微生物のスクリーニング方法及びスクリーニング装置

2023.02.13 By 昭和大学 山本 雅人  稲垣 昌博  荒田  悟

バイオ

背景

 医療現場で問題となる院内感染の原因菌や、人の疾患に関連する病原細菌を迅速かつ的
確に特定することは、感染の広がりや重篤化を防いだり、治療を的確に行ったりする上で
有 効 で あ る 。 病 原 菌 等 の 細 菌 は 、 種 類 に よ っ て 異 な る 気 体 成 分 ( 揮 発 性
代 謝 物 、 VolatileM etabolites,V M s ) を 大 気 中 に 放 出 す る こ と が 知 ら れてい
る 。 ま た 、ウ イ ル ス の 中 にも宿主細胞を利用して増殖する際などに、特有の気体成
分を放出することも知られている。

病 原 菌 が 放 出 す る VM sに 関 し て は 、 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 器 ( G
C M S ) や 電 気化 学 的 な 手 法 に よ る 研 究 が さ れ て き て い る 。

 一方、物質が吸収する光のスペクトルを分析し、物質の種類やその成分などを特定する
分光分析分野において、中赤外の波長領域が重要となっている。中赤外領域での高性能な
半導体光源として、近年、使用可能な波長領域が拡がりつつある量子カスケードレーザー
( Q C L : quantum cascade laser) が 注 目 を 集 め て い る 。 。量子カスケードレ
ーザーを使用することで、簡便・安価に対象物を常時モニターでき、高感度化も可能とな
ってきている。

 また、中赤外レーザーを利用した技術として、ヒトの呼気等の生体ガスを収容したセル
内に、所定波長の中赤外光を照射し、検出器で検出した光強度から生体ガス中に含まれる
複数のガス成分の濃度を求めるガス分析装置及びガス分析方法が開示されている。特許文
献2に記載の発明では、呼気等に含まれるガスの濃度を測定し、気管支喘息、肺がんなど
の病理の判別に利用している。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2017-50308号公報
【特許文献2】国際公開第2015/033582号
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 Lieuwe D. J. Bos, Peter J. Sterk, M arcus J. Schultz, " Volatile
M etabolites of Pathogens: A Systematic Review" , PLOS Pathogens (www.plospathoge
ns.org), Volume 9, Issue 5, e1003311, M ay 2013
【 非 特 許 文 献 2 】 浜 松 ホ ト ニ ク ス 「 NEW S RELEASE」 2007年 8月 30日

課題

 しかしながら、特許文献2に記載の従来技術では、測定対象のガス成分が一酸化窒素や
アセトアルデヒドなど特定の成分であるとともに、測定するガス成分に対応して波長を設
定する必要があり、微生物が放出する様々なVMsに対応できるものではなかった。また
、検出したガス成分に基づいて、呼吸器や気道の炎症の有無を推定することはでき得るが
、微生物の存在や種類を特定できるものではなかった。

 本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、細菌、その他の微生物の存在や種類を
、非接触で高感度かつ簡便にスクリーニングすることを目的とするものである。

手段

 上記の目的を達成するため、本願に係る微生物のスクリーニング方法は、測定対象の気
体試料に赤外領域の光を照射して、前記気体試料の所定の複数の波数領域の赤外光に対す
る光学情報を取得する工程と、前記光学情報に基づいて、前記気体試料の特性情報を取得
する工程と、前記特性情報を、既知の微生物由来の基準試料の各波数の赤外光に対する光
学情報に基づく基準情報と照合し、前記気体試料が何れの微生物由来であるかを判定する
工程と、を有することを特徴とする。

 また、本願に係る微生物のスクリーニング装置は、測定対象の気体試料に赤外領域の光
を照射する光源部と、前記気体試料を透過した赤外光を受光して前記気体試料の所定の複
数の波数領域の赤外光に対する光学情報を取得する受光部と、前記光学情報に基づいて取
得した特性情報を、既知の微生物由来の基準試料の各波数領域の赤外光に対する光学情報
に基づく基準情報と照合し、前記気体試料が何れの微生物由来であるかを判定する制御部
と、を備えたことを特徴とする。

効果

 本発明によれば、測定対象の気体試料について取得した赤外光に対する光学情報に基づ
く特性情報を、既知の複数の微生物から採取された基準試料の赤外光に対する光学情報に
基づく基準情報と照合することで、気体試料の成分特定や分子種ごとの量の分析をしなく
ても、何れの微生物由来の気体試料かを判別することができる。したがって、細菌、その
他の微生物の存在や種類を、非接触で高感度かつ簡便にスクリーニングすることができる

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特許情報

6581171

JPB 006581171-000000