#32 【合同フォーラム開催】ディープテックの魅力と社会課題解決への想い

2022.12.02

20221026日(水)、ディープテック業界をけん引する4社と合同でLabBRAINS主催の「技術系スタートアップ合同フォーラム」を開催しました。

登壇者は実際に現場の仕事に従事している4名、事業からカルチャーまで他では聞くことのないリアルな内容で、ディープテックおよび自社の魅力を存分に語っていただきました。当日のハイライトを本コンテンツにてお届けいたします。

登壇者紹介

登壇企業概要

中島 崇(エレファンテック)

東京大学大学院情報理工学系研究科卒(修士)
大学時代は高速3次元画像処理の理論研究をしていたが、企業との共同研究に繋がり、工学だけでなくビジネスにも「仕組み」があることを実感し興味が出て新卒で経営コンサルに寄り道。
その後外資系メーカー開発などを経て「ディープテックこそ人類が時間を使うべき領域では?」と2020年よりエレファンテックへジョイン。

西村美紀(京都フュージョニアリング)

東京大学大学院理学系研究科卒 理学博士(物理学)取得
大学院では、スイスのポールシェラー研究所で研究活動。5年程度愉快な先輩方とスイスのド田舎で暮らす。5か国70人程度のMEGII実験(mu->e gamma探す実験)で陽電子時間測定に明け暮れる。
2020年に株式会社クニエに入社し、それまでの経験を活かし、企業のデータ活用支援を行う。
2022年8月より京大初の核融合スタートアップ企業にジョイン。ビジネスも研究も両方やる予定。

井上 泰徳(つばめBHB)

東京工業大学大学院総合理工学研究科物質化学創造専攻博士課程 修了
修士から博士前半までは太陽電池用の電極用カーボン材料について研究。博士後半から博士研究員の時代は新規のアンモニア合成触媒の合成、評価に従事。その後首都大にて金触媒の研究開発に従事。
2017年から、つばめBHB株式会社へ入社。東工大の開発した新規アンモニア合成触媒の実用化を志向したラボ初期検討を主に担当。

緒方俊彦(マイクロ波化学)

東京大学大学院新領域創成科学研究科 博士課程修了
学生時代は、核酸の有機合成を研究テーマとして博士課程まで進学。
卒業後、住友化学株式会社で主にリチウムイオン二次電池用材料の新規探索を中心に研究職として従事、2019年からマイクロ波化学株式会社に参画。
マイクロ波を用いた新規製造プロセスの事業化に向けて、ラボ開発を担当。

ディープテックについて

SDGsや脱炭素といった社会課題が世界的に議論される中、スタートアップ、とりわけ“ディープテック”と呼ばれる企業の高度な技術力が、これらの社会課題の解決に大きく貢献する可能性に注目が集まっています。

ディープテックとは、

「深いところに(ディープ)眠っている技術(テック)」
「世の中に深く根ざした問題(ディープ)を解決できる技術(テック)」

この2つの意味からきた造語です。
つまりディープテックとは、「今は深いところに眠っているが世の中の問題を解決する力を秘めている技術」なのです。

しかし技術力の高さ、対峙する課題の高度さ故に技術概要が難解であり、一般の人々に広く理解される難いため、ポテンシャルに見合った認知度が十分に得られていないという課題があります。

LabBRAINSではこういった企業にスポットライトを当て、

「ディープテックで働いてみたい!」

「ディープテックをもっと知りたい!」

「ディープテックを盛り上げたい!」

と多くの人に感じていただくことで、研究領域の発展に貢献したいという想いから今回のフォーラムを開催いたしました。

本動画ではフォーラムの内容を抜粋してお届けいたしますが、フル動画の公開も行っておりますので、是非そちらもご覧ください。

ディープテック各社の魅力(11:00-)

エレファンテック(中島氏)

CO2の排出量が77%減ったりとか、水に至っては95%減らせたりとか、有害物質工程に関しては85%削減っていうような数字がもう量産ベースで出せている。世界に広げていける技術だなと思っているので、これからがかなり面白いフェーズ。

京都フュージョニアリング(西村氏)

太陽の中で起こってる現象を実際に人間が地上で起こす技術。温室効果ガスを一切出さず、基本的に海水からエネルギー取ってこられる夢のエネルギー。長年科学者が夢見た漫画のような世界がいよいよ社会実装の手前まで来ている、その夜明けに立ち会えるのが魅力。

つばめBHB(井上氏)

世界中で肥料として利用され、かつ最近はエネルギーとしても注目されるアンモニアはハーバー・ボッシュ法という100年も前に確立された技術で生産されてますが、その方法では地域によっては供給ができないという課題がある。我々が開発した新規触媒によりその生産システムを変革しており、まさに初号機が受注目前という状況まで来ている。

マイクロ波化学(緒方氏)

我々も100年以上変わっていない化学産業がターゲットになっています。対象のターゲットに直接エネルギーを与えるという新しいエネルギーの伝達手段であり、その技術を提供することでより効率的な反応であったり、新しい新素材等が得られることもある。更に再生可能エネルギーを利用することで工場も電化するといった昨今のカーボンニュートラルの流れにも沿っており大変注目されている

ディープテックで働く意味とは(27:30-)

エレファンテック中島氏:スタートアップってビジネスも同時に作っていくっていうようなやり方。世界を変えられる可能性がある技術に関われるという魅力、技術大好き人間としてはそこを踏んどかないとダメでしょ。

最前線で活躍する人達(25:00-)

京都フュージョニアリング西村氏:アラフィフ60歳以上ぐらいの方が結構いらっしゃるっていうのが印象で、あとはビジネスサイドにしろ技術も若手というか中堅ぐらいのアラフォーティーぐらいのところにピークがあるっていう感じですね。

マイクロ波化学緒方氏:うちは心技体が充実した30代後半から40代ぐらいが、ボリュームゾーンというか一番多い層かなという感じですね。

エレファンテック中島氏:割と分散しています。年齢にあまりこだわっていないので、面接の際も性別と年齢と写真はみません。

現場はやりがいに満ちている(30:20-)

マイクロ波化学緒方氏:採用面接で「やりたいことはなんですか?」と必ずきくのですが、ディープテックでの仕事は自己実現が高いというのと、やはり技術を事業化していく、実装していくっていうフェーズを近くで味わえるっていうところはすごく強い魅力です。

つばめBHB井上氏:結構個人の裁量に任せられる分責任が伴うんですけれども、それがやっぱやりがいのあるところと一致してれば非常に魅力的になるんじゃないかなと思います。私は触媒しか触ってなかったもんですから、実際にプラントに入れた時にプロセスとしてどういうことを注意しなきゃいけないのかっていう、そのプロセスのチームとのやり取りっていうんですかね。
こういう触媒を作ってくれよとか、ここに注意して欲しいんだよっていう、リアルにそういう言葉を交わしながら開発を進めていけるっていうのは良かったですね。新規の触媒を作るときには「ここを注意しなきゃいけないよね」ってポイントが分かってるっていうところからスタートできるので、開発のスパンも早くなると思います。

エレファンテック中島氏:難しい課題の方が簡単だみたいなことをスタートアップで良く言うと思うんですけど、ディープテックめちゃくちゃ難しい課題やってる訳じゃないですか。そうすると本当に困ってる人がいるんで、その人たちは強力な味方になるんですね。ほんとに困ってるんで社内社外関係ないんですね、協力してくれる。
そうすると専門家がわらわら集まってくるみたいになって、トピックスごとに来るべき人がちゃんと集まるんですよね。その状態が完成すると知らなかった分野だったりとか必要な技術要素っていうのが集まってくる状態になるんで、そのループに入った時がすごい楽しいですね。
ここがなんて言うかディープテックの醍醐味のなんかこうコアなのかなみたいな気がします。難しい課題やってるからこそ専門的な仲間がちゃんと集まるっていう。

充実しているからこその苦労(36:30-)

京都フュージョニアリング西村氏:今言ったことと裏返しになるんですけど、ある種ピースがハマるとは限らないみたいな。そこ自体はやっぱ難しさであり苦労かなとは思いますね。
例えばなにか案件があって、ここは埋めてかなきゃいけないなと、それを皆でこぞって技術メンバーもビジネスサイドも勉強しながら何が必要かっていうのを模索するんですが、これってある種答えがないところなので、それをどこまで形の良いもの、より良いものに時間をかけてしていくかっていうところが難しさかなと感じています。
「やるぞ」っていう人はバーって広がっていく。で、そういう人が多いから交通整備が難しいみたいなのはちょっとあるかもしれません。

つばめBHB井上氏:そうですね。うちも似たような感じですね。「俺がやってやるぜ」っていう方も結構いらっしゃるので、「この方向にフォーカスしていこう」「この事業にフォーカスしていこう」っていうのもまとめるのはね、うちのビジネスサイドです。

基礎開発と同時に、スケールアップした時に同じ性能が出るかどうかとか、そこももう細かく細かくやっていかなきゃいけない。また事業のパイプラインもしっかり固めていかなきゃいけないっていうのが一番苦労しますよね。

京都フュージョニアリング西村氏:不測の事態ってやっぱりありますよね。出来たモノに対してやっぱりシミュレーションやってもちゃんと実測と合わせなきゃいけないし、そういうのはやっぱりモノがあるディープテックならではかもしれないです。

スタートアップが求める人材(42:00-)

マイクロ波化学緒方氏:企業の成長と自分の成長がリンクできるっていうか、そういう人はすごく良いんじゃないかなと。あとはですね、解明できないまま進まざるをというか進む必要があることが当然起こっていて、その曖昧さも受け入れながら進められるような人、キャパが広い人というか、そういう咀嚼できる人が向いてるんじゃないかなと思いますね。

つばめBHB井上氏:変化を楽しめるフットワークの軽い人っていうのがすごいフィットするんじゃないかなと思います。

京都フュージョニアリング西村氏:自分でアクションできる人。課題解決のアプローチがが自分の専門分野とは必ずしも決まっていない、なのでそこを例えば論文読むなり何かしら調べたりとかどんどん人に聞きにいくとか、自分からアクションして情報取ってくる勉強していくっていう姿勢がある方、特に技術系、ビジネス系もそうなんですけど、っていうのがすごく大事です。

エレファンテック中島氏:小っちゃい変更はもう毎日あるんで、そうすると今までやったとかここまでやったのにっていって、シュンってなっちゃう人はまず多分向いてないと思います。方針転換の議論の時に議論はもう出し尽くすんだけど、結論が出たってなったらその方向にちゃんともう1回走りなおせる人っていう、そこの胆力がある人の方が向いてるかなっていう気はしますね。

ディープテックに興味のある方へ

今回のイベントでは日本のディープテックスタートアップを代表する4社から、現場の最前線で活躍する4名の方にご登壇いただき、ディープテックの魅力やリアルについて存分に語っていただきました。動画ではさらに記事には書ききれない内容が盛りだくさんとなっておりますので、是非本編の方もご覧いただけますと幸いです。

LabBRAINSでは今後もディープテックを始めとしたスタートアップ並びに研究者の皆様をご支援して参ります。今回のご登壇企業に興味がある、ディープテックに興味がある、連携したいなど、ご要望がございましたら是非お気軽に以下のフォームからご連絡ください。