液体の分散処理をしている方へ。 より短時間で分散を!分散処理を行う際の最適条件とは?

2022.09.15

本記事は、粘度計のプロ・英弘精機株式会社監修の、スリーワンモーター・攪拌機・分散機・ディゾルバー・ビーズミル・ホモジナイザーなどをお使いの方、これから導入を検討される方向けの記事です。サンプルの粘度や量、到達粒形に合わせた装置を選択することは非常に重要です。
意外と知らない、最も短時間で処理を終えることができる最適条件や、それを実現するための装置選びについてご紹介いたします。

分散機の種類とは?

分散・攪拌を行うための装置には様々な種類があります。
サンプルの到達粒径・粘度・処理量などに合わせて、適切な装置を選択することが重要です。
装置例:縦型分散機(ディゾルバー)・撹拌機・横型ビーズミル・ホモジナイザー・ロールミル・スリーワンモーター …etc.

それぞれの装置に特徴がありますが、多くのメーカーは1-2種類しか取り扱っておらず、全ての方式を比較するためには選択する側の知識が必要となってきます。

本記事監修をしている英弘精機株式会社では、縦型ディゾルバー・横型ビーズミル・ホモジナイザーの取り扱いがありますので、それらの適切な使用法とメリットをお伝えいたします。

最適な分散条件とは?

最も汎用的に使用できる装置が「縦型ディゾルバー」です。

ディゾルバーディスク

この方式ではディゾルバーディスクをサンプル液中に浸漬させ、高速で回転させることで、液中の粉体や粒子を細かくしていきます。液体であれば粘度を問わず使用することができ、ディスクサイズを変えるだけで少量から多量のサンプルに対応することができ、非常に便利な手法です。

ディゾルバーを使用する際、最も重要になるのがドーナツ現象(Doughnut effect)です。

ドーナツ現象

 

サンプルの量、入れる容器、使用するディスクサイズ、回転数(ディスクの周速)などを最適条件のもとで設定することで、インクなどのサンプルがドーナツ型に見えるように対流します。この時、最も効率よく粒子が分散されております

ドーナツ現象を起こせば、1回の分散処理は15~30分で完了します。そして、初期粒径にもよりますが10 μm程度まで液中の粒子を細かくすることができます。

ビーズミルは0.3 mmなどの小さいビーズを使用することによってサンプルをナノオーダーまで小さく分散させることが可能ですが、サンプル投入時の粒径が大きすぎると、10時間など処理に長時間を要したり、そもそも分散が進まないといった可能性があります。

事前にディゾルバーを用いてプレ分散を行うことで、ビーズミル使用時も分散時間を短くすることが可能です。

最適条件のための選択

ディゾルバーディスク・ドーナツ現象による分散時、最適条件を設定するための一例を示します。
以下の画像は、Doughnut effectが起きているサンプル容器内の模式図です。
D = 容器径
d = ディゾルバーディスクのサイズ
a = ディスクの容器底部からの距離(浸漬深さ)
f = サンプル液面までの高さ(≒サンプル量)
としたとき、容器径Dに対して下図のような比率で分散処理を行うとよいと言われています。

最適条件

またこの時のディスク周速ですが、18~25 m/s程度が最適といわれています。

例えば小さな容器を用いて100 mL程度のサンプルの場合、30 mmのディスクを使用します。この時、18~25 m/sの周速を実現しようとすると、11,500 ‒ 16,000 rpmという回転数が必要となります。

この回転数は、一般的な撹拌機などでは実現不可能な領域のため、専用の分散機が必要となります。

※なお、実際の分散時はサンプルの粘度や弾性が非常に大きな影響を及ぼしますが、こちらの例は弾性を持たない完全な液体を前提としており、粘度としては3,000~5,000 mPa・s程度を想定したものとなります。

目的に合わせた多様な選択肢

前述の通り、ディゾルバーでは最小10 μm程度までしか粒子を細かくすることができません(サンプルによります)。
例えばインクの発色を良くしたり、ディスプレイ上に均一なコーティングをするような場合、これでは粒径が大きすぎます。
その時にはビーズミルなど、より粒径を小さくできる装置を使用する必要があります。

弊社取り扱いの装置では、縦型ディゾルバーに取り付けることができる2種類の専用ビーズミルオプションと、コンパクトな横型ビーズミルの取り扱いがございます。

【APS縦型ビーズミル】
縦型ディゾルバーに取り付けて使用できるビーズミルアタッチメントです。
専用の容器にサンプルとビーズを入れ、インペラーを回転させることで分散を行う一般的な方式です。
最大の特徴としては、非常に少量(サンプル量10 mL程度)から使用することができるサイズラインナップを揃えています。
例えばレアメタルなど、高価なサンプルに対して少量で試作を行いたい場合などに最適です。

APSビーズミル

 

【TML縦型バスケットミル】
縦型ディゾルバーに取り付けて使用できるバスケットミルアタッチメントです。
バスケットミルは、日本ではあまり一般的ではないのですが、海外ではラボから生産用まで幅広く採用されているビーズミルの一方式です。
オプションに取り付けられた”バスケット”内にビーズを入れておき、それをサンプル内に浸漬させます。シャフトの回転によりサンプルが対流し、バスケット内に循環するような形で分散が行われます。
特徴としては、ビーズミルの中では作業性・洗浄性が非常に優れている点と、1つのオプションである程度幅のあるサンプル量に対応できることが挙げられます。
例:TML1では500 mL~3 Lまでのサンプル量に対応

TMLバスケットミル

 

【横型ビーズミル】
横型ビーズミルは、日本でラボから生産用途まで最もよく使用されている方式です。
流路を調整することで、循環式・パス式を切り替えて分散を行うことができるため、スケールアップ等が比較的容易です。
一方、サンプルを処理するための分散室が地面と水平についておりますので、洗浄の際に多くのパーツを分解する必要があり、作業性という面ではこれら3つの方式の中で最も大変です。
一方、分散室が密閉状態になっているため、縦型に比べ効率よく分散が進むと言われています。

横型ビーズミル

その他、特徴的なオプション

これらの装置は、ドイツ VMA-Getzmann社が製造を行っております。

ヨーロッパの安全基準に沿って設計されておりますので、安全装置・防爆対応といった機種も標準でラインナップされています。

VMA-Getzmann社ラインナップ

ラボで有機溶剤を使用されており、非防爆の装置では心配な企業様、高速回転する装置による作業者の安全性などを気にされている企業様にも安心の装置です。

【ATEX防爆対応機】
分散モーター・(電動昇降機の場合)昇降モーター・コントローラー全てが防爆対応のモデルをラインナップしております。
小型(100 mLクラス)~中型(100 Lクラス)までの縦型ディゾルバーや、横型ビーズミルにおいて防爆使用のモデルを揃えております。

有機溶剤などを使用する部屋での分散を行う際も安心です。

【装置に搭載される安全装置】
ヨーロッパでは、500W以上のモーターサイズの装置に対し、安全装置の搭載が必須となっております。そのため、ほとんどのVMA社製装置には以下の安全装置が搭載されています。

・モーター底打ち防止、容器外での回転を行わないためのモーター高さ制限機構
・容器がしっかりと固定されていない状態での動作を防ぐ、センタークランピングシステム
・高速回転するシャフトへの接触を防ぐシャフトプロテクションパイプ

作業者の安全を確保して使用できる分散機となっております。

 

まとめ

今回は、意外と知らない最も効率的なディゾルバーによる分散処理を中心にご紹介いたしました。
作業効率をよくするためには、それぞれの工程や目的に合った装置を選択することが必要です。
また、英弘精機の取り扱いメーカーでは防爆・安全装置など特徴的なラインナップもございますため、本記事が機種選定の参考になれば幸いです。

 

VMA-Getzmann ディゾルバーほか

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