チラー(冷却水循環装置)とは?原理、種類についてわかりやすく解説

2022.06.14

チラーって名前は聞いたことあるけど…一体何なの?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方のためにチラーとは何か、どんな風に使うのか、分かりやすく説明いたします。

チラー(冷却水循環装置)とは

チラーは、循環水や循環液(低温熱媒体)を循環させて目的の試料や装置(装置の一部)を冷却または加熱、温度制御する装置の総称です。冷蔵庫などとは違い、「連続的に」循環水・循環液を冷却(加熱)して装置に供給し、熱を奪い(与え)続けることができます。
主に冷却することを目的とすることが多いことから【Chiller(chill=冷やす)】と呼ばれています。水道水をそのまま循環水として装置に流し冷やすこともありますが、主に冷凍機やヒータを用いて循環水・循環液を温度調節します。この項目では主に冷却目的で使用するチラーについて説明していきます。

チラーの冷却原理

 

チラーの種類

前述の通り、チラーは循環水、循環液を繰り返し循環させることにより目的の試料または装置から熱を奪い冷却します。そうすると、奪った熱はチラー自身が排熱を行なう必要があります。
チラーの冷凍機には、2種類の排熱方法があります。
・空冷式冷凍機
チラー内部にファンモーターを内蔵しているタイプです。ファンモーターによって外部から空気を取り込み、排熱を行います。ファンモーターを内蔵していることで外部接続が必要ない場合が多く、設置が簡単です。室内に排熱が発生するので、狭い場所では排気設備が必要になることがあります。


・水冷式冷凍機
排熱用に冷却水を使うタイプです。冷却効率に優れており室内に排熱を発生させませんが、冷凍機用冷却水の接続が必要となり、外部接続が必要になる場合があります。
また、液の循環方式に関しても2種類の方式があります。チラーで冷却された循環水をどこに流すかによって、チラー内部の構造が変わってきます。


・密閉系循環方式
循環用ポンプが送液のみであり、密閉式の回路のみ使用可能なタイプです。一般的には冷却パイプなどを使い、間接的に冷却するタイプを表します。

密閉系循環方式


・開放系循環方式
循環用ポンプは送液用と、吸水用の2個を持っているタイプです。これにより冷却したい水槽等へ冷やした液を入れながら、同じ量の温かい液を吸引してくることができます。直接冷却するタイプです。

開放系循環方式

 

チラーの導入メリット

研究機器、その他産業機器・計測機器の装置には温度を一定に保つ必要があるものもあります。このような機器は非常に温度管理が製品管理上重要となってきます。簡単なのは水道水や冷却塔(クーリングタワー)の水を使う場合です。ただし、水道水は季節によって水温が高かったり低かったりと安定しません。そのため夏と冬で機器の性能が変わってしまう可能性があります。そのため、温度を一定に保つことが出来るチラーを導入することで一年を通じて同じ温度条件で機器を使用することが可能となります。

またチラーのメリットはランニングコストの節約にもあります。
チラーは基本的にタンク内の冷却水(液)を循環させるため、排水を出さない構造になっています。
水道水を出しっぱなしにして冷却を行う際の水道料金と、チラーを使用する場合の電気料金を比較すると、月で1/10程度になるケースも有ります。このためチラーの導入コストはかかりますが、長期的に見るとチラーを導入した方が経費の節約になるケースが多いです。

チラーの選定方法(冷却能力)と冷えないときの対処法

チラーを選定するに当たって需要になってくるのがチラーの性能、冷却能力です。冷却能力とはチラーが被冷却物(冷やしたい物)をどの程度冷やすことができるかという目安になる重要な数値です。通常W(ワット)やkcal/h(1kW=860kcal/h)で表します。この数値は熱媒体、容量など、各種の条件により算出されます。しかし、被冷却物の自己発熱がある場合や室温との差が大きく吸熱の程度が大きい場合など、他にも各種要素があり厳密には把握しにくい面もあります。
概略的な計算方法もありますが、通常各チラーには冷却能力曲線が公開されており、それをチェックして求めた熱量に合う、冷却能力を持つチラーを選定することが重要です。
またお客様から、特に夏場は「チラーが冷えない!〇〇がダメになってしまう!」といったお問合せをいただくことも多く、「とりあえずしのげるように在庫があるものを今すぐ欲しい!」という具合に切羽詰まった状況でのお話を伺うこともあります。室温による影響など、各条件によって保冷が不十分になる場合があるので、能力に余裕を持った機器を選定することをお勧めします。
冷却能力は十分なはずなのに冷えない時には、次に挙げるような原因が考えられます。
①お手入れ不足
「冷えない!」と修理のご依頼で返ってくるチラーの中には、エアフィルターに雲のようにホコリがたまっている状態のものが多いそうです。この場合、掃除機等で時々吸い取っていただくと長持ちします。
②たくさんの機器を繋いでいる
エバポレーターの冷却は一台ずつチラーを使う場合が多いですが、多数の蒸留塔(冷却器)を数珠つなぎに断熱ホースで渡していくような繋ぎ方をする場合も考えられます。この場合、必要な冷却能力の計算が複雑になってしまい、結果必要なスペックを満たしていなかったために、冷えない・ポンプのパワーが足りないなどということも起こりえます。
③冷却水の劣化
水槽内の冷却水は時々交換する必要があります。実験室内の空気は多かれ少なかれ化学物質を含んでおり、長期間使用することで冷却水はそれらを徐々に含んでいきます。また、水分は蒸発しますのでだんだん濃度が濃くなっていくようです。ドロドロになる前に交換を!

まとめ

チラーについて説明してきました。チラーはロータリーエバポレーターやレーザー機器の冷却など様々な機器の冷却に幅広く使用されています。温度を一定に保つ方法を探している方、水道料金等のランニングコストにお困りの方は一度チラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

以下リンクより、アズワン株式会社が運営するECサイト「AXEL」にて
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記事とあわせて選定の参考にしていただければ幸いです。


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