東京都立大学 准教授 成川礼先生【前編】~逆さにしても落ちないチューブラック~

2022.03.18

 

「研究業界の情報発信の手助けをしたい」という共通の想いで意気投合したLab BRAINS(アズワン株式会社)若林(上)・林(左下)とtayo magazine(株式会社tayo)熊谷(右下)。

せっかくなのでお互いの強みを活かし、実験装置などの「モノ」にフォーカスして研究室の紹介をするような企画をやろう!ということで、「モノ」から見る研究室という連載シリーズが始まりました。

第一回のお相手は東京都立大学の成川礼先生

インタビューを通して企画の趣旨が定まっていく、手探り感をお楽しみください!

「逆さにしても落ちないチューブラック」

      • 熊谷:
      • この企画は「モノ」から見る研究室がテーマです。最近博士のキャリアパスに関する発信は増えてきていて、「ヒト」と「カネ」の話はよく出るんですが、「モノ」にフォーカスした話はあんまりないなと。
      • 折角アズワンさんと組むので、「モノ」に着目したお話をお聞きして、その中で研究の面白さみたいなところがふわっと出てくる記事にしたいな、と思ってます。
      • それが実際に研究室の広報だったり、学生集めに繋がれば嬉しいです!
      • 今回ご紹介いただくのは「逆さにしても落ちないチューブラック」とのことですが、こういうのって、最初どこで見つけるんですか?笑

       

      ※成川先生は5年前からTwitterでこの商品をPRされており、インタビューの2週間前にも動画を上げている

  •  

     

    • 成川先生:
    • これは、実は元ラボ(東京大学 池内昌彦 研究室)にずっとあったものなんです。
    • いわゆる普通のラックを使うと、転倒混和を十回とかやる時に、二つのラックで挟んでチューブが落ちないようにしてひっくり返す必要があります。でも、「逆さにしても落ちないチューブラック」を使うと単体で転倒混和ができるので非常に重宝していました。
    • 8年前くらいに東大の駒場から静岡に移籍するタイミングで、「まずはこのチューブラックを買わなければ」と思って、複数購入しました。うちの研究室から外の大学院に行く学生さんが、卒業した後に移動したラボで「このラックを購入した」という話も聞いてます。

     

    • 熊谷:
    • 成川研発祥でチューブラックの輪が広がっているんですね。

「逆さにしても落ちないチューブラック」の歴史

    • 熊谷:
    • 池内研に元々はあったんですよね?だいぶ昔に買った可能性があるんでしょうか。

     

    • 成川先生:
    • そうなんですよ。僕がM2の途中、2002年ぐらいに池内研に入ったので、商品自体はもっと前からあったはずです。

     

    • 若林:
    • 20年前に認知した商品の購入は、機器(道具)業界ならではというか、BtoCの流通シーンでは考えられないタイムスケールですよね笑

     

    • 成川先生:
    • 今買えるものは緑なんですけど、元ラボにあったものは青とか赤とか黄色とかいろんなバリエーションがありました。

     

    • 熊谷:
    • 形は全く一緒なんですか?

     

    • 成川先生:
    • ええ、形は全く一緒で。でも緑はなかったんですよ。もっと原 色っぽい赤・青・黄と、緑もあったかもしれないけどもっと原色系で…。
    • Twitterでの反響を見ると、池内研以外にも原色系のものを使ってたラボはあったみたいです。

     

    • 熊谷:
    • アズワンで昔の商品調べたりできないですかね?

     

    • 若林:
    • ちょっと調べますね・・・、
    • すごい、マイティーラック(正式な商品名)は2001年に発刊している7万号っていう総合カタログに記載がありますね。
    • 2年に一回出してるのでほぼ10代前くらいのカタログです。ずっとある商品ですねこれは。(※本章後の『若林追記コーナー』にて追記。なんと30年以上前からある商品。)

     

    • 成川先生:
    • 当時のやつはどんな色してますか?

     

    • 若林:
    • 緑ですね。もしかしたら他のカラーは商品名が違うのかも。

     

    • 熊谷:
    • 2001年からずっとある商品がSNSで急に人気になるの、面白いですね。

     

    • 成川先生:
    • 多分「これ超気に入ってる」って人はいるんだけど、それがあんまり広まってなかったのかなと
    • 僕もTwitterでアンケートをとったんですが、ほとんどの人がこのツイッターで初めて知ったと。あんまり認知度は高くないけど、使ってる人はずっと使い続けてる、みたいな商品なのかも知れません。

     

    • 若林:
    • その時は在庫が確か3つくらいしかなかったんですが、先々週の成川先生のツイートで全部売り切れました笑

     

    • 熊谷:
    • 買いやすいですよね。すぐ買える値段帯だし、いろんなところで需要があるし、分かりやすく便利だし。

     

    • 成川先生:
    • 普通のラックに比べると割高なので、良さを知らないとなかなか手は伸びないんでしょうね。買ったら何十年と使えるんですが。

     

    • 熊谷:
    • 確かに。知らないとちょっと割高なチューブラック、なかなか買わないですよね。

     

    マイティーラックは一個5,000円強で、安価なチューブラックは一つ700円程度。

     

    • 成川先生:
    • やっぱりピンポイントで実験者目線での良さがすぐ伝わるとみんな買ってくれるんじゃないですかね。

アカデミアにおける「モノ」の情報

    • 熊谷:
    • アズワンのECサイトに口コミってないんですか?

     

    • 若林:
    • あるにはあるんですが、そもそもAXELは550万点取扱いしていて、レビューのついてる商品シリーズって3,500件ぐらいなんですよ。
    • レビューがついてるシリーズに当たる方がレアなんです。このチューブラックもレビューはないですね。

     

    • 成川先生:
    • 550万点!?笑 すごいですね…!

     

        • 若林:
        • アズワンは自社製品も作っているのですが、基本的には商社です。
        • なので、カタログの中で3割くらいが自社製品で、7割程度は他社様の製品です。様々なメーカーの商品を取り扱っているので、「探せば大体のものはある」っていうのが強みですね。

       

      • 熊谷:
      • アズワンの裏話、面白いですね!どうしても分厚いカタログのイメージが強いですが、AXELも大学院時代にはかなりお世話になりました。

       

      • 若林:
      • 今はカタログに載ってなくてもまずはwebに掲載しようみたいな流れがありますね。大抵のものはAXELなら探せる、っていう状態を会社としては目指しています。

       

      • 成川先生:
      • 買う側としては、キーワードサーチで「振っても落ちない」というような特徴をECサイトでを探すのはなかなか難しいと感じることがあります。

       

      • 若林:
      • おっしゃる通り、具体的な商品イメージは伝えきれていない部分はあります。成川先生のツイッターを見ていてさすがだなと思ったのは、紹介動画ですね。

       

      • 成川先生:
      • 5年前には画像で呟いたんですが、今回は動画を上げたのでそれで皆さんが再び認知してくれたんだと思います。

       

      • 若林:
      • やっぱり動画はわかりやすいですよね。
      • 僕らも、個別ページに動画を埋め込んだり、メーカーさんから動画を頂いて載せたりしています。最近では動画スタジオを新設して、自分たちで動画コンテンツ製作も始めています。
      • しかし550万も商品があると、どうしても一点一点を際立たせるのは難しいので、このように研究者の皆様に直接愛されている商品を発信していただくのは有り難いです。

       

      • 成川先生:
      • 僕、こういう企画は本当にいいと思ってて。機器類ってやっぱりみんな拘りがあって、「ここがいいあれがいい」ってみんな思ってるんですよ。
      • 研究ってある程度競争的な側面はあるんですけど、お互いにtipsを共有しあって、より良い研究がみんなができるようにしていくのも大事です。
      • 機器類は研究にダイレクトに関わるところなので、おすすめの機器の情報などをシェアする仕組みを、アズワンのような立ち位置の人がうまく作ってくれるとありがたいですね。

       

      • 若林:
      • 僕らは販売する側なので、特定の商品に肩入れし辛い立場でもあります。自分たちでもモノを作ってるし、自分たちが取り扱ってるものもあれば、諸般の事情で取り扱いをしていないものもあります。
      • Lab BRAINSでは「研究者・技術者の『知りたい』がここにある」と掲げていますが、この背景には僕らが販売できるものだけの情報では、研究者の知りたい情報を網羅できないだろうという思いがあります。
      • 折角ECサイトとは別にLab BRAINSを立ち上げたので、直接アズワンの売り上げに繋がらなかったとしても、研究者にとって有益な情報なら発信していきたいですね。

     

    • 熊谷:
    • これはそのまま記事に載せましょう笑  言質を取ったので今後このシリーズではアズワンで取り扱っていない商品もガンガン載せていきます!!

 

成川先生の推しアイテムその1:逆さにしても落ちないチューブラック まとめ

・チューブラック単体で転倒混和ができる

・研究室の卒業生がじわじわと利用を広めた歴史

・最近では成川先生のSNSで一気に脚光を浴びた

 

【アズワン若林 追記のコーナー】

こちらの製品の開発担当者を調査しようと思い、弊社PB開発部に話を聞きに行ってきました。そこで判明した新事実・・・!

どうやらこの製品は30年以上前には既に存在していた製品で、当時開発に関わった社員は全員退職しているとのことでした。

当時の開発秘話が聞けないのは大変残念でしたが、この製品に代表されるように研究業界では、驚くほどの隠れたロングセラー製品が存在しています。これはひとえに、長く愛用いただいているユーザー様があってのものですね。

 

ATTO Lumino Graph

    • 熊谷:
    • 成川先生にはチューブラック以外にも何点かお気に入りの実験機器の写真をいただいています。例えばこのATTOのLumino Graph。これはアズワンで取り扱ってる商品ですかね?

     

    • 若林:
    • えーと。。。(調べる)。。。AXELでは掲載していないですね。ちょうど良い。笑

     

    • 熊谷:
    • この企画の趣旨を明確にするために、この話も載せましょう。笑

     

    • 成川先生:
    • Lumino Graphも僕の中では色々な想いやエピソードがあります。
    • 多分最初にこれが発売された時に、スペックを見て気に入っちゃって。購入する前に一回業者の人に来てもらったんです。
    • その時にデモしてくれた技術営業の人がすごくいい人で。多分生物系の研究出身の方で、よくユーザー目線で開発されてて、ますます気に入ったんですよ。
    • Lumino Graphのような装置で、有名なのはCytivaが出してるイメージャーです。でも、結構高いんですよ。
    • このLumino Graphは確か購入価格が200万くらいで、半額以下の値段なのに白色光源の下でも蛍光像も取れるし発光像もとれる。それでいて冷却CCDが付いていて感度もそれなりにいい。
    • しかも光源として青と赤と緑のLED照明が内蔵されていて、パソコン上で光の波長と強度を調整できる。さらにフィルターを噛ませることができて、蛍光を当てる波長を自分でカスタマイズできて、とにかくやれることがすごく多いんです。
    • 僕は自分が光生物学をやっていて、どんな波長を当てるかとかどんな波長の光を拾いたいかってのがかなりフレキシブルに変わるような研究をしていますが、GFPやDNAの蛍光に特化したようなものでなく、これだけ汎用性があるものってなかなかないんです。でも、お金がなくて実機を見せてもらった後もしばらく自分では買えなかったんですよ。笑

 

  • 熊谷:
  • こんなに喋ったのに!?笑

 

※成川先生は実際にはこの倍の長さで熱くLuminoGraphへの愛を語ってくれました

 

  • 成川先生:
  • あまりに気に入ったので、いろんなラボに行くたびに「これおすすめですよ」って言ってたんです。
  • そうしたらまず東大の駒場で二台購入されて、東工大でも一台購入されて、静大に行ってからも隣の先生が買ってくれて、最後に僕が自分で買いました。笑

 

  • 若林:
  • 自分が買う前に4台別の方が購入してる笑 すごい優秀な営業マンじゃないですか笑

 

  • 成川先生:
  • ほんとに、営業と化してました。笑
  • それくらいこの機器には思い入れがあるんです。知り合いが使っていたCytivaの機器が壊れちゃったことがあったんですが、海外の機器って故障とかすると大変なんですよ。
  • 直すのもあちらに送らないといけないので、修理費も高い。それに対してATTO(アトー)は日本の会社なので、修理対応も良いし、そういう意味でもATTOさんの商品はすごく好きですね。

 

  • 熊谷:
  • めちゃくちゃ褒めるじゃないですか・・・!ユーザーとメーカーの美しい繋がりですね。

 

  • 成川先生:
  • Lumino Graphはホント、最高の機器ですよ。

 

  • 熊谷:
  • とはいえ、実験機器としては結構ニッチですよね。それこそGFPとか核酸を蛍光で見るための機器はどこのラボでもありますけど、3色のLEDを可変でってなると、光合成研究業界とかめちゃくちゃニッチな分野でしか使われないですよね。

 

  • 成川先生:
  • LED光源はオプションなので、つけなくても買えるんですよ!後から買うこともできるので、ライトユーザーの方にも適してるし、もうちょっと色々使い倒したいっていう人にも向いてるんです!

 

  • 熊谷:
  • めちゃくちゃ営業トーク上手いですね!笑 さすが4台売っただけはあります。僕も欲しくなってきました。

 

    • 若林:
    • メーカー冥利につきますよね。
    • アズワンの目線ではこういうメディアで注目を浴びたことによって取扱いを開始するという流れも作りたいです。
    • アトーさんとはお付き合いがあり、ポンプなど汎用的なものはAXELで販売させていただいているので。この記事で注目が集まってお問い合わせが増えれば、AXELにも載るかもしれませんね。
    • また、あまり知られてないんですが、カタログやwebには載っていない品をお問合せ経由で販売することもできます。
    • AXELのお問い合わせフォームから「こんなのが欲しい」とご連絡いただければ、大抵のものはAXEL経由で購入可能です。

 

成川先生の推しアイテムその2:ATTO Lumino Graph まとめ

・高いコストパフォーマンスとカスタマイズ性

・サポート対応も良い

・成川先生は営業スキルが高い

成川先生の研究室

都立大学の成川先生の研究室では外部からの大学院生を積極的に受け入れております。

この記事で成川先生の研究に興味を持った方は、ぜひお気軽に研究室見学など問い合わせてみてはいかがでしょうか?

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話者紹介

●東京都立大学 准教授 成川礼先生
自身で発見した「シアノバクテリオクロム」という微生物の新しい色素を用いた基礎・応用研究を行う光生物学研究者。Twitterではキラキラ女子として活躍中。

●株式会社tayo 熊谷
博士(環境学)の元深海微生物学者。今は株式会社tayoの代表として、研究者のキャリア問題の解決や産学連携の支援に取り組む。

アズワン株式会社 若林
「Lab BRAINS」の活動を通じ、研究者と研究者を支えるプレイヤー、双方の発信活動をサポートしたいと考えています。ラボブレTwitterも投稿中です。