#18 マッスルスーツの「効果」とは? 「身体への負荷の軽減」をどのように検証するか、さまざまな分野での実証実験を開始

2022.03.01

本日ご紹介する企業は、外骨格型(Exoskeleton)アシストスーツであるマッスルスーツ®を開発・販売するため2013年に創業した、東京理科大学発ベンチャーの株式会社イノフィスです。

マッスルスーツ®は中腰姿勢を保つ、人を抱え上げる、重い物を持ち上げるなどの作業時に腰の負担を低減するアシストスーツです。電⼒を使用せず、圧縮空気を使用した人工筋肉が最大25.5kgfの補助⼒を発揮し、重作業時の腰への負担をパワフルにサポートします。

現行モデルのマッスルスーツEveryは、メーカー希望小売価格が税込みで15万円を切る外骨格型アシストスーツの中では圧倒的な低価格化を実現し、介護・農業・製造・物流・建設・食品などの作業現場で幅広くご利用いただいています。

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マッスルスーツ Every エブリィ

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マッスルスーツ®発売開始以降のシリーズ累計出荷台数は、20214月末現在20,000台を突破し、人工筋肉を使用した外骨格型アシストスーツでは世界一の販売台数を誇ります(イノフィス調べ)。

2021年12月より、首都圏ほかで新CMもオンエアしています。

 

そんなイノフィスのマッスルスーツですが、読者の中には「実際の作業で本当に効果があるの?」「ウチの会社でも中腰作業を行う部署があるけれど、いつも腰の疲労に悩まされている彼らの助けになるのだろうか?」と、興味がありつつも導入を躊躇している管理者の方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回はこれまでに行われたマッスルスーツにまつわる実証実験の結果を、一部抜粋してお届けします。

実証実験① 筋電計と3Dモーションキャプチャを使用した身体負荷の計測

東京都が実施する「先端事業普及モデル創出事業(King Salmon Project)」の課題解決型スタートアップ企業として採択されたイノフィスは、東京都社会福祉事業団 日野療護園での実証実験を行いました。介助職員による「マッスルスーツEvery」の使用感に関するアンケートおよび筋電計と3Dモーションキャプチャを通じた身体負荷の計測結果を通じて効果検証を行いました。

マッスルスーツEveryによる補助のあり/なしで同じ介助業務において比較したとき、「痛みのある部位の有無」、「疲労度」については対象業務全般で、 「ストレス」については特に体位交換において、使用前後で有意に数値変動があり、マッスルスーツの有用性が確認されました。

詳しい実証実験内容と結果についてはこちら↓https://kingsalmon.tokyo/progress/experiment/final-report.html

実証実験② 連続する中腰姿勢での作業効率向上の確認

農林水産省スマート農業実証プロジェクト「新しい時代を切り開く直売型スマートイチゴ生産・経営モデル実証コンソーシアム」において、「イチゴ栽培で問題となる腰痛対策と作業性向上を目的としたアシストーツの活用」という項目で、アシストスーツ(マッスルスーツEvery)の実証調査に参加し、マッスルスーツ導入による時間削減効果と労働費削減効果を実証しました。

  • 試算条件①:実証農園では32a当たり5台導入しているため、10aあたりに換算すると6台が必要となり、導入費用は21.8万円(136,000×1.6台分)
  • 試算条件②:削減時間130時間/年、雇用時給1,000

この実験により、以下の実証結果が得られました。

  1. 中腰作業の頻度が多い作業においては、作業中の腰伸ばし動作の時間が減少したため、年間で130時間の時間削減効果を実証しました。
  2. マッスルスーツ導入により機械導入費は発生するが、労働費が作業時間削減分低減するため、年間10a換算で13万円の労働費低減に繋がりました。(機械導入費用は、試算上2年以内で回収が可能)

マッスルスーツの非着用時(慣行区)

慣行区での腰伸ばし動作

マッスルスーツ着用時(定植作業時)

マッスルスーツ着用時(収穫作業時)

  • マッスルスーツの新たな活用法をさぐる

①リハビリテーション活用における共同実証

新型コロナウイルス感染症の拡大により、介護施設等を運営する株式会社メグラス(愛知県名古屋市)が運営する介護施設内でも、外出禁止や面会制限、マッサージなど訪問系のサービスの停止が余儀なくされ、ご入居者の活動範囲が大幅に限られました。それによりADL(日常生活動作)低下事例が多く見られ、リハビリテーションの重要性を改めて実感させられるきっかけとなりました。

そこでイノフィスはメグラス社と連携し、マッスルスーツEveryが重いものを持ち上げるために本来発動する空気圧を、トレーニングの負荷として逆手に活用することで、理学療法士・作業療法士を介さずともリハビリテーションが実施できる環境の構築を目指し、マッスルスーツEveryを用いたリハビリテーション方法について、共同実証を行いました。

21年7月から11月にかけて、メグラス社が運営する介護施設のご入居者4名に対して、マッスルスーツEveryを用いたリハビリテーションの実証評価を行いました。リハビリテーションとしては、主にスクワットと腿上げを行いましたが、結果、4名全員に明らかな筋力アップと下股機能の向上が見られました。


詳しい実証実験内容と結果についてはこちら↓

②マッスルスーツでボディ・メイキング!

最後に、こちら実証実験はまだ行われていませんが、ちょっと毛色の変わった取り組みも進めているのでご紹介しましょう。202112月に開催された日本最大のスポーツ・フィットネス・健康産業総合展「SPORTEC® 2021」にイノフィスが出展し、マッスルスーツ®のアクチュエーターである「人工筋肉」の機能を活用し、美しいボディラインを実現するための『イノフィス フィットネス 4week トレーニング』を公開しました。

大手フィットネスクラブの教育プログラムの開発を数多く手掛けるNESTA JAPANが、イノフィスのマッスルスーツ®で使用されている人工筋肉の機能をフィットネスプログラムへ進化させ、特に脊柱起立筋と大殿筋を効率よく使う独自性の高いプログラムを開発しました。この4週間のプログラムで、理想的な筋活動を身体が運動学習します。

このプログラムについても、今後実証実験を重ねていきたいと考えています。

※NESTA …全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会の略で、アメリカ・カリフォルニアに本拠地を置くパーソナルフィットネストレーナーの資格認定団体。

イノフィスは常に「人のためのロボット」の開発を追究しています。マッスルスーツ®は外骨格型アシストスーツとして常に最上かつ最先端を志し、本来的な作業補助のアシストスーツとしての役割はもちろんのこと、イノフィスが培ってきた人工筋肉の活用技術にさらに磨きをかけ、常に前人未到の地を切り拓いていくパイオニアとして、走り続けます。