スターラーとは?種類やマグネチックスターラーの選び方をご紹介!

2021.09.18

理化学の現場でよく見かけるスターラー。

今回はマグネチックスターラーの選び方に焦点をあててご紹介いたします。

そもそもスターラーとは?

スターラーとは、主に液体を撹拌する(混ぜ合わせる)ための装置になります。
スターラーには3つの種類があります。

・モータ型攪拌機

ドリルのような形状で上部から撹拌羽根を回転させ直接的に容器内部を撹拌するスターラーのことを指します。

・電磁スターラー

コイルに電流を流すことによって発生する磁場の流れで撹拌子を回して撹拌するスターラーのことを指します。

・マグネチックスターラー

磁石を内包した回転子を容器の底面から磁力で回転させ、容器内部の液体を間接的に撹拌するスターラーのことを指します。

今回はこのマグネチックスターラーについて、製品を選ぶときのポイントを紹介します。

マグネチックスターラーの選定について

 

1.容量・回転数

理化学の現場では試験管レベルの少量撹拌をから大容量のビーカーの撹拌まで、幅広い容量において撹拌作業を行うことが多いと思います。基本的にマグネチックスターラーは、そんな幅広い使用用途に合わせて製品を選ぶことが出来るように、ほとんどの製品で撹拌容量の目安が記載してあります。(ここで表す撹拌容量は粘度を想定しておらず、水を基準にしています。)
また、回転強度調整の目安として回転数が記載されています。価格重視の商品の場合、安価なブラシモーター(ここでは詳細を省きます)が用いられていることが多く、回転力が弱くモーターの寿命も短い物が多いです。一方、様々な機能がついた高価な商品は、回転力が強く、モーターの寿命が長いものであったり、回転数を表示する機能があったりします。
それぞれの使用目的によって必要な機能も変わってくるため、選定の幅も目的に応じて変える必要があります。

例:回転数の表示(1-4130-21 マグネチックスターラーHS30DN)

 

2.サイズ・形状

1.では容量による選定に触れましたが、もちろんその容器がスターラーの台に乗らないことには撹拌はできません。そのためスターラー自身のサイズや耐荷重も含めて撹拌容量が設定されています。サイズ感はおおよそビーカーのサイズで想定されているものが一般的ですが、試験管やバイアル瓶などの小さなものからステンレスの大型容器を想定した商品まで様々です。薄型のものや、容器を複数個同時に撹拌することを想定した多連式のようなラインナップもあり、複数個の撹拌を同期できたり、独立して撹拌できるものもあります。また、写真のようなコントローラーが別体でスターラー台を水の中に入れることを想定したタイプも存在します。

スターラー台を水の中に入れることが出来るタイプ(1-4609-25 マグネチックスターラーOCTPUS)

 

3.磁力・トルク

マグネチックスターラーに組み込まれる磁石は、一般的にフェライト磁石が用いられます。特徴のある商品では高磁力のネオジム磁石、加熱しても磁力の落ちないサマリウムコバルト磁石などが用いられます。これらの磁力とあわせて耐薬性・耐腐食性・防汚性を考慮し、天板の種類を検討します。
ここで気をつけたいのは脱調です。脱調とは、容器の中で回転子が暴れまわることです。撹拌にかかる回転力や粘度に磁力が負けてしまうと、着磁関係が離れてしまい回転子がスターラーから離れてしまいます(抑えとなる溶液量によっては飛んでいく場合もあるので要注意)。脱調を避けるためには高磁力のスターラーを選定する必要がありますが、その分モーターへの負担も大きくなるため、回転トルクのある高いスペックのモーターが必要になります。そのためスターラー自体がどんどん高価なものになってしまうので、磁力の強さと価格のバランスを考えた適度な選定が必要です。
ただ、脱調することが悪いというだけではありません。マグネチックスターラーは大きな負荷がかかった場合、上記のように着磁関係が離れますが、最初に述べたドリル型の撹拌機の場合は確実に回転しようとするためにモーターに負荷がかかり続け、安全機能であるモーターロックが作動するまで一生懸命撹拌しようとします。そのため、モーターの寿命に影響を与えることもありますので、現場での安全性も考慮し、使用状況に応じてご選定ください。

ドリル型撹拌機例①(1-5472-01 トルネード撹拌機 スタンダード)

ドリル型撹拌機例②(4-2087-01 トルネードN)

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

マグネチックスターラーは理化学機器として必要不可欠な存在であり、言わば主役となる汎用機器です。各社それぞれに様々な角度から商品を取り揃えられているので比較するだけでも非常に奥が深く、面白いアイテムです。ぜひ実験に役立つ最適な一台を探してみてください。

 

以下リンクより、アズワン株式会社が運営するECサイト「AXEL」にて
取り扱いのマグネチックスターラーを検索することができます。
記事とあわせて選定の参考にしていただければ幸いです。


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