ノコギリの正しい使い方、お勧めのメンテナンス方法とは

2022.02.16

木材、金属を切るための工具であるノコギリは小学校の図工の時間や日々のDIYなどで使われた経験のある方が多いのではないでしょうか?

丸ノコを代表とする電動のこぎりに対し、手動の手ノコは安価で安心かつ保管スペースを取らないことなどが特長です。

本記事では材木用の手ノコの種類やその特長について詳しく紹介します。

また、「ノコギリでまっすぐ切れない!」「ノコギリが正しく使えているか不安だ!」、そのようなお悩みをお持ちの方にノコギリの正しい使い方やお手入れ方法などを詳しく説明します!

ノコギリの各部名称

ノコギリの構造は「鋸身(のこみ)」と呼ばれる木材や金属を切断する部分と、「柄(え)」と呼ばれる持ち手部分に大きく分かれます。

刃渡はノコギリによって様々ですが、切断対象物が刃渡の3分の1程度になるようにノコギリを選びましょう。

ノコギリの1つ1つの刃を「目または歯」、ノコギリの歯と歯の間を「ピッチ」といいます。
ピッチが小さい、すなわち目が細かいほど切断面はきれいになります。

また、ノコギリの商品名で”7寸目”、”8寸目”など○寸目と書かれたものがあります。数字が小さいほど目が細かいという意味になります。

ノコギリの種類

①両刃鋸

最も一般的なノコギリです。一つの鋸に二種類の刃がついており、片方が縦挽き(木材の繊維と同じ方向に切る)用の刃、もう一方が横挽き(木材の繊維に対して垂直に切る)用の刃になります。

縦挽きの歯
縦挽きの歯
横挽きの歯
横挽きの歯

2種類の刃の簡単な見分け方として目が細かい方が横挽き、粗い方が縦挽きだと覚えておくといいと思います。なお、斜めに切る場合は横挽き用の刃を使いましょう。

②畔(あぜ)引き鋸

縦挽きと横挽き用の刃がついている点は両刃ノコギリと同じですが、刃が曲線状についているのが特徴です。

主に板へ四角い穴を切り抜いたり、窪みを開けたりするのに使います。

③胴付き鋸

片刃鋸の一種です。特徴は刃の薄さと細かい歯が多くついていることで、刃が薄い分それを補強するために胴(背中部分の棒)がついています。

正確に切ることができ、切り口も綺麗という特長から、組子などの細かい作業に適しています。ただし胴があるため切ることができるサイズに上限があります。

④引廻し鋸

細い刃が特徴の片刃鋸です。木材を曲線に切ることができます。 

⑤糸のこ

柄と弓に細い刃を取り付けて使うノコギリです。刃を付け替えることで木材、塩化ビニール、軽金属など様々な種類の素材を切ることができます。

また引廻し鋸と同様、刃が細いため曲線に切ることもできます。ただし折れやすいので力加減には注意が必要です。

今回ご紹介した5種類以外にも様々なノコギリがあります。ノコギリに限った話ではありませんが、今は便利な道具が沢山あるのでどうしても大工道具を見る機会が少なくなっています。

その分、変わった形の工具を見た時の新鮮さや面白さは大きいと思うので興味があればぜひ調べてみてください!

ノコギリの選び方(素材別)

さて、実際に使うとなるとどのようなノコギリを選べばよいのでしょうか?

まずは「何を切るか」で選びます。

大抵のノコギリには「~用」と説明書、あるいは商品名に書いてあるのでそれを参考にしてみてください。例えば、一般木工用のノコギリで太い木の枝を切ろうとすると切りにくいですし、何より刃が欠けてしまう危険性が大きくなります。

木工用
木工用
剪定用
剪定用

次にサイズや鋸の種類を決めます。

特に木工用は種類が豊富なためどれにするのか迷いがちです。刃の長さや目の細かさなどにもそれぞれ特徴があるので見ていきましょう。

刃が長いノコギリは1回のストロークあたりの切断量が多いため、大きいものや厚いものを切る作業に適しています。ただし、切り口は粗くなる傾向にあります。

前章で紹介した胴付き鋸のように刃が薄く、目が細かいノコギリは切り口は切り口も綺麗で、細工や組子等の精密な作業に適しています。

いいとこ取りをした「刃が長くて薄く、目の細かいものが一番良いのでは?」となるのですが、サイズが大きくなると丈夫に作らなければならなくなるため、基本的には刃が長いほど厚みも目も大きくなる傾向にあります。(生産コストの問題もありますが…)

「とりあえず一本木工用に欲しい!」という方であまり鋸を使ったことがない方は210mmや240mmの両刃鋸がオススメです。

鋸刃の目は刃が長くなればなるほど粗くなる傾向にあるため切り始めが安定しにくく、真っすぐ引くのに慣れが必要です。逆に短すぎる鋸だと目が細かく切るのに時間がかかるためとりあえずの1本には不向きです。少し目が細かいものが初心者の方にはおすすめです。

同じタイプの鋸でもサイズは色々あります

 

長く道具を使用する場合は、価格だけでなく安全性、耐久性,作業性など、製品の特長をよく理解した上で選択しましょう。

以上、ノコギリの選び方でした。

え?「まだ選択肢が残っている」、「どのメーカーの鋸がいいのかも教えてほしい」、ですか?ちょっとここでは答えづらいので気に入ったメーカーのものを買っていただくということでひとつ宜しくお願いします…

ノコギリの使い方

早速ノコギリを使ってみましょう!材木用や金属用など様々な種類のノコギリがありますが、ここでは材木用の両刃鋸で木材を切ることを想定して進めていきます。

(1)作業前に道具にガタツキが無いかを確認します。ガタツキがあると思わぬケガの原因になります。

(2)材木を作業台にクランプや手足でしっかり固定します。

(3) 切断するラインに沿って線(墨線)を引きます。

(4)墨線のラインにノコギリと目線を合わせ、切断箇所を木材または親指の先で固定し切り始めましょう。

(5)最初は軽くゆっくりと挽き、切り溝を作ります。切り溝ができたら力を入れます。無理に切ろうと力を入れてはいけません。

(6)切り終わりはゆっくりと挽きます。切断される木材が落ちないように注意しましょう。 

選び方のところでも少し触れましたが、目が細かいものを使うと切り始めがスムーズです。

写真のように縦挽きはのこぎりを立て、繊維に沿って切ります。一方、横挽きや薄い板を切る際(縦挽きでも)は木材に対して20~30°の角度にノコギリをやや寝かせて切ります。

縦挽きの場合
縦挽きの場合
横挽きの場合
横挽きの場合

ノコギリのメンテナンス・保管方法

ノコギリに限った話ではないですが、鉄製品の最大の敵は錆です。水濡れや湿気には気をつけてください。

皮脂も錆の原因になるのでできる限り刃を素手で触らないよう軍手をしましょう。また素手で触ってしまった場合はしっかり汚れを布等で拭き取りましょう。

防錆紙をケースに入れたり防錆紙で刃をくるんだりするとかなり錆びにくくなります。ちなみに防錆紙がない場合は家にある新聞紙でも効果があります。新聞紙のインクが錆を防いでくれます。

防錆紙

ただし汚れによる錆は防げない場合があるので、防錆紙を使う場合でもノコギリを綺麗にすることを心がけましょう。

切れ味が悪くなった場合はノコギリを買い替えることをお勧めします。鋸の目立てには専用のやすりと金槌を使いますが、自分でお手入れするのはかなり難しいです。昔はノコギリをメンテナンスする職人さん(目立て屋さん)も多くいたのですが、現在ではすっかり見なくなってしまいました。

替刃式のノコギリが多くなってきているのでそちらを買い求めるのもいいと思います。

替刃式のこぎり

まとめ

いかがでしたでしょうか。

以上、簡単にはなりますがノコギリについての説明でした。

一人一人手になじむ道具は違っているので自分に合うものを探すのも手工具を使う楽しみかもしれません。 この記事で少しでも大工道具に興味を持っていただき鋸選びの参考になれば幸いです!

今回紹介した使い方やお手入れ方法を守り、安全に使いましょう!

特に小さいお子さんとノコギリを使われる場合はケガの無いよう注意してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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