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エネルギー問題が深刻化しつつある近年、ますます注目されている燃料電池。自動車、携帯機器、家庭用電源と、様々な分野での利用が期待高まっています。 しかし燃料電池の歴史は意外に古く、その発見は約200年前にさかのぼります。
1801
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デービー卿(英)による原理の発見 |
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1839
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グローブ卿(英)が燃料電池による発電を公開実験により実証 |
1952
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ベーコン(英)がアルカリ型燃料電池に関する特許を取得 |
1961
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NASA(米)で燃料電池の研究が開始 |
1965
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ゼネラルエレクトリック(米)社製固体高分子型燃料電池がジェミニ5号に搭載 |
1969
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燃料電池を搭載したアポロ11号(米)が人類初の月面着陸に成功 |
1971
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FCG-1計画(大容量燃料電池の商業化)開始 |
1981
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ムーライト計画(日本)での燃料電池開発開始 |
1987
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バラード社(カナダ)によるフッ素系イオン交換樹脂膜を用いた固体高分子型燃料電池開発 |
1996
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ダイムラーベンツ社によるバラード社製燃料電池搭載車NECAR1の発表 |
2000
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経済産業省/NEDOによる燃料電池普及基盤整備事業(ミレニアムプロジェクト)開始 |
2002 | トヨタ、ホンダによる世界初の商用燃料電池自動車の発売開始 |
2003 | 東芝が一回の充填で5時間駆動するノートパソコン用燃料電池の試作機を公開 |
2014 | トヨタが水素燃料電池による長距離走行を可能とするMIRAIを発売 |
水を電気分解すると、水素と酸素ができることはご存知だと思います。この化学反応の全く逆、つまり燃料となる水素と、空気中の酸素を化合することで電気を発生させる、という原理を利用したのが燃料電池です。
基本的な構造は、電解液のプラス極から酸素、マイナス極から水素を注入することによって化学反応を起こして発電するという、ごくシンプルなものですが、電気を発生させる際の騒音も少なく、廃棄物として出来るのは水だけ、という非常にクリーンなエネルギーであることから、長年に渡り研究が続けられてきました。
人類初の月面着陸に成功したアポロ11号では、電源として燃料電池が使われただけでなく、化合物としてできた水を乗組員の生活用水として利用した、という有名な話があります。
良いことばかりのように聞こえる燃料電池ですが、仕組みとしては単純であるにもかかわらず、技術的に実現するのは決して簡単ではありません。
燃料となる水素は、空気と混合すれば4%という低濃度でも爆発の危険性があることを考えると、水素を安全に貯蔵するだけでも実際には非常に難しい問題であることがお分かりになると思います。
水素は天然ガスと比べても密度が非常に低いことから、高圧タンクに貯蔵しても気体のままではあまり効果がありません。液化するには-253℃まで冷却する必要があり、そのエネルギーが膨大にかかってしまいます。
そこで、水素吸蔵合金という結晶構造を壊すことなく、室温に近い環境でも水素を出し入れできる合金に注目が集まっています。これなら気体よりもはるかに多くの水素を貯蔵できる上、安全性も飛躍的に上がります。
このように、燃料電池は高い発電効率がある上、反応生成物が水である、という環境に優しい発電機であると同時に、実用化には高度な技術が必要となるため、多くの企業が燃料電池事業に参入し、小型化、コストダウン化を含めて日夜研究開発を行っています。
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