デシケーターとは?特長や種類など徹底解説!

2022.06.09

デシケーターは乾燥保管の必需品です。様々な除湿方式、特長をご紹介します。

「デシケーター」とは 

デシケーターは、乾燥した低湿度の状態で湿気を嫌うものを保管する「防湿保管庫」です。湿気を嫌うものは様々ですが、一例として粉末試薬・電子部品・レンズ・精密機械などが挙げられます。

このような湿気を嫌うものを、吸湿剤と一緒に保管したり、周囲の湿気を電気で分解したり、湿気を空気ごと吸い取ったりする等の方法で低湿度状態を維持して保管することで、変質・変色・錆び・カビ等を防ぎます。

ちなみに、湿気たポテチを冷蔵庫に入れるとパリパリに戻りますが冷蔵庫の低温下では「空気が水分を保持できず」庫内がどんどん乾燥していきます。「電子部品も冷蔵庫に入れれば乾燥保管できるのでは?」と考えがちですが冷蔵庫から出したとたんに結露してしまいます。「製造ラインが動いてるときは部屋中乾燥状態だけど、お盆休みの期間だけ仕掛かり途中の部品を保管するのでデシケーターが欲しい。」というお客さんもいらっしゃいました。

このように、デシケーターは「常温で乾燥した状態」をつくるための保管庫なのです。

除湿方式・特長

スタンダードタイプの除湿原理
シリカゲル等の乾燥剤、除湿剤により庫内の水蒸気を吸着し、低湿度を維持します。最もシンプルで使いやすく安価ですが、水蒸気を吸着した乾燥剤の交換もしくは加熱再生といったメンテナンスが必要になります。

 

オートドライタイプの除湿原理

庫内の水蒸気を電気分解し除去する固体高分子膜方式、水蒸気を吸着した乾燥剤の再生を自動的に行うタイプなどがあります。メンテナンス性に優れたものが多く、比較的安価な製品が多いです。

 

 

冷却除湿タイプの除湿原理

除湿能力の高い冷却除湿方式を採用しているため、除湿スピードに優れています。庫内の水蒸気は自動的に庫外に排出されるため、メンテナンス性に優れています。

 

 

ガス置換タイプの除湿原理

乾燥窒素やヘリウムガス等の不活性ガスで庫内の空気を置き換え、低湿度環境を作ります。水蒸気と同時に酸素も庫外に追い出しますので、酸素を嫌う(酸化しやすい)ものを保管することに適しています。使用するには不活性ガスを庫内に送り込むための設備が必要となります。

 

 

減圧(真空)タイプの除湿原理

真空ポンプで庫内を減圧(真空)状態にし、空気と一緒に水蒸気を庫外へ追い出します。水蒸気と同時に酸素も庫外に追い出しますので、ガス置換タイプと同様に酸化しやすいものの保管に適しています。また、真空乾燥や脱気・脱泡用など各種実験にも使用される場合があります。使用するためにはデシケーターとは別に真空ポンプが必要ですが、デシケーターとポンプが一体型になっている製品もあります。

 

使用時に気を付けたいこと その①

デシケーターは「防湿保管庫」であって「乾燥器」ではありません。つまり、湿気から守る能力には優れていますが、湿ったものを乾かすことはあまり得意ではありません。

庫内に保管するサンプルに濡れていたりして水分が多く含まれる場合、デシケーターの水蒸気を除去する能力が追い付かず、庫内を低湿度に保つことが困難な場合があります。

サンプルからはできるだけ水分をとって庫内に入れることをお奨めします。「湿度が下がらない!」とおっしゃるお客様は電子部品をダンボール箱に保管されていました。ダンボールなど紙類は大量の湿気を含んでいるため注意が必要です。

また、一度扉を開放すると(外の空気を取り入れてしまうと)元の湿度に戻るまで相当な時間を要します。冷蔵庫のような強力なパワーはないので、扉の開閉は最小限にすることをお勧めします。

使用時に気を付けたいこと その②

有機溶媒等の有機ガスや酸性・塩基性ガスを発生するサンプルはデシケーターの材質にご注意ください。

デシケーターのボディによく使用されているアクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)は、耐薬品性が高い樹脂ではありません。そのため、サンプルから発生したガスによって劣化し、最終的にはデシケーターの除湿能力の低下に繋がります。

保管するサンプルに合わせた材質のデシケーターをご使用ください。

まとめ

1ドル360円時代、日本で作ったラジオがアメリカに船で輸出される際に、東南アジアの高温多湿にさらされて電気部品が全部だめになったと聞いたことがあります。

多湿な日本の環境にも耐えられる電子部品をつくるようになったことが日本製品の信頼性を高めた一因でもあるそうです。湿気による影響は大きく、きちんと管理することが大切です。

今回紹介したように、一口にデシケーターといってもいろんなタイプがありそれぞれに特長があります。目的にあった製品を選定して大切なサンプルを正しく保管しましょう。

以下リンクより、アズワン株式会社が運営するECサイト「AXEL」にて
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記事とあわせて選定の参考にしていただければ幸いです。

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