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ラボのみなさまこんにちは。
職場の留学生のみんなは実家に帰省したあとや旅行に行ったあと、律儀にお土産を買ってきてくれます。お菓子が多いですが、去年学会に行ったインド人留学生からは金色に輝く名古屋城をもらいました。しかも貯金箱。・・・なぜ貯金箱をわたしに?? その真意は謎です。
さて今回はさまざまな国からやってくるラボの人たちにまつわる整理収納エピソード集です。
CONTENTS
本題に入る前に、まずこの写真をじっくりご覧ください。↓
ラボのカオス形成につながる5つの誤解
おそらく、これは海外のラボです。
日本じゃないことを示す最も強力な根拠は、
「棚に落下防止バーが付いていないのに高いところに試薬ボトルが並んでいる」
これです。
知人からは「ショウボの職場」と思われたようですが、それはちがいます。
日本のラボでこの状態というのはちょっと考えにくい。安全巡視で真っ先に指摘されるはずの部分が放置されています。
さらにおかしなことに、この写真ラボでは収納の中がほとんど空っぽ。扉が開いているのも不自然です。
結論として、ここはただの「片づいていないラボ」というよりも「引越し前の外国ラボ」と思われます。
なぜ引越し後ではないかというと・・・(写真を細かく観察していたらこの項だけ3倍くらい長文になってしまったため以下の考察省略)
そろそろ本題に入ります。
地震がない国では日本とは安全対策の常識が違うようです。
それを示唆する2つの事例を紹介します。
スウェーデン滞在研究者による、現地レポート。
「ラボの棚はIKEAで買ってきたもので壁固定されてないし落下防止の棒なんてついてない。なんでも高いところに置いちゃうから、実験台の上はスッキリ。」
インターンシップでやってきたドイツ人留学生より。
3ヶ月の日本滞在中に撮った “日本で見かけためずらしいものシリーズ” 写真のなかにこんな被写体が↓↓
突っ張り棒。(なるほど〜。地震がないからこういうものが必要ないんだな)
以上2つの事例報告より、地震対策は「世界の常識ではない」(少なくともスウェーデンとドイツでは)
ということが明らかとなりました。
この件から導かれた仮説は
「地震への警戒意識は地震がない国からきた人の頭には存在していない」
かもしれない、ということです。
海外からきたポスドク研究員が、倒れやすいガラスのサンプル瓶を数本、実験台の上に裸で(ラックに入れずに)置いているのを見かけました。
このガラス瓶はラックに入れた方がいいよね。安定するし。実験台の拭き掃除をするときもまとめてあったほうが楽だし。
このように思い
「地震の時倒れないように箱にまとめて入れるといいよ」と(老婆心から)勧めたところ、
「先生からは何も言われなかったし先輩もこうしている」とホコリがうっすら積もった隣の実験台上を指差して言われてしまいました。
自国での習慣のままでいいと思っていた、ということなのでした。
おおそうか隣の実験台がお手本なのね。
地震の怖さを知る皆さん、どうか留学生の良いお手本になってください。
わたし一人の老婆心では説得はムリです。
ラボメンバーの半分以上が海外から来た研究者や留学生という職場では、英語で話すことが多いです。でも、字を書くときは一番早く書ける慣れた言語でさささっとメモするため、わたしには読めない文字もあります。
整理しにくい低温収納に挑め!
先日はラボの冷蔵庫片づけの際、アラビア文字で書かれたサンプルチューブが見つかりました。試薬名はアラビア文字でも、持ち主さえわかればなんとかなります。本人に「これは何?」と聞けるので。
ところが「アルファベットでちゃんと書いてあった」けど、誰だかわからないことがありました。
XiとかXと書いてあるものが数ヶ月前から試験管立てにあって、これは「廃棄予定のつもりでバツ印を書いたのかな?」とずっと思っていました。
じつは中国人の方が苗字を書いていたのでした。失礼ながら理解してませんでした。
危ないものなんてないだろうと思われて、見過ごされている場所というのが存在します。
それはオフィスです。
安全巡視で何も言われないから危険がないと思ったら大間違い。自分が気をつけなければ危ない目にあうかもしれません。
書棚に置かれた厚さ10cmの専門書(ほぼ飾り)が脳天を直撃とか・・・想像すると怖い。壁に固定されていても中身は落ちてきますから油断大敵です。
さらに要注意なのはオフィスの茶棚。
湯沸かしポットの上段に茶葉やコーヒーなどが置いてあり、就職初日に自由に飲んでいいと言われました。ボスが呟くように「(古いのがあるかもしれないけど)飲めると思いますよ」(括弧内は聞き取れていなかった)とおっしゃる。
そこで、ベトナム土産のインスタントコーヒーを飲んでみたところ、毎日飲み続けたら病気になるのではと思うくらいウルトラスウィート(超甘い)でした。
甘すぎるが故に消費が進まず、数年間オフィスの茶棚に静置されているようです。
他にも、中国人留学生由来のお茶もありますがまだ手をつけていません。賞味期限は切れています。期限切れでも捨てられないのは「わざわざ買ってきてくれたものだし」「まだ飲める」から。試薬が捨てられない理由とよく似ています。
共同研究室に新しい顕微鏡が搬入されたときのこと。付属品や取説を入れるのに最適なすぐ下の引き出しに、だれかのものが色々入っており顕微鏡グッズを入れられません。いちばん顕微鏡に近い場所なのに。
使用者名ラベルがないため中身を調べてみると、20160408と書かれたプラスチックチューブがある。引き出しを使っていた人は2016年に実験をしていたらしい。8年前か。英語で書かれたメモがあることから、外国人と思われます。大学院生だったらもう卒業しているはず。
はっきり名前を書いたものが見つからないので個人の特定ができず、国に帰っているのか日本にいるのか研究を続けているのかも調べようがない。留学生だったら研究指導者がいたはずですが、関係者の存在を示すものがなく、捜査は行き詰まりました。
こうした実験関連の品々は用途や成分がわからない実験サンプルや粉体が含まれているために廃棄方法が決めにくい。だから困ります。
ラボのナゾ解き!? 棚卸しに挑戦しよう
これ以上調査を続けると時間がかかるのでモヤモヤが晴れないまま、またそっと引き出しをしめて保留にする。このようしてラボに捨てられないものが溜まり、使えないスペースが増えるのです。所有者不明・相続人不明の空き家問題とそっくりです。
なお顕微鏡グッズは3歩離れた隣の実験台引き出しに入れられ、本体とは別居状態にあります。
みなさんのラボでこんなことが起きないよう願っています。
とにかく名前だけはしっかりと持ち物に書くように、そして海外から来る人々にもそう伝えていきましょう!
地震対策が常識でない国もある
留学生のお手本になろう
オフィスでは食品の賞味期限に気をつけよう
留学生にも日本人学生にもモノに名前を書くよう伝えよう