H.; W ang, W . Template Synthesis of M ultishelled Cu2O Hollw Spheres with a Single‑Crystalline Shell W all. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 1489‑1492.
【 非 特 許 文 献 2 】 Gao, S.; Chang, J.; Fang, L.; W u, L. M etal Nanoparticles Confined in the Nanospace of Double‑Shelled Hollow Silica Spheres for Highly Efficientand Selective Catalysis. Chem. M ater. 2016, 28, 5596‑5600.
【 非 特 許 文 献 3 】 Li, J.; W ang, J.; Liang, X.; Zhang, Z.; Liu, H.; Quan, Y. Xiong,S. Hollow M nCo2O4 Submicrospheres with M ultilevel Interiors: From M esoporous Spheres to Yolk‑in‑Double‑Shell Structures. ACS Appl. M ater. Interfaces. 2014, 6,24‑30.
【 非 特 許 文 献 4 】 Yabu, H.; Jinno, T.; Koike, K.; Higuchi, T.; Shimomura, M . Nanoparticle Arrangements in Block Copolymer Particles W ith M icrophase‑Separated Structures. J. Polym. Sci. B Polym. Phys. 2011, 49, 1717‑1722.

課題

 しかし、従来の階層構造微粒子の合成方法では、多段階の複雑な手順を要する事や、構造 が 多 分 散 に な っ て し ま う と い っ た 課 題 が あ っ た 。 ま た 、 高 分 子 (ポ リ マ ー と も い う )に より構成された階層構造微粒子の報告例は極めて少なく、ブロックコポリマーの自己集積を活用したもののみであり、先に上げた合成の複雑さに加え、架橋構造を導入出来ない点、粒 子 構 造 や そ の 特 性 が 1次 元 の ポ リ マ ー 組 成 に 依 存 し 応 用 が 利 か な い 点 、 溶 媒 と の 相 溶 性が 悪 い 高 分 子 (水 中 で 使 用 す る な ら 難 水 溶 性 高 分 子 )で し か 作 製 出 来 な い 点 な ど 、 応 用 展 開を進める際の多くの課題が残されていた。このため、架橋構造を備え産業上利用可能性の高い階層構造微粒子や、それらを簡便かつ大量に合成可能で、かつ多様な成分への適用が可能な合成法の開発が望まれていた。

 発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行ってきた。その結果、感温性ヒドロゲル微粒子をテンプレートに用いた、シード乳化重合により、固体複合化ゲル微粒子の創製が可能なこと、またこの方法が、テンプレートとなるヒドロゲル微粒子の刺激応答性や、優れた分散安定性を引き継ぎながら、粒子径の整った異形複合ゲル微粒子を、簡便かつ大量に、高収率で作製することができ、かつ多様な成分へ適用可能な方法であること見出した。

 また同時に本発明者らは、反応性比の観点から、電荷がゲル微粒子中心部に局在化する所望のポリマーから構成されるゲル微粒子をシードに用い、塩基性条件下でシード乳化重合を行うことで、当該複合粒子中の固体成分がゲル微粒子表面に局在することを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、ポリマーから構成され、その構造として階層構造を有する、階層構造粒子を提供することを目的とする。

手段

 請求項1記載の本発明は、高分子で構成される階層構造粒子であって、中心部に非荷電モノマーからなる高分子と疎水性モノマーとの乳化重合体を含むコア層を有し、前記コア層の外側に、荷電基コモノマーと前記非荷電基モノマーの共重合体よりなり内周側に荷電基が偏在した1または複数のシェル層を有し、前記シェル層は外周側に前記疎水性モノマーとの乳化重合体粒子を含 み 、 さ ら に 、 前 記 非 荷 電 基 モ ノ マ ー は 外 部 刺 激 応 答 性 を 有 し 、前 記 荷 電 基 コ モ ノ マ ー は メ タ ク リ ル 酸 ま た は フ マ ル 酸 で あ り 、 前 記 疎 水 性 モ ノ マ ー は ス チレ ン で あ る こ と を 特 徴 と す る 、 階層構造粒子である。

 また請求項 2 記載の本発明は、請求項1に記載の階層構造粒子の製造方法であって、イオン交換水中の非荷電基モノマーに架橋剤を添加し、フリーラジカル重合によりコアゲル粒子を調製する第1の工程と、前記コアゲル粒子を含むイオン交換水に前記非荷電基モノマーと架橋剤と荷電基コモノマーを添加してシード沈殿重合を行い、コアシェルゲル粒子を調製する第2の工程と、前記第2の工程を1または複数回行った後、前記コアシェルゲル粒子を含むイオン交換水に疎水性モノマーを添加し、シード乳化重合を行う第3の工程を 含 み 、 さ ら に 、 前 記 非 荷 電 基 モ ノ マ ー は 外 部 刺 激 応 答 性 を 有 し 、 前 記 荷 電 基 コ モ ノ マ ーは メ タ ク リ ル 酸 ま た は フ マ ル 酸 で あ り 、 前 記 疎 水 性 モ ノ マ ー は ス チ レ ン で あ る こ と を 特 徴と す る 、 階層構造粒子の製造方法である。

効果

 本発明に係る階層構造粒子は、産業上有用な、高分子により構成された階層構造粒子を提供することができる。また、本発明に係る階層構造粒子は、シードとして使用したコアシェルゲル粒子由来の刺激応答性など、優れた機能の発現が期待される。

 本発明に係る階層構造粒子の製造方法では、シードにヒドロゲル粒子を用いることができる。ヒドロゲル粒子は、そのサイズや剛直性、電荷密度などの諸物性を容易に変化させることが可能な物質であり、得られた階層構造粒子は、刺激に応じて、サイズやドメイン間距離を変化させることが出来る。

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特許情報

特許6796325
(特願2016-217222)

JPB 006796325-000000