遠赤色光吸収により光変換しつつ蛍光を発するタンパク質の発見

2022.08.17 By 静岡大学

バイオ

技術概要

GFPとほぼ同程度の分子サイズで、ビリベルジンという色素を共有結合することで、遠赤色光と橙色光の間で光変換するタンパク質を発見した。さらに、遠赤色光吸収型は、730 nmをピークとする蛍光を発することも発見した。

用途・応用

分子イメージング、オプトジェネティクス、超解像イメージングのプローブ

背景

 光は時間・空間分解能が高く、また、波長及び強度という二つのパラメーターによって細かく制御することができる。そのため、細胞内におけるタンパク質の局在などの測定に、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光分子による、光を利用する分子イメージング手法が近年利用されている。しかしながら、細胞に存在する様々な要因(ヘモグロビン、メラニン、水など)により、低波長領域の光の多くは吸収されてしまうことから、低波長領域の光を吸収して蛍光を発するGFPなどの蛍光分子を生体内で利用しようとすると、励起光が蛍光分子まで届きにくく、また蛍光の検出も困難であった。そのため、生体内での分子イメージングには、吸収され難い長波長光吸収型の蛍光分子が望まれている。

 近年、長波長領域の光を吸収するビリベルジン(BV)と結合するバクテリオフィトクロムという光受容体が注目されている。バクテリオフィトクロムは、ビリベルジンと共有結合することで、700nm及び750nmの波長により、可逆的に光変換する光受容体である。非特許文献1及び2には、このバクテリオフィトクロムを用いて、700nm付近の波長の光を吸収し、725nm付近の波長の蛍光を発する蛍光プローブが開示されている。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【非特許文献1】Filonovら、Nature Biotechnology vol.29(2011),pp.757~761
【非特許文献2】Shuら、Science vol.324(2009),pp.804~807 

課題

 しかしながら、バクテリオフィトクロムを用いた蛍光プローブは、色素を結合するタンパク質領域の分子量が比較的大きく、また、タンパク質が二量体以上の多量体を形成するなどの課題がある。このような課題は、上記蛍光プローブを実用化する上で問題となる。

 ところで、シアノバクテリアが有するフィトクロム様光受容タンパク質として、シアノバクテリオクロムが知られている。シアノバクテリオクロムは、フィコシアノビリン(PCB)及びフィコビオロビリンなどの開環テトラピロールと結合し、紫-青/緑色光、紫/黄色光及び緑/赤色光の間で可逆的に光変換を示す。シアノバクテリオクロムは、25kDa程度の発色団結合ドメイン(GAFドメイン)単量体で色素と結合することができるため、上記のフィトクロムを用いた蛍光プローブよりも低分子で利用できる。しかしながら、フィコシアノビリンよりも長波長領域の光を吸収する色素と結合するシアノバクテリオクロムは従来知られていない。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、分子量が小さく単量体で機能し、且つ、長波長領域の光を吸収し、蛍光を発する蛍光プローブとして利用できる複合体を提供することを目的とする。

手段

 本発明者らは、特定のシアノバクテリオクロムのGAFドメインがビリベルジンと結合し、長波長領域の光を吸収し、蛍光を発することを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。

 すなわち、本発明は、例えば、以下の[1]及び[2]に関する。
[1]配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するタンパク質と、ビリベルジンと、が配列番号1に記載のアミノ酸配列の85番目又はそれに相当するシステインを介して結合し、蛍光特性を有する複合体。
[2]前記複合体を構成するタンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質である、[1]に記載の複合体。

効果

 本発明によれば、分子量が小さく単量体で機能し、且つ、長波長領域の光を吸収し、蛍光を発する蛍光プローブとして利用できる複合体を提供することが可能となる。

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特許情報

特願2014-202984

JPB 006404665-000000