#20 お手持ちの物質・材料を活用して農業分野で新規事業を立ち上げてみませんか?

2022.04.01

農業分野参入というとハードルが高く、何から始めていいか分からないですよね。また、スマート農業に代表されるロボット技術やICT、AI、IoTなどの技術がないと参入は難しいのでは?という印象もあるのではないでしょうか。横浜バイオテクノロジー株式会社では、お手持ちの物質・材料などから「植物活性化剤」を探索・評価するサービスを提供しています。農業利用可能な「植物活性化剤」を見出すことで、農業分野参入、新規事業立ち上げのきっかけになればと考えています。これまで農業には利用してこなかった物質・材料をお持ちの方、新しい活用法を見出し、持続可能な農業の実現に貢献してみませんか。

横浜バイオテクノロジー株式会社は、横浜国立大学発ベンチャーです。(http://ybt.co.jp/)

植物のいわば免疫力を引き出す植物活性化剤

では、「植物活性化剤」とはどのようなものなのでしょうか?皆さんの中にも、免疫力向上のために特保のヨーグルトなど保健機能食品を摂取される方も多いと思いますが、「植物活性化剤」も、この保健機能食品に近いイメージです。抗生物質のように病気の原因となる病原菌等を死滅させるわけではありませんが、植物が本来持っているいわば免疫力(ストレス耐性)を引き出すことで、病気から身を守ります。

また、植物は動物と違って動くことができないので、根を下ろした土地の環境に大きな影響を受けます。そのため、病害虫だけではなく、雑草などの生物的なストレスに加え、乾燥、低温、高温といった非生物的なストレス(環境ストレス)からも身を守る必要があります。

横浜バイオテクノロジーでは、こうした様々なストレスに対して、植物が本来持っているストレス耐性を引き出す物質・材料を「植物活性化剤」と呼んでいます。学術的には「抵抗性誘導剤」、「Plant defence activators」と呼ばれ、近年では、欧米で非常に注目を集めている「バイオスティミュラント」とも広い意味で同義であると考えています。

植物活性化剤のイメージ

植物活性化剤のメリット、農薬との違い

植物活性化剤の一番のポイントは、環境負荷が低い点です。農薬は、高い安全性試験をクリアしており、他の生物に大きな影響を与えることはありませんが、病害虫と類似の生体機構を持つ生物に影響がないとは言い切れません。一方、植物活性化剤の場合には、植物活性化剤そのものを生物に暴露しても影響はありません。植物に取り込まれて初めて効果を発揮します。

植物に植物活性化剤が取り込まれると、植物は病害虫忌避物質のようなものを生産したり、病害虫の侵入を防止するため細胞壁を厚くしたりと多様な免疫を発動して身を守ります。植物活性化剤を取り込んだ植物の汁を吸ったり、葉を食べたりしない限り、生物が影響を受けることはないのです。

また、植物活性化剤は、上述のように農薬とは異なり、病害虫に対する作用点が一つではありません。そのため薬剤耐性病害虫の出現頻度が抑えられるというメリットがあります。薬剤耐性病害虫の発生は、単に農薬が効かなくなるというだけでなく、農薬が効かないことによる過剰施用を引き起こしますし、残留農薬の問題にも繋がります。この点からも、植物活性化剤が農薬に比較して環境負荷が低いと言えます。

ただし、植物活性化剤は、農薬のように完全に病害虫を駆除することはできません。ほどほどに病害虫を抑えて、ほどほどの収穫量を得ることを目的にしています。植物活性化剤だけでは農業を成り立たせることはできませんが、既存の農薬やスマート農業など多様な技術と組み合わせることで、環境と調和した持続可能な農業が実現できるのではないでしょうか。

非生物的ストレスに対しての植物活性化剤

殺菌剤、殺虫剤、除草剤などの農薬は、主に生物的ストレスの抑制に効果を発揮しています。一方で、非生物的ストレスに対しても効果を発揮する薬剤はほとんど商業化されておらず、開発に期待が高まっています。特に非生物的ストレスに対してストレス耐性を誘導するものが「バイオスティミュラント」と呼ばれています。

横浜バイオテクノロジーでは、このバイオスティミュラントを植物活性化剤の一つとし、探索・評価サービスの提供を行っています。バイオスティミュラントの世界市場規模は、2026年に50億ドルを超え、市場の平均年成長率は10%以上で推移するとが予測されています。
(出典: Research and Markets「Global Biostimulants Market by Active Ingredients (Humic Substances, Seaweed Extracts, Microbial Amendments, Amino Acids), Mode of Application (Folier, Soil Treatment, Seed Treatment), Form (Liquid, and Dry), Crop Type, & by Region - Forecast to 2026」)

植物活性化剤を探索・評価する方法

植物活性化剤は、上述のように多くのメリットを持つ一方で、探索・評価の技術難度が高く、世界的に見てもほとんど実用化されていません。そこで横浜国立大学平塚研究室では、植物活性化剤の探索・評価技術を確立してきました。植物がストレス耐性を発揮する際には、植物ホルモンという物質が合成・蓄積され、ストレス耐性に必要な蛋白質が合成されます。

例えば病害ストレス耐性の場合には、カビなどに抗菌活性を示す抗菌蛋白質などがあります。探索・評価技術では、このようなストレス耐性特異的な蛋白質が合成されると「光る植物」を遺伝子工学的な手法を用いて作出しました。この光る植物は、ホタルの発光原理を応用しており、植物活性化剤をかけてストレス耐性が誘導されるとその強さに応じて発光し、定量的にストレス耐性を評価することができます。

ホタルの発光原理を利用した植物活性化剤の探索・評価系


また、非破壊的な連続観察が可能で、いつどれくらいのストレス耐性が発揮されているかをリアルタイムで可視化することができます。RNAや蛋白質を抽出・精製するなど煩雑な操作は必要なく、候補物質をこの光る植物に振りかけるだけで、植物活性化剤であるかどうかを迅速かつ簡便に判断することができます。横浜国立大学平塚研究室とアサヒビール株式会社との共同研究においては、この探索・評価技術を用いてビール残渣である酵母細胞壁を評価し、成果が論文として公表されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/plantbiotechnology/28/5/28_11.1020a/_article

上:発光の様子(動画)
下:画像から発光量を数値化し,ストレス耐性誘導のタイミングや強度を定量的に評価

弊社サービスと受託実績

植物活性化剤は物質・材料がメインではありますが、人間が朝強い光を浴びて体内時計を整えたり、体調管理のためにお風呂やサウナで体を温めるように、植物にとっても環境条件は非常に重要で、特殊な波長の光や温度、振動なども植物のストレス耐性に影響すると言われています。物質・材料をお持ちのメーカー様だけでなく、こうした特殊な環境を作り出す技術をお持ちのメーカー様ともコラボレーションできれば、スマート農業にも繋がる社会的価値のある事業に発展できると考えております。

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2016年3月から本格的にサービスを開始し、多くのお客様にリピートいただいております。新規事業の立ち上げ、農業分野参入の足がかりとして弊社サービスをご活用いただいております。

受託実績 (五十音順・敬称略):株式会社アミノアップ、出光興産株式会社、ヴェ・マン・フィス香料株式会社、王子ホールディングス株式会社、協和発酵バイオ株式会社、クミアイ化学工業株式会社、日本曹達株式会社、パナック株式会社、丸和バイオケミカル株式会社、三井化学アグロ株式会社、焼津水産化学工業株式会社、横浜植木株式会社など

まとめ

農業関連企業様だけでなく、お手持ちの物質の活用方法をお探しの方、農業・植物バイオ分野参入にご興味をお持ちの方も是非ご相談ください。植物活性化剤の開発を通して持続発展的な農業、バイオインダストリーに貢献していきます。