純水とは?超純水とは?どう違うの?定義から作り方までわかりやすく解説!

2021.10.15

純水、超純水とは含まれる不純物が少ない水のことを指します。水は不純物の量によって、大きく分けて一般水(水道水・井水など)→純水(精製水)→超純水というランク分けがなされるのです。

そもそも水とは何だろう??

水は化学式ではH2Oと表し、水素(H2)と酸素(O2)から作られています。
これを化学反応式にすると:2H2 + O2 → 2 H2O となります。
しかし、私たちが普段飲んでいる水は、酸素と水素だけでなく、様々な不純物(汚れ)も一緒に溶け込んでいます(カルシウム、ミネラルなど)。
水自体には味がないので、私たちはミネラルなどの不純物によって水を美味しい・不味いと感じています。また、水には不純物の量によって、大きく分けて一般水(水道水・井水など)→純水(精製水)→超純水というランクがあります。

水中の不純物の種類

水中の「汚れ」は大きく4つのカテゴリーに分けられます。
・有機物:炭素を含む複雑な化合物。生物由来のものも多い。
     例)皮脂、毛髪、洗剤、農薬など
・無機物:有機物でないもの。水中でイオン化しているもの。
     例)塩素、ミネラル、カリウム、重金属など
・微粒子:例)コロイド、配管のサビなど
・微生物:例)細菌類、藻類、ウィルスなど

不純物の数値化

一般水・純水・超純水は目に見えない不純物の量によってランク付けされていますが、目に見えない不純物の量をどのように数値化しているのでしょうか?具体的な指標としては2つあります。

・比抵抗値:水中のイオン量(無機物量)を表します。イオン量と電気の流れにくさは反比例の関係で、中学校で習った抵抗の考え方と同じく、イオン量が多いほど比抵抗値は小さくなります。故に、不純物である無機物量が少なくなると、比抵抗値は大きくなります。単位はMΩ・cm(メグオームセンチメートル)です。

・TOC(Total Organic Carbon):水中の炭素量(有機物量)の合計を表します。有機物は殺菌に用いる紫外線(254 nm)よりも波長の短い紫外線(185 nm)により分解されます。分解時に生じた二酸化炭素が水に溶け込むことで、照射前後で比抵抗値に差ができ、この差からTOCを算出します。TOC値が小さいほど、溶けている有機物量が少ないことを表します。超純水でよく用いられている単位は主にppbです。

水のランク付け

牛肉が歩留まり等級と肉質等級からA5などとランク付けされているのと同様に、水も上記の2つの指標からランク付けされています。以前までは、比抵抗値のみで水のランク付けを行っていましたが、無機物量しか評価できていませんでした。現在は、比抵抗値とTOC値の両方の観点からランク付けがされています。メーカーによっても違いはありますが、一般的に比抵抗値が18.2 MΩ・cm、TOCが50 ppb以下の水を「超純水」、一般水(水道水)から不純物の除去を行ったものの比抵抗値が0.2 MΩ・cm以上で超純水未満の水を「純水」(精製水)としています。
もちろん水のランク付けには国や使用目的に応じて様々な種類があります。よく耳にする日本産業規格JIS K0557 (用水・排水の試験に用いる水)では水質によりA1からA4までの規格があります。ほかにもISO やASTMなどの規格もあります。

水の比抵抗値が18.2 MΩ・cmを超えられない理由

限界まで無機物を取り除くと、水の比抵抗値は18.2 MΩ・cmを超えて「超・超純水」になるのでは!?と思った方もいるのではないでしょうか? (笑)
著者は学生時代そう思っていました。
この答えは、超純水自体も一部電離(イオン化している)しているからです。
H2O以外の不純物が全く存在しない水「理論純水」であっても、一部の水が必ず以下のようにイオン化し、電気を通すことができます。その抵抗値が18.24から18.25MΩ・cm(25℃のとき)のため、この値を上回る「超・超純水」は存在しないのです。

H2O ⇔ 2H+ + O2-

18.2 MΩ・cmは理論上最高の超純水といえます。

純水・超純水が洗浄に用いられている理由

純水・超純水は水道水から不純物を除去した水です。言い換えれば、普段は溶けている不純物がない分、器具の不純物を溶かす能力が上昇しているからです。
超純水が別名「Hungry Water」と言われている所以です。

超純水の作り方

不純物の除去方法は以下の表のように様々な方法があります。各方法には、除去できる不純物に違いがあり、目的に応じてこれらの方法を組み合わせることで、純水・超純水装置は構成されています。今回は、各方法の役割についてみていきましょう。

要素技術 有機物 無機物 微粒子 微生物
前処理カートリッジ(活性炭) 塩素    
逆浸透膜(RO膜)
UVランプ(UV,185/254 nm)    
イオン交換カートリッジ(DI)      
電気式連続イオン交換(EDI)    
エアーベントフィルター    
メンブランフィルター(MF)    
限外ろ過膜(UF)    

・前処理カートリッジ(活性炭)~逆浸透膜を守る騎士~

前処理カートリッジは、水道水中の塩素を取り除くために用いられます。プールの消毒にも使われている塩素は、水道水中に0.1ppm以上含まれています。水質を維持するために重要な物質ですが、超純水を作る過程においては不純物のため、除去する対象になります。また、後に述べる逆浸透膜は有機物・無機物・微粒子・微生物を95~99%除去できる優秀な方法ですが、塩素に非常に弱く除去能力を著しく損なうことが分かっています。そのため、前処理カートリッジは、一番始めに装着し、塩素から逆浸透膜を守る役割を担っています。

・逆浸透膜(RO膜)~必殺除去人~

濃度の高い溶液側に圧力を加え、膜を通して濃度の低い方へ水を精製する方法で、有機物・無機物・微粒子・微生物を95~99%除去できます。活性炭と逆浸透膜(RO膜)に通すだけで多くの不純物を除去できることから、RO膜で精製した水はRO水と呼ばれ純水クラスにランクされます。また、水の通過スピードが水温によって変わるため、RO水製造量の仕様欄には「25℃」などの水温の記載があります。

・UVランプ(紫外線ランプ,185/254 nm)~有機物 殺すマン~

UVランプは、逆浸透膜(RO膜)では十分に除去しきれなかった有機物を除去するために用いられます。太陽光にも含まれているUVは、一般的に波長が短くなるほど殺菌力が強くなります。中でも、185 nmの波長は有機物の化学結合(C-C,C-H結合など)の切断に非常に有効で、185 nmで切断できない結合も254 nmの波長を組み合わせることで分解できます。また、260nm付近の波長は、生物が持っているDNA(遺伝情報)も分解できます。しかし、UVランプにより分解された有機物は、炭酸イオンや重炭酸イオンなどの無機物として水中に残ることがあります。これにより、UV直後の比抵抗値は直前より上昇していることがしばしばあります。

・イオン交換カートリッジ(DI)~最後の砦~

イオン交換カートリッジ(DI)は無機物の除去に非常に優れた方法です。微生物の繁殖や有機物の吸着がしやすい環境なので、イオン交換をするまでに無機物以外の不純物をできるだけ除去する必要があります。無機物の除去に強いことから、RO水と同様にイオン交換カートリッジで精製した水は「イオン交換水」として純水にランクされます。イオン交換水は器具の洗浄水として用いられることが多いです。

・エアーベントフィルター~貯水タンクの防壁~

貯水タンクの上部についている蓋のようなフィルターです。一見、ただの蓋ですが、外からタンク内に入る空気中の微生物・微粒子を除去する役割を担っています。またフィルターに活性炭やソーダライムを詰めることによって、タンク内に有機物や二酸化炭素が流入することを防ぎます。

その他にも、水中のエンドトキシンやヌクレアーゼを極限まで除去できる限外ろ過膜(UF)などもあります。

 

超純水装置内における「汚れ」の除去フロー

数多くの除去方法を解説しましたが、実際のところは超純水をどのように製造しているのでしょうか?今回は超純水製造装置メーカーであるELGA社の水道直結型超純水製造装置 Quest2を例に見てみましょう。
下記のように、水道水にはたくさんの不純物が存在しておりますが、2番目に設置している逆浸透膜で大部分の不純物は除去できます。しかし、逆浸透膜は塩素に弱いため、活性炭の入った前処理フィルターを1番目に置くことで塩素を完全に除去します。逆浸透膜で十分に除去しきれなかった有機物はUVランプを用いることで大部分を除去することができます。除去時に一部の有機物が電離し、無機物を発生させます。そこで、最後にイオン交換カートリッジを置くことで残りの無機物を排除します。これらの4つの工程を経て初めて超純水が完成します。