整理収納アドバイザーが教える、ラボ収納の実例6選!

2023.12.06

ラボのみなさま、こんにちは。

今回は、バイオ系ラボでどんな収納の使われ方をしているかという実例をご紹介します。

ラボと言っても研究内容によって使う物がさまざま。特定の分野に絞った収納の話なので、物品の名称もよくわからないものがあるかもしれません。どうかご容赦くださいませ。

 

 

段ボールそのまま収納

入荷したらそのまま上を切り取って、収納箱として使っています。

箱の蓋を切り取るためカッターやハサミの定位置をすぐそばにつくっています。

 

あらかじめ開けやすいようになっている箱もありますが、ラボの棚やスペースと合わない場合、別の場所を開け口にすることもあります。

 

たとえばオートクレーブバッグ、もともとの取り出し口は横面にあります。

でも箱を縦にして取り出し口を作っています。この箱を横における棚がないので立てているだけで、アズワンさんに理由なき反抗をしているのではありません。

物品の使用頻度が高く、すぐに使い切って箱ごとなくなるのなら、こうした段ボールそのまま収納はおすすめです。わざわざ入れ替える手間が省けますから。

 

ただ、虫やカビがつくという衛生上の観点から、動物実験室や培養室での紙箱使用が禁止されているところもあります。実際、雨漏りでぬれた箱にはカビが生えていました。手の届かない高い棚にあり、使わないものが入っていたので気づけなかったのです。

 

約7割のラボにはパンドラの箱(今だと"特級呪物"でしょうか)と呼ばれ、触ると祟りがあると信じられている古い段ボール箱が存在します。
ひっそり実験台の下に眠っていたり、ラボ風景の一部となって床や窓をふさいでいたりします。ごく一部の人以外は中身を知りません。

 

こうしたものは触らなくても精神衛生上不衛生なので、中身ごと処分できないかボスに相談することをお勧めいたします。開封するときは一人ではやらないように気をつけましょう。

 

マイクロピペットチップの箱

いまでは箱入りのフィルター付きチップを湯水のように消費しているラボにいるわたしですが、かつてはピペットチップ自体を洗って使い回し、ゴム手袋は穴が開くまで再使用、駒込ピペットもメスピペットも洗って綿つめ、滅菌が当たり前の会社ラボにいました(40年前の製薬企業研究所)。

 

今でも、手で立てる“チップ詰め”が日課のラボはめずらしくありません。なんとなく裕福そうに見える医学部のラボでも精神修養の一環として“チップ詰め”が行われ、1分あたりの本数を競い合っています。

 

何が言いたいかというと、おなじ箱にチップを補充して何度も使い回しするため、空き箱自体が貴重品だということなのです。

 

そうしたラボから実験しにやってくる大学院生は、リサイクルプラスチックとしてゴミ箱に入れられている空き箱を「サンプル保管用に使いたいので、これもらってもいいですか」と嬉しそうに持ち帰っていきます。

 

 

試薬の空き缶

夏休みの工作のようですが、いくつかのラボで見かけたことがある三位一体チューブ立て。

起源が気になります。

 

狭い実験台の上で使うのにピッタリ。場所をとらず、安定しており、50mLも15mLチューブも立てられる。もちろんペン立てとしてもOK。

 

クッションのかわりか、液だれを吸わせるためか、底にティッシュが敷かれているのも特徴。

 

ソロだったのに、同じ容器が3つそろったら直ちにトリオにされてしまう。これを作りたくて空き容器を引き出しに取っておく人がいるようです。

 

 

キムワイプの空き箱

中身を使い切ったら写真のように切り開き、収納箱として第二の人生(箱生)を送っています。大きすぎず小さすぎない絶妙サイズ(W130mm, D120mm, H 90mm)。

 

後述のように分注した試薬を凍結保存したり、冷蔵庫の中で分類収納したりするときに活躍しています。

 

 

チャック付きユニパック

チャック付きのポリエチレン袋は、チューブスタンドやボックスをいれるようなスペースの余裕がないときや、細かいモノを分類する用途で使われています。

 

サイズはいろいろありますが、バイオ系のラボではG-4 (チャック下サイズ200×140mm,とH-4 (チャック下サイズ240mm×170mm)が便利。

 

汎用する15mLや50mLのチューブを入れるのにいい大きさだからです。

 

G-4は15mLチューブが13本、H-4には15mLチューブが18本入ります。

 

たとえばチャック付きユニパック H-4に15mLチューブ18本×2袋、キムワイプの空き箱1つに36本のチューブを入れました。これなら試験管立てを使用する場合の半分以下のスペースですみます。

 

ボトルについていた試薬ラベルを剥がして袋の中に入れておけば、型番やロット情報を確認しやすいです。

 

なおチャック付き袋をフリーザーに入れる場合は、中身が落ちない程度の空気抜き穴をあけておく、または完全にはチャックを閉めないようにします。袋の中の空気が膨張してパンパンになってしまうのを防ぐためです。

 

 

チューブボックス

フリーザーで使っている箱のサイズとして、写真の81本立て(最多でこの本数立てられる)、50本、25本、24本、5本などバリエーションがあります。

 

もちろん、入れたい本数によるのですが、フリーザーで使うなら50本立てまたはそれよりも小さい箱のほうが使い勝手がいいです。

 

液体窒素タンクで細胞保管に使う場合を除き、抗体や制限酵素、プライマーのような1.5から2mLチューブを凍結保管する際、どういう容器を使うのがいいのか?は悩ましいところです。

 

抗体はチューブの上に試薬名が書いてないものが多く、目的のものを上から見て探すのに時間がかかります。何度も出し入れする間に写真のように霜だらけになってしまいます。そのため、探しやすくするためには工夫が必要です。

 

  • 50本立ての箱を使う
  • チューブの頭にラベルをつける
  • 丸のカラーシールで色分けする
  • 蓋を開ける前に目的のチューブのありかがわかるよう、透明な蓋のついた箱を使う(写真は住友ベークライトのセラムチューブ用ラック50本立て)
  • どこからどういう順番で入っているか(アルファベット順)、向きがわかるように蓋にラベルする

 

ということをしています。

 

 

まとめ

・段ボールそのまま収納 → 便利だがカビ・虫に注意。カッター・ハサミの定位置を近くに作ろう。
・マイクロピペットチップの箱 → 必要以上に空箱をためすぎない。
・試薬の空き缶チューブ立て → 見た目がいいとは言えないが使い勝手は良い。
・キムワイプの空き箱 → 紙なので工作が容易。15mLや50mLチューブに分注したものを立てて保管したいときに便利。
・チャック付き袋 → 入れたいもののサイズにあった袋を買おう。
・チューブボックス → 使いこなしに工夫を。フリーザー内を整理すると空き箱が大量に出てくる。

 

ラボで使うものは危険なものもあり、施錠管理するべきものもあるので原則通りにできない場合もありますが、収納大原則というのは家でも職場でも同じです。

「モノは使う場所の近くに置く」
「取り出しやすく戻しやすい収納方法にする」

この2つです。

ところが、ラボではこの大原則に従った収納をつくる上での障壁があります。

まず、「これは誰がつかうのか」「何につかうのか」がわからないものが多々ある。過去に在籍していた人が使っていたものが「謎の物体X」となっている。

まず整理をすることが使いやすい収納を作る上でも有効です。この年末、大掃除と合わせてラボの整理を計画してみませんか?

【著者紹介】ショウボ

筑波大学卒業後、製薬会社の研究所に30年以上研究者として勤務。博士(医学)
医学部の大学院研究室を経て現在は国立研究機関で研究業務員。
2017年よりラボ専門整理収納アドバイザーとしても活動中。
ラボ整理研究室を主宰。

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