専用袋じゃなくてもイージーピール包装を作れる新技術!包材コストも抑えられる「スチームシーラー」とは

2024.03.07

富士インパルスは、スチームシーラーの技術を応用し、イージーピールシール状態(2章で解説を安定して作りだすことができました。

この応用技術の実用化に向けて、実際のニーズのヒアリングやシールテストサンプルの提供を募集しています。

 

シール状態についての動画

イージーピールシールの検証機を使用してシール検証を下記のように実施しました。

動画内容

(1)イージーピールシーラー検証機の説明
(2)ポリエチレンフィルムのシール検証
(3)FN(ナイロンポリ)のシール検証
(4)アルミラミネート袋のシール検証
(5)XL袋(エバール&ポリエチレン)のシール検証
(6)イージーピールを行った包装形態例
(7)片側をイージーピールした包材例


イージーピール状態とは

イージーピールとは、袋やカップ等を両手で容易に開封できる状態のことを指します。イージーピール状態は、主に以下の3通りに分類されます。

  擬集剥離:フィルムがシールされている層が破壊され、カップとフタ材が剥離するもの。     層間剥離:多層で構成されたフタ材の層と層の間が剥離するもの。     界面剥離:カップとフタ材の境目(界面)で剥離するもの。

これらのイージーピール状態でシールされたフタ材は、容易に開封できます。

 

現在このようにカップとフタ材が容易に剥離(ピール)するのは、フタ材がイージーピール専用フィルムで作成されていることにより実現されています。イージーピールフィルムは、イージーピールに要求される機能を満すように作成されたフィルムなので一般的なフィルムに比べてコストが高くなります。

 

これに対して今回、富士インパルス社が開発したイージーピールシールの検証機を使用すると、イージーピール用のフィルムを使用しないで一般に販売されているフィルム、例えば、ポリエチレン単体(PE)あるいは、ナイロン/ポリエチレン、アルミ箔/ポリエチレンといった構成の袋のいくつかに対して、写真1に示すようにイージーピール状態を安定して作ることができました。

写真1)ポリエチレンフィルムのピール状態

 

この技術を活用することで、コストが高くなるイージーピール専用フィルムを使用する必要性が無くなり、包装材料のコストを抑えることが期待できます。

このシールのイージーピール状態は、凝集剥離タイプに相当します。

一方、この技術の現時点の限界として、どのフィルムに対しても任意のシール強度を再現することが困難であることがあげられます。

例としましてLLDPE100μmのフィルムで測定したピール強度T(N/15㎜)は、下記のようになり、一定のばらつきが残ります。

*2.0 ≦T≦3.5

 

イージーピールを実現したスチームシーラー技術とは

富士インパルス社はこれまで、スチームシーラーに関して電気を一切使用しない防爆対応のシーラーとして開発してきました。

 

スチームシーラーとは、すなわちエアーと飽和蒸気だけで機械を作動させることができるので、電気部品から火花が発生するリスクが皆無となり、引火する気体などが存在する危険場所でも爆発などの危険状況を発生させることなくシール作業を行うことができます。

この製品はシーラーの加熱源として飽和蒸気を使用していますが、弊社製他のインパルスシーラーと同じ使い勝手でシール作業が行えます。

 

この防爆対応スチームシーラー開発および実用化を進める過程においてスチームシーラーは飽和蒸気の熱容量が大きいので弊社がラインアップしているインパルスシーラーと比較して特異な加熱特性があることが分かってきました。

 

そして、この加熱特性に加えて、弊社が併せて開発したスチーム供給排気システム技術を利用し、シール部温度が常に設定シール温度の±2℃以内に保てるようにすることで、作業開始から終了までのどの時点でシール作業をしてもシール部温度が一定になるような技術を実現しました。

また、作業ごとの再現性もあるのでいつでもイージーピール状態を安定して作り出せるようになりました。
   


コスト面の比較

スチームシーラーの技術を活用したこのイージーピールシーラーは、上で述べた通り専用の包材を使用せず一般的な包材を使用するので年間の必要な包材コストを抑えられることが期待できます。しかし、一方でフィルムの加熱源としてボイラーを必要とするため電源があれば駆動する一般のシーラーに比べ、ボイラーの導入のためのイニシャルコストが必要となります。

 

将来的には、さらに多くの現場で導入していただきやすいよう、ボイラー設置の必要なしでイージーピールシールが行えるようなシーラーの実現に向けて検討をしています。

お客様の包材で、シール見本を無料で作成します!

この記事を読んでイージーピールシーラーにご興味をお持ちいただいた方はぜひ下記までご連絡をいただければ幸いです。

テストを希望される袋・フィルムを下記までお送りいただき、お預かりさせていただけましたら、シール見本を作成し、返却させていただきます。皆様からのご連絡をお待ちしております。

連絡先:

富士インパルス株式会社

顧問室気付 スチームシーラープロジェクト宛

送付先所在地:〒561-0834 大阪府豊中市庄内栄町4-23-18

TEL:050-1780-8271

 

あるいは、こちらのお問合せ入力フォームのタイトルに「イージーピールシーラーについて」と記載いただき、お気軽にお問合せください。

 

富士インパルスは、独自の技術を駆使してインパルスシーラーおよびその関連機器を製造するメーカーです。
私たちは、食品加工から宇宙開発に至るまで、幅広い産業の多様なニーズに応える高品質かつ信頼性の高い機械を提供しています。