羊膜由来幹細胞の維持培地、維持培地用サプリメント及び維持培養方法

2022.07.20 By 日本大学

バイオ

技術概要

上皮間葉転換の進行を阻害できる羊膜由来幹細胞の維持培地、維持培地用サプリメント及び維持培養方法を提供する。

用途・応用

幹細胞維持培地

背景

 幹細胞は、再生医療への応用を目的として、近年、活発に研究開発が進められている。
 幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞等の全能性を有するものや、骨髄や脂肪組織から採取される間葉系成体幹細胞(体性幹細胞ともいう)が挙げられる。しかしながら、これらの幹細胞には、臨床応用の観点から、それぞれ越えるべき課題が存在する。受精卵から作製されるES細胞には、倫理的な問題があり、iPS細胞についても未だ安全性や作製方法の検討が続いており、安価に量産できる状況ではない。さらにこれらの全能性を有する細胞を培養し、臨床で求められる機能を有する細胞に分化させる方法は未だ確立されていない。一方、体性幹細胞のうちいくつかについてはすでに臨床応用が行われているが、組織あたりの絶対量が少ないため、少量の細胞で治療可能な疾患にしか適用できず、大量の細胞が必要な場合には、治療に先立って長期の継代培養が必要となる。また、体性幹細胞は通常分化することができる細胞の種類が限定されている。

 発明者らは、これらの課題を解決できる幹細胞として、新生児組織である胎盤、その中でも羊膜由来の幹細胞に着目し、ヒト胎盤から分離された羊膜上皮細胞が幹細胞様の多分化能を有することを明らかにしている(例えば、非特許文献1参照)。
 
 羊膜由来幹細胞は、本来医療廃棄物である胎盤から分離できることからES細胞で問題となる倫理的な問題がない。また、一つの胎盤から比較的簡単且つ大量に分離できることから、間葉系成体幹細胞のような量的問題もないと考えられる。さらに、新生児の細胞であることから、加齢や環境によるDNA損傷も少なく、iPS細胞のような人工的な遺伝子改変による発がんリスクもない。また、採取が容易であるため、細胞バンクを構築すれば、臨床応用の際にそれぞれの患者と免疫型の一致した細胞を供給することも可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 M iki T et al., " Stem Cell Characteristics of Amniotic Epithelial Cells." , Stem Cells, Vol. 23, pp.1549‑1559, 2005.

課題

 しかしながら、羊膜由来幹細胞は、分離抽出後の培養時に上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition;EMT)により中胚葉への自発的な分化が進み、外胚葉系幹細胞としての特性を保持したまま培養増殖することができない。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、上皮間葉転換の進行を阻害できる羊膜由来幹細胞の維持培地、維持培地用サプリメント及び維持培養方法を提供する。

手段

 すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 形質転換増殖因子β阻害剤を含む、羊膜由来幹細胞の維持培地。
(2) 前記形質転換増殖因子β阻害剤がSB-431542である、(1)に記載の維持培地。
(3) 前記羊膜由来幹細胞がヒト由来である、(1)又は(2)に記載の維持培地。
(4) 形質転換増殖因子β阻害剤を備える、羊膜由来幹細胞の維持培地用サプリメント。
(5) 前記形質転換増殖因子β阻害剤がSB-431542である、(4)に記載の維持培地用サプリメント。
(6) 前記羊膜由来幹細胞がヒト由来である、(4)又は(5)に記載の維持培地用サプリメント。
(7) 羊膜由来幹細胞を、(1)~(3)のいずれか一つに記載の維持培地を用いて培養する、羊膜由来幹細胞の維持培養方法。

効果

 上記態様の羊膜由来幹細胞の維持培地、維持培地用サプリメント及び維持培養方法に
よれば、上皮間葉転換の進行を阻害できる羊膜由来幹細胞の維持培地、維持
培地用サプリメント及び維持培養方法を提供することができる。

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特許情報

特開2021-171032

JPA 2021171032-000000