リチウムイオン電池 見えなかった電極シートの抵抗特性を数値化

2022.11.09

リチウムイオン電池(LiB)を構成する重要なパーツである電極シート。その電気的な評価方法は貫通抵抗や体積抵抗率測定だけと思っていませんか?電極シートには合材の配合から集電体の塗工面の構造など化学的にも機械的にも多くパラメータがありながら、合理的な評価方法が見出されていません。そこで単一抵抗として扱われていた電極シートの抵抗特性を「合材層抵抗」「合材層と集電体の界面抵抗」に分離および可視化することで、材料、組成、製造条件による変化を電極シートの段階で評価できる全く新しい抵抗測定アルゴリズムを紹介いたします。LiBの研究開発、評価に携わる方、ぜひご一読ください。

LiBの市場環境

2019年にLiBを開発した吉野彰氏、ジョン・グッドイナフ氏、スタンリー・ウィッティンガム氏がノーベル化学賞を受賞したことで、市場におけるLiBの認知度が上昇しました。LiBは二次電池のなかでも性能が優れ、情報端末のモバイル化のニーズの高まりとともにスマートフォンやノートPCの普及に貢献しました。そして電気自動車やハイブリッド車では中型や大型のLiBが必要となり、市場はますます巨大になってきています。LiBはさらなる高性能化や品質の安定が求められ、研究や開発が進められています。

LiBの製造工程における電気計測のポジション

LiBに要求される電池特性を実現するためには、各製造工程において計測と検査を行ない、品質を保証する必要があります。

 

製造工程における検査や評価内容は以下のとおりです。

  • ・電極スラリーの品質検査、研究・開発におけるスクリーニング、プロセス検討
  • ・電極シートの品質検査、研究・開発における評価、検証
  • ・セル組立時の検査
  • ・セルの性能評価
  • ・モジュールの性能評価

 

このうちLiB製造工程の上流に位置する、正極・負極の電極シートの品質検査、研究・開発における評価、検証に着目しました。本記事で紹介する電極抵抗測定システムは、従来の手段では把握できない、電極シート合材部と集電箔との接触面(界面)抵抗の「見える化」を実現します。

電極抵抗測定システム RM2610の評価方法

HIOKIは、電極シートの抵抗特性を評価する新たな手法として、電極抵抗測定システム RM2610を提案しました。

電極に、微細な多点プローブを接触させ実測した表面電位と、独自の演算モデルから計算される表面の計算電位を、フィッティングさせる手法で、合材層の体積抵抗率と、集電体と合材層の接触面抵抗(界面抵抗)とを分離して求めます。電極シートの状態で、「合材層の体積抵抗率」と「界面抵抗」を指標としての評価が可能となります。

古くから実施されている二次電池電極材の評価手法として、4探針法による測定と貫通抵抗測定があります。4探針法は、電極の片面から 4本の探針を押し当て、4端子抵抗測定を行なう方式。貫通抵抗測定は、広さのある平板金属で電極を挟み、2端子抵抗測定を行なう方式です。

どちらの方式も定性的な品質指標として広く用いられていますが、合材層抵抗と界面抵抗の分離はできません。

従来は計測が困難であった合材層抵抗率と界面抵抗という新機軸。この値の数値化によるLiBの品質向上、評価期間の短縮が期待されます。

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