東京都立大学 准教授 成川礼先生【後編】~浜松ホトニクス 波長可変光源~

2022.04.27

「研究業界の情報発信の手助けをしたい」という共通の想いで意気投合したLab BRAINS(アズワン株式会社)若林とtayo magazine(株式会社tayo)熊谷。

折角なのでお互いの強みを活かし、実験装置などの「モノ」にフォーカスして研究室の紹介をするような企画をやろう!ということで、「モノ」から見る研究室という連載シリーズが始まりました。

第二回も、前回に引き続き東京都立大学の成川礼先生です。成川先生の溢れる実験機器への愛をお楽しみください!

浜松ホトニクス 波長可変光源

    • 熊谷:
    • この3枚の写真は、光源ですか?

    浜松ホトニクス 波長可変光源

      • 成川先生:
      • これは浜松ホトニクスが出している光源ですが、残念なことに販売停止になってしまったようです。ただ、これも僕はすっごいお気に入りで、これがないとうちの研究は成り立たないくらいです。

        波長可変光源といって、自分の指定した光の波長を出せるんですね。写真は青と赤と緑を出してるんですけど、1nm刻みで波長を指定することができて、さらに光の強度も調整できるんです。最初は正式に販売される前に、浜松ホトニクスが学会で展示しているのを見て、気に入ったのでデモに一回来てもらいました。

        デモに来てもらった時には、まだ「特定波長の光を当てます」っていう機械だったんですけど、技術営業の方に「これにプログラム組めるといいな」って言ったんです。650nmの光を一分間当てた後に550nmの光を一分間、さらにその後450nmの光を1分当てます、みたいな。そういうプラグラムを組めるようになるともっと素敵だなあって言って、その時は返却したんですが、後日購入した時にはそのプログラムが付いていたんです。

     

    • 熊谷:
    • 製品開発にまで貢献している!笑

     

    • 成川先生:
    • もちろん僕が言っただけじゃなくて他のニーズもあったのかもしれないんですけど、実際すごい便利で。うちの研究室では、光を当てながら分光器で測定することが多いんですが、プログラムを組むと、光の波長は変えずに光の強度を段階的に変えて、分子の光の応答性を自動で計測できるんです。簡単に精緻な実験ができるようになったので、それ以降ずっと愛用しています。

     

    • 熊谷:
    • 他のメーカーのものはないんですか?

     

    • 成川先生:
    • あるんですけど高いんですよ。。これも確か200万くらいで買ったんですが、他のところで売ってるのは500万くらいだと思います。このサイズで、430~790nmの光までを可変で出せて、この価格帯のものは他にないと思います。ただ、これも使うニーズは結構狭くて、僕らみたいに光センサーの研究している人ってあんまりいないので、そんなに売れなかったのかな、と思っています。

     

    • 熊谷:
    • 生命系の研究室だと「すごくいい機械買ったのに誰も使っていない」というのも結構見ますが、成川先生は使い倒していて素晴らしいですよね。

     

    • 成川先生:
    • 使われていない実験機器を見ると、僕としてはすごく残念です。そもそも高価ですし、税金から予算が出ている部分もあるので。なので、自分で実験機器を購入するときは使い道や応用範囲など、なるべく把握した上で買うようにしています。

 

成川先生の推しアイテムその3:浜松ホトニクス 波長可変光源 まとめ

・プログラムを組んで光の波長・強度を自在に操作可能

・残念なことに生産中止に

・実験機器はよく考えて買おう

 

NK systems 小型分光器

    • 熊谷:
    • 次のNK systemsの小型分光器は僕も恐らく使ったことがあります。これ、面白いですよね。

    NK systems 小型分光器

  •  

    • 成川先生:
    • 今、手元に持ってきてるのでお見せします!これは研究にももちろん使えるんですが、アウトリーチのデモ実験でも活躍します。ざっくり言うと、現場での光の波長がわかる装置です。例えば、蛍光灯ってどんな光か知ってますか?

     

    • 若林:
    • 「どんな光」・・・?知らないです!

     

      • 成川先生:
      • 試しに蛍光灯に向けて測定すると…こんな風に、ギザギザした光が来てるのがわかります。

     

    蛍光灯のスペクトル

     

    • 成川先生:
    • これが太陽光だと可視光の全体がブロードにきてるんですけど、蛍光灯って結構波長がツンツンしてるんですよ。本来自然で感じてる光とは全然違う光がきている。

      また、PCのモニターに向けるとPCは3色の光源で色を出してるのがよくわかります。こんな風に、どんな光が来てるのかっていうのが直感的にわかるんですよ。

    PC光源のスペクトル

     

      • 成川先生:
      • 最初に写真でお見せしてるやつは葉っぱを乗っけています。葉っぱを載せると、葉っぱがクロロフィルで赤と青の光を吸収するのでそれ以外の、緑と赤より長波長の遠赤色光とか赤外の光が検出されます。これを見せると葉っぱがクロロフィルで赤と青を吸うから残りの光が透過していることが、小学生相手にでも説明できる。アウトリーチにすごく便利です。当然研究にも使えて、光の量も正確に感知することができるので、光合成生物を培養するときに光の強度を揃えるために使ったりしています。

         

        • 熊谷:
        • 僕も学部生時代に実習で使った記憶があります!

     

        • 成川先生:
        • まさにこの前も学生さんと一緒に屋外で太陽光を測って、その後に緑の葉っぱを乗せて測りました。

     

    成川先生の推しアイテムその4:NK systems 小型分光器まとめ

    ・光の波長を直感的にわかりやすく可視化

    ・アウトリーチに便利

    ・ZOOM越しでもデモができる

    大腸菌の破砕機器

      • 熊谷:
      • それでは最後にこれ。大腸菌の破砕機ですね。

     

      • 成川先生:
      • これも思い入れがありますね。もともとはドイツで二ヶ月くらい短期で実験しに行った時に、留学先のラボで使ってた機器で、気に入ったので帰ってから買ったんです。

        大腸菌を壊すときに一般的には超音波破砕で壊す場合が多いんですけど、僕らの扱うタンパク質では超音波で破砕すると不安定になってしまうことがあって。それ以来フレンチプレスっていう圧力で壊すシステムの細胞の破砕機を使うようにしていたんです。

        で、フレンチプレスを売ってる会社の一番の大手が途中からフレンチプレスの販売をやめて、その後継の機器としてこれが出てるんです。これはガス圧で破砕するんですが、フレンチプレスだと、50ミリとか容量が決まっているのに対して、この機器は100ミリとか200ミリとか、サンプルの容量が上がっても全然問題なく使えるんですよ。

        大腸菌の破砕だけでなく僕らがやってるシアノバクテリアの破砕にも使えるので使い勝手もいいです。静岡大学にいた時には他の先生から依頼があって貸し出したり、都立大学でも隣の先生から要望があったり。

       

      • 若林:
      • これメーカーは何ていうとこですか?

       

      • 成川先生:
      • 売ってるのはセントラル科学貿易なんですけど、海外の品で、製造メーカーは分からないですね。セントラル科学貿易の技術営業の人もまた対応が良くて、トラブルがあった時に問い合わせると親身に教えてくれて、それもポイントが高いです!

       

      成川先生の推しアイテムその5:大腸菌の破砕機器 まとめ

      ・超音波破砕機よりもタンパク質へのダメージが少ない

      ・大量の細胞を破壊できる

      ・いい装置は周りの研究室が借りにくる

       

      【アズワン若林 追記のコーナー】

      セントラル科学貿易様に確認したところ、カナダの「AVESTIN」社というメーカーの製品のようでした。「圧力式ホモジナイザー」といった名称で取り扱われています。
      なお余談ですが、AXELではセントラル科学貿易様からの輸入品も取扱がありますので、もし同じ製品を購入される際には対応が可能です。

       

      • 熊谷:
      • 本日はありがとうございました。成川先生の機材への愛が溢れていてとても素晴らしいインタビューになったのではないかと思います!若林さん、最後に何かありますか?

       

      • 若林:
      • 機器と先生の想いの組み合わせっていうのがアズワンらしい記事ですごく面白いなあと思いました。やっぱりエピソードがどんどん出てくるので、こういう形でいろんな先生がいろんな機器を紹介していったらすごく楽しい世界が生まれそうな、貴重な第一歩になったかなと思います。とても面白いお話、ありがとうございました。

     

    成川先生の研究室

    都立大学の成川先生の研究室では外部からの大学院生を積極的に受け入れております。

    この記事で成川先生の研究に興味を持った方は、ぜひお気軽に研究室見学など問い合わせてみてはいかがでしょうか?

    ────私たちと一緒に、光合成生物の巧みな光応答戦略を解明し、応用利用研究に取り組みましょう! / 東京都立大学 理学部 生命科学科 植物環境応答研究室 光合成微生物グループ(成川グループ)────

 

  • 話者紹介

    ●東京都立大学 准教授 成川礼先生
    自身で発見した「シアノバクテリオクロム」という微生物の新しい色素を用いた基礎・応用研究を行う光生物学研究者。Twitterではキラキラ女子として活躍中。

    ●株式会社tayo 熊谷
    博士(環境学)の元深海微生物学者。今は株式会社tayoの代表として、研究者のキャリア問題の解決や産学連携の支援に取り組む。

    アズワン株式会社 若林
    「Lab BRAINS」の活動を通じ、研究者と研究者を支えるプレイヤー、双方の発信活動をサポートしたいと考えています。ラボブレTwitterも投稿中です。