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水素爆発とは、一般的に酸素濃度が5%以上、水素濃度が4%以上混ざった気体に点火すると起こる爆発の事を言います。また、温度が500℃よりも高くなると自然に発火し、爆発が起きてしまう現象の事をいいます。
水素は宇宙でもっとも豊富に存在する元素であり、宇宙の質量の大半を占める元素です。空気よりも軽い水素は無色無臭の気体で、それ自体は吸い込んでも害がありません。ただし一定の濃度を超えると引火する、危険のある「可燃性ガス」の一種なので定められた手順を順守して正しく取り扱う必要があります。
水素の発生源:
・水の電気分解
・石油などの化石燃料
・製鉄所や化学工場などの製造プロセスの中で付随的に発生 等
水素の供給形態:
・一般容器(赤色水素ボンベ)
・水素ガス発生装置 等
一般的な水素の用途:
水素は二酸化炭素排出を伴わない「究極のクリーンエネルギー」として様々な分野でその特性を活かして産業分野にて広く利用されています。水素は石油製品や洗剤、香料、ビタミン剤、化粧品などの食品・化学分野、フロートガラス、石英ガラス、光ファイバーなどの製造といったガラス製造分野、電子部品やプラズマ溶接、磁気テープの製造といった金属分野、IC・LSI・電子部品、液晶、トランジスタといった弱電分野、分析・試験、次世代燃料、気象観測用試験といった試験・研究分野、そして燃料電池車やリニアモーターカーなどの次世代クリーンエネルギーの開発分野など、様々な分野で利用されています。
◆食品・化学分野◆ |
石油製品/洗剤/香料/ビタミン剤/有機化合物/水素添加/アンモニア合成/漂白剤殺菌 |
◆ガラス製造分野◆ |
フロートガラス/石英ガラス/光ファイバー/人造宝石 |
◆金属分野◆ |
電子部品/プラズマ溶接/磁気テープ/機械部品/金属粉末・熱処理/人工衛星部品/高圧容器 溶接 |
◆弱電分野◆ |
IC/LSI/電子部品/液晶/トランジスタ/PDP |
◆試験・研究分野◆ |
分析・試験/次世代燃料/気象観測用試験/分析機器/気球 |
◆次世代クリーンエネルギー開発分野◆ |
燃料電池/リニアモーターカー/液化水素エンジン/燃料電池車/無公害燃料/水素エンジン自動車 |
国を挙げた取り組み(経済産業省 資源エネルギー庁):
現在日本では、石油・石炭といった化石燃料にエネルギーの多くを依存しています。しかし水素エネルギーが、温室効果ガスである二酸化炭素の排出低減の可能性がある事や供給が不安定な再生エネルギーを最大限に活用可能である事など、水素を利用したエネルギー活用に期待が持たれています。これまで、政府が取り決めたエネルギー基本計画では、国内外のエネルギー情勢を踏まえ、2030年の技術確立を目指して検討を進めてきましたが、今後は2030年の社会実装に向けて検討を加速していく事とし、政府が主導するエネルギー基本計画、水素基本戦略によって様々な水素社会への取り組みが促進しています。水素・燃料電池戦略では、水素社会の実現に向けて、産学官が協力して燃料電池の社会への本格的実装段階と位置づけており、家庭用燃料電池(エネルギー供給分野)や燃料電池自動車(運用分野)の利用を広げる事を目指しています。2030年までのそれぞれの普及目標は以下の通りです。
普及目標項目 | 2020年頃 | 2025年頃 | 2030年頃 |
家庭用燃料電池 (エネファーム) |
140万台 | - | 530万台 |
燃料電池自動車(FCV) | 4万台 | 20万台 | 80万台 |
水素ステーション | 160ヶ所程度 | 320ヶ所程度 | - |
今後、益々水素のエネルギー活用が加速していく中で考えなければいけないのが、水素の危険性についてです。
水素はクリーンエネルギーとしての様々な分野での利用が広まる一方で、水素漏洩に起因する爆発事故は世界的にみると少なくなく、かなりの頻度で起こっています。その原因の多くが微小な隙間から漏れ出した水素が、換気不良によって蓄積され、静電気や電気設備などが発火点となり、爆発を引き起こす事があります。水素は可燃性ガスであり、支燃性ガスが共存する場合に特定のガス濃度の範囲で爆発します。水素の爆発濃度範囲は空気中では一般的に4.0%~75%です。空気中の水素濃度が4.0%以下、もしくは75%以上である場合には爆発はしないと言われています。
※水素ガス取り扱い及び保管上の注意事項
・分類名称:高圧ガス、圧縮ガス、可燃性ガス
・有害性 :単純窒息性
・管理濃度:なし(水素自体軽く、拡散する為)
・危険性 :爆発範囲濃度4~75%
・保管条件:換気の良い場所で保管する事。火気厳禁
水素は軽い気体で、ガス密度が小さいため、空気や酸素、窒素と比べると4倍以上の速さで空気中を拡散します。滅多に爆発する事はありませんが、空気中の爆発限界は4.0%~75%とアセチレンに次ぐ広い爆発範囲ですので、細心の注意が必要です。また無味無臭のためどんなに高濃度になったとしても漏洩を感じ取ることができません。水素を漏洩させない事こそが重要ですが、万が一漏洩した場合に備え、警報器で検知する、漏洩した水素を溜めないの3段階の対策が重要になります。
研究室や密閉空間とならざるを得ない環境下で水素を使用する場合には、検知器を使用して常に水素濃度を監視する事で、水素爆発を防ぐ有効な手段の一つになります。
ガスセンサには、接触燃焼式ガスセンサや電気化学式ガスセンサ、半導体式ガスセンサなどいくつか種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
検知原理 | 特徴 | 検知精度 | 応答速度 | 再現性 | 寿命 | H2:感度 | ガス選択性 | コスト |
接触燃焼式 ガスセンサ |
◆応答性に優れている ◆0~爆発下限値(LEL)までのガス濃度範囲で、 優れた直線性を有している ◆周囲温湿度による影響が極めて少ない ◆長期的に安定した特性を維持する事が可能 |
〇 | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
半導体式 ガスセンサ |
◆応答性に優れている ◆低濃度における出力の変化が大きく高感度 ◆小型で、被毒性ガス、過酷雰囲気条件に対する 耐久性に優れている ◆長寿命で長期安定性に優れている |
△ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | × | ◎ |
電気化学式 ガスセンサ |
◆広い検知範囲を有する ◆直線性の高い出力特性 ◆振動や衝撃に対する耐久性が高い ◆消費電力が少ない |
◎ | 〇 | 〇 | △ | 〇 | 〇 | △ |
赤外線式 ガスセンサ |
◆高精度かつ安定性の良い測定が可能 ◆再現性に優れている ◆ガスの選択性に優れている (複数の種類を測定する事ができる) |
◎ | △ | ◎ | 〇 | × | ◎ | × |
おすすめ商品(水素警報器(NDR-H2-1A))には接触燃焼式ガスセンサが搭載されています。接触燃焼式ガスセンサは、センサ内部にある検知素子の触媒反応によって上昇した素子の温度変化を電気抵抗として電気的に捉え、ガスを検知します。この電気抵抗の変化幅は、ガス濃度に比例する為、容易にガス濃度を測定する事が可能です。
接触燃焼式ガスセンサの測定・検知原理:
接触燃焼式ガスセンサの基本構造は、2本ずつの電極ピン間に白金線コイルを溶接し、白金線中央のコイル部分に検知用、補償用の各素子を形成します。実際の測定には、ホイートストンブリッジと呼ばれる抵抗測定回路を用います。まず清浄大気中でA-B間電圧をVR1(可変抵抗)により任意の電圧値にセットします。検知対象ガスが検知素子に触れると、素子表面で触媒燃焼反応が起こり、検知素子の抵抗値が変化します。このことによって、A-B間の平衡が崩れ、A-B間に有意な電位差が生じます。前述の通り、検知素子の電気抵抗値は検知対象ガス濃度に比例するため、この電位差の大きさでガス濃度を測定する事が出来ます。