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いつも清掃、洗浄を怠らず、清潔にしているつもりの作業道具や作業台がもし、目に見えない汚れで汚染されていたとしたら、それを使用して作業するとどうなるでしょうか。食品製造現場では、食中毒やアレルギー物質の混入がおきてしまうかもしれません。医療現場であれば、感染症などを蔓延させてしまうかもしれません。
このようなことを防ぐため、目に見えない汚れを高感度に検出できるATPふき取り検査(A3法)について詳しく紹介します。
また、すでにATP測定器をご使用の方も、正しい使い方ができているか一緒に確認していきましょう。
CONTENTS
ATPふき取り検査(A3法)は、目には見えない汚れを検出し、清潔にしておきたいところを「誰でも」「簡単に」「高感度に」「約10秒で」測定できるツールです。
ATPふき取り検査(A3法)に使用するのは、専用の測定器「ルミテスター」と測定試薬「ルシパック」、このふたつのアイテムだけで、誰でも簡単な操作で検査ができます。簡単な検査の場合、結果を数値化できないことがよくありますが、ATPふき取り検査(A3法)は、結果が数値化されることが特徴です。
ATP(アデノシン一リン酸)はあらゆる生き物に含まれる物質で、菌などの微生物から、野菜、魚、肉などの食べ物、また人間や動物の汗、唾液などの体液にも含まれています。ATPがあればそこには生物由来の有機物が存在しており、その数値が高ければ微生物の増殖や感染症のリスクも潜んでいると考えられます。
また、ATPふき取り検査(A3法)は、ATPだけでなく、その分解物であるADP(アデノシン二リン酸), AMP(アデノシン一リン酸)も検出し、その総量を数値化しているので、高感度な検査法です。
ADPは生の肉や魚、乳製品などに、AMPはソーセージやベーコンなどの加工食品に多く含まれています。
一般的な微生物検査では、結果が出るまでに数日かかりますが、ATPふき取り検査(A3法)では、測定時間は約10秒で結果を確認できるので、もしもの場合でも迅速な対応が可能になります。
ATPふき取り検査(A3法)の原理は、ホタルの発光時に起こる酵素反応を応用しています。ATPはルシフェラーゼと反応するとAMPへと変化しますが、その時のエネルギー放出により光が発生します。汚れの指標であるATPの量が多ければ光は強く、少なければ光は弱くなります。測定器ではこの光の量を検出するため、汚れが多ければ光も強く数値が高くなり、汚れが少なければ光も弱く数値が低く表示されます。
ATPふき取り検査(A3法)で得られる結果は、生物由来の有機物汚れに含まれるATP、ADP、AMPの3つの物質の合計量となります。ADP、AMPをルシパック内でATPに変換して反応させることで、ATPのみの検査では検出されなかったADP、AMP測定も可能になり、高感度な検査をすることができます。
肉や魚、野菜、果物といった食品残渣や、ヒトの体液や菌など、生物由来の有機物汚れに含まれるATPが測定対象となります。
昨今、世間では「菌やウイルス」というように菌とウイルスをセットにして考えられがちですが、ウイルスは、遺伝物質(DNAやRNA)がタンパク質の殻に納まっただけの存在でATPを含まないためATPふき取り検査(A3法)では検出することはできません。ただし、ウイルスを含む唾液や鼻水といった感染性のリスクがある汚れは、ATPも含むため検出が可能です。
微生物検査とは、どのくらい細菌や真菌が存在しているかを測定する検査方法です。一般生菌、大腸菌群、黄色ブドウ球菌、カビ・酵母など菌種によって試験方法や培養時間が異なるため、結果が得られるには約1日~5日程かかります。また、器具での試薬調製や培養技術の習得が必須となり、目視でのカウントでは検査者によって結果にばらつきが出てしまうこともあります。
また、検査の時点で菌数が少なくても、有機物汚れが存在すれば、それを餌に菌が増殖するリスクがありますが、残念ながら微生物検査ではそのリスクまで検出することはできません。
それに対してATPふき取り検査(A3法)は、どのくらい菌が増殖しやすい環境であるかどうかを測定します。ルミテスターとルシパックさえあれば測定時間は約10秒です。検査結果は数値で表示されるため、判定や記録も容易です。
微生物検査では検査に時間を要するだけでなく、菌が増殖する可能性までは判定することができません。ATPふき取り検査(A3法)は、有機物汚れの程度や隠れた菌の増殖リスクまで判定できる検査方法です。
ルシパックの袋を冷蔵庫より取り出し、使用前に約20分かけて常温に戻します。ルシパックを袋から取り出し、綿棒ホルダーを抜き、綿棒部を水道水で濡らしてから検査対象のふき取りをします。通常は検査対象の表面を10cm四方で縦横まんべんなく均一に、綿棒がしなる程度の力でふき取ります。綿棒ホルダーを本体へ戻して強く押し込み、数回振り、ルシパック下部に試薬を振るい落とします。試薬を十分に溶かし、溶け残りが無いことを確認します。
ルミテスターを起動後、測定室へルシパックを入れカバーを閉めます。ルミテスターを立てた状態でSTARTボタンを押すと測定が始まり10秒後に結果が表示されます。測定終了後、ルシパックはそのまま廃棄できます。
また、ルミテスター Smartには測定結果のデータ管理をするための専用アプリもあります。
ATPふき取り検査(A3法)は、ATP, ADP, AMPの総量を数値化することで、誰でも簡単に、目に見えない汚れを高感度で迅速に測定できるツールです。仕組みを理解し、正しく使いましょう。