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ロボットが得意なこと、それはある定めた目標のところを「ここだよ!ここに行きたいんだよ!」と教えてあげれば何度も繰り返し同じところへ高い精度で到達することが出来ることです。ロボットの世界ではこの"教えること"を、教示・ティーチングと言います。※ちなみに今回、比喩ではなく、実際の「ロボットの移動・位置」について話しています。
その同じところへ行く精度の高さが色々なロボットメーカーの売りになるのですが、これを「繰り返し位置精度」と呼びます。他にもロボットには絶対精度や軌跡精度といったものもありますが、いわゆるロボットの精度と呼ばれるものはこの「繰り返し位置精度」のことを指しています。
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そして、ロボットには目がありませんので、おおよその平面上のある位置にあるものを取りに行きたいときにセンサーや2Dカメラを使ったり、さらに立体的にどのへんかにある位置のものを取りに行くときには3Dカメラを活用するわけです。
最近では、途中障害物があればカメラでみた状況、情報をロボットコントローラーへ送り込んで、回避した動きを作るなんてことも出来るようになってきています。
しかし、やはり基本的にロボットはある程度ものの位置、状況が定まったものを取る方が得意ですし、楽ですし、装置として導入するときにも安価になります。人間は実に器用に色々なものをよけて通すなど行いますが、実はロボットではひと苦労なのです。
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ラボラトリーでは、色々な実験機器も基本的に人が使うために用意されていますので、かなり適当に置かれていることが多くなりますが、これをロボットで行うためには単に箱単位で揃えるだけでなく、それこそミリ単位で一定になるように用意してあげたほうが安定します。
最近電動ピペットを活用したロボット装置ではよく見受けるようになってきましたが、そのような装置における電動ピペットなども一定の位置に定められるようにホルダーを作ってあげて、そのホルダーは動かないようにしてあげるといった治具の作成が必要になるわけです。
そして、ラボでは機器同士を装着するチューブ類、ホース類が多く出てきます。シングルユースのものも多いため、都度取り出して必用なときに装置類に取り付けるかたちになりますが、これがまたそのまま行おうとすると難しい作業になります。なぜなら、こういったホース類はだいたい袋の中にはいってうねうねとしたホースのままになっているため、結合部、コネクター部分を正しい位置で把持する(ガシっと握る)ことが難しいためです。向きが安定しておらず、重なったりもしているでしょうから普通のカメラで捉えるのも難しくなりますので、3Dカメラでまずは位置を把握することになります。
しかも、もし頑張って持てたとしても、今度は装置に装着しにいくまで自身のホースが絡まってしまったり、コネクター部分までの間に干渉してしまい苦戦してしまいます。ホースは柔軟に動いてしまいますので、干渉する位置が常に変わってしまうという代物です。そのため「位置不定」「柔軟物」「状態不安定」ということで、かなりの難易度になることがわかるかと思います。
これを解決するヒントが意外と身近なところにあります。それは、ガソリンスタンドです。
どういうことかといえば、このガソリンスタンドにある給油ノズル、当たり前ですが給油機にガチャっと装着してあります。軽油、レギュラー、ハイオクということでそれぞれしっかりと引っ掛けてありまして、使う人はそれを取り出します。
当たり前のことですが何が言いたいかというと、このホース、間違ってもそのへんの床に置かれていることはない、ということです。給油機のフック部分に装着されているから取り出しやすいですし、ノズルが給油口に挿入する際にもホース部分が干渉しにくくなっています。
シングルユース類を装置に装着するときにも予めそのような形でコネクタ部分を引っ掛けるなりの工夫をして、ある程度位置固定が出来ることでロボットでの取り出し、装着が容易になります。予め数本準備しておけば、繋ぎ替え作業等にも対応できます。コンタミリスクを考慮する場合、ある程度の密閉した容器などでカバーしておく配慮なども必要になるかもしれません。
この作業の応用で、ときどき清掃作業でブロア(空気の吐出・送風)をしたいというケースがあります。この場合もエアーシャワーをロボットで持って作業をさせることが出来ますが、同じく固定させておくことで把持しやすくなります。これはガソリンスタンドよりも、歯医者さんのエアーシャワーのほうがイメージが近いかもしれませんね。
こんな身近なところから発想を飛ばすだけでもロボットでの自動化出来る範囲が増やせたりします。そういう発想で日々を過ごしていると、ときどきガソリンを入れるとき自分がロボットアームになった気分になってきます。皆さんも是非お試しください。
近年研究や実験作業におけるシーンでもロボット等を用いた「自動化」の流れが強くなってきていると感じています。
このシリーズでは、工場だけでなく研究所等の様々な作業のロボット導入・DX導入に携わってきた私、MIRAの山本が、ラボの自動化・ラボラトリーオートメーションをテーマに、ロボットやAIの活用について楽しく解説していきます。